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この船が沈むまえに

「やりがいなんていらないんじゃない?」
働くマインドが、急カーブをきっている。

6月に結婚して、彼氏が家族になった。7年くらい一緒に住んでいたし、特に生活スタイルも変わるわけでもなく、しばらくこれまで通り。そう思っていたのだけれど。
今は、これまでの働き方に疑問を感じてる。

家族を運営することは、仕事を続けること以上に持久戦だ。
会社はチームだから、いくらでも代役を立てられる。しかしいまの我が家は2人組ユニットなので、わたしが寝込んでしまったら、すべての仕事は彼が引き継ぐことになる。それを持ちつ持たれつの関係という言葉で済ませてはいけないと思う。これまでは独立した個人同士のチームという意識でいたから、まさかこんな風に考えるようになるとは思わなかった。
弊社はいま、超・人手不足&超・激務だ。夏の終わりにしわ寄せがきて、大きく体調を崩してしまった。
働く時間が、家族を運営するリスクになりつつある。

仕事って、のめり込むほど依存状態になっていく。先頭に立ち働き続けていると、緊張感と疲労感の合間に、特有の充実感を感じるようになる。さらにこの充実感に達成感が加わり、いつの間にか負荷を良しとするようになった。負荷をかけ続けようと思った。そうすれば成長できると。そしてこの負荷を、いつからか仕事のやりがいだと考えるようになった。

1週間、1ヶ月、1年。短期間で見ると、仕事のやりがいはとても魅力的に映る。でも、5年、10年、30年先を考えると、彼とわたしはどんな家族になっているんだろうと、自然と人生の姿を想像してしまう。そしてふと、手元に視線を戻したときに、いま手にしている仕事のやりがいは、人生のおまけみたいなものなんだと気づいた。

そもそもコピーライターになったのは、問題を抱える方々と世の中をつなぐための技術がほしいかったからだった。30年後どうなっていたいかと聞かれると、「自分好みの家に暮らしていること」「ボランティア団体の広報活動をしていること」と答える。あれ、広告制作会社にしがみつかなくても、わたしの夢は叶いそう。世の中の話題になる広告を作りたい、大きな広告賞を穫って注目されたい、そんな憧れもすこしはあった。でも、30年後の理想のために、そんなことは全然必要じゃなかった。

手を動かしてばかりだと、いつの間にか手段に時間を支配されてしまう。5年後の自分が、コピーワークに蝕まれていたら、すごくイヤだと思った。
きっと、何かを成し遂げたくてコピーライターになった人より、コピーが書きたくてコピーライターになった人の方が、会社に尽くすんだろうな。
わたしは新しい場所を探します。


#エッセイ #働き方 #人生設計

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