津森七@文学フリマ東京38【ち−19】

さみしさと手を繋いで生きているひとの小説を書いています。 https://store.…

津森七@文学フリマ東京38【ち−19】

さみしさと手を繋いで生きているひとの小説を書いています。 https://store.retro-biz.com/profile_o900.html

最近の記事

文学フリマ東京38で女の子✕女の子の激情短篇小説を販売します

2024年5月19日(日)、同人イベント《文学フリマ東京38》にて、自作の掌篇小説や短篇小説を本にして販売します。 《文学フリマ東京38》 開催日時∶5/19(日)12〜17時 開催場所∶東京流通センター第一・第二展示場 私、津森七は《七つ森舎》というサークル名で参加します。 販売場所は第二展示場、2階Fホール《ち-19》。新刊は女の子✕女の子の激情短篇小説です。 入場チケットの購入方法についてはこちら。 18才以下は入場無料です。 今回販売する作品はこちら。 以下

    • 小説同人誌『やわらかな心中』サンプル

      「真令、──私のかわいいぬいぐるみ」 父親により歳の離れた男と婚約させられ、癒えない孤独と不自由に苛まれるあまね。真令は情緒不安定なあまねに当たられながらも、そんな彼女に尽くしていたが……。 ふたりの少女、その激情の果てにたどり着く結末は。 本文サンプル ※実際の本文には段落ごとの空行はありません。  細い肢体に張り詰められ今にもその皮膚を破って噴き出しそうな彼女の不機嫌は、居間へ続く扉のノブに手をかけた瞬間、その姿を視認する前から、真令には伝わりすぎるほどに伝わって

      • 掌篇小説「夏宵」

        「夏宵、何してるんだ」  僕たち生徒は彼のことを呼び捨てにしていた。他の教師に聞かれると叱られるのだが、当の夏宵は何を考えているかよく分からない微笑みを浮かべるだけで、一度も咎めはしなかった。 ※こちらの作品は同人誌『キラキラ』に収録されています。 掌編小説「夏宵」  雨で濡れた教員用の駐車場に夏宵の気配を感じて、ああもうそんな時季かと思う。季節の廻りは年々早まり、彼の現れる夏は飛ぶようにやってくる。  駐車場の横に広がる校庭では昼間、運動会が行われた。娯楽の少ないこの

        • 掌篇小説「さらさら」

          交換留学の期間が終わって、海へ帰ることになった。 ※こちらの作品は同人誌『キラキラ』に収録されています。 掌編小説「さらさら」  交換留学の期間が終わって、海へ帰ることになった。  河童のアイちゃんは寂しがってくれた。  私も寂しかった。アイちゃんと離れるのも、慣れてきたバイトを辞めるのも、せっかく手に入れた人間の足を失くすのも寂しい(まあ、尾のほうが便利だけれど)。  何より、もうここに来られなくなるのが寂しかった。 「どうぞ」  テーカップとポット、それか

        文学フリマ東京38で女の子✕女の子の激情短篇小説を販売します

          小説同人誌『孕む』サンプル

          少年に、狂う。 四方を山に囲まれた小さな村に父と二人で太一が越してきたのは、水を入れた田が一面に青空を映し出すより前の、ある年の初夏のことだった。 「あすこの家は呪われているから、関わったらだめなんじゃ」 四宮家の末の子、馨は、太一を産んですぐに蒸発したという母に、似ているように思えた……。 少年に、狂う。少年が、狂う。四年に一度の祭りの晩、誰も知らぬ間に起きた、おぞましい出来事とは──。 本文サンプル ※実際の本文には段落ごとの空行はありません。  四方を山に囲ま

          小説同人誌『孕む』サンプル

          小説同人誌『少年についての独白』サンプル

          少年に、出会ってしまった。 上手くいかない人生を抱え途方に暮れていた津野田温は、ある最悪な朝、一人の少年と出会う。現実逃避から少年との交流を重ねた温は、やがて、後戻りのできないラインを踏み越えてしまい━━。 本文サンプル ※実際の本文には段落ごとの空行はありません。  津乃田温は不気味な男だった。  第一印象はむしろ逆で、とりわけ特徴のない顔立ちの、普通の話し方をする普通の男だった。平均よりは不幸で、かと言って波乱万丈と表現するほどでもない、ありふれた生い立ちの男だ

          小説同人誌『少年についての独白』サンプル

          文学フリマ東京と京都、果たして売れるのはどっち?

          2024年1月14(日)、文学フリマ京都8にサークル参加してきました。 これまでリアルイベントといえば文学フリマ東京にしか参加してこなかった関東在住の私。 その私がなぜ今回、文学フリマ京都に出店したのか。 それは…… 東京より他地域の文学フリマのほうが売れる! と聞いたからです。 出店数・来客数ともに他を圧倒する東京よりも、規模の小さな地方のほうが売れる? そんなことある? そんな疑心と期待を胸に、私は文学フリマ京都に出店を申し込みました。 筆者の出店歴さて結果は

          文学フリマ東京と京都、果たして売れるのはどっち?

          月の居る町(短篇小説)

          「それで、お月さまって一体誰のことなんです?」「お月さまはお月さまに極まってるだろう」  小さな町の小さな交番に、ある晩、お月さまに殴られた●●氏がやってきて──。  2023年5月に完売した同人誌の有料公開です。月に狂う、大人向け童話。 「で、今度はいかがいたしましたかな、●●さん」  夜風が心地よい、秋のはじめの晩でした。「どうしたもこうしたも」そう返す老紳士の顔は怒りで真っ赤に茹で上がっています。彼の切れた口の端を見れば、誰かにひどく殴られたであろうことは明白でした

          有料
          300

          文学フリマ京都8に出店します(試し読みあり)

          2024年1月14日(日)、つまり明日、文学フリマ京都8に出店します。 文学フリマ京都へは初の出店となります。つまりお品書きのどれもこれもが新刊のようなものです。すばらしいですね(と己に言い聞かせ、新刊のない不安をごまかしています)。 当日はぜひ『七つ森舎』にもお立ち寄りいただければ幸いです。 肝心の頒布物はこちら。 短篇小説『少年についての独白』文庫判28ページ/400円 少年に、出会ってしまった。 上手くいかない人生を抱え途方に暮れていた津野田温は、ある最悪な朝

          文学フリマ京都8に出店します(試し読みあり)

          はじめまして、の代わりに小説を。

          はじめての記事に何を書けばいいのか悩んでしまったので、自己紹介がわりに小説を置きます。 文学フリマ東京37で配布した、フリーペーパーの中身です。 「✕✕✕✕のチョコレートを毎月プレゼントしてくれる人となら結婚してもいい」と鹿乃子が言ったので、「じゃあ私と結婚して」と間髪入れずに返した。  ✕✕✕✕はフランスの有名なショコラティエが手掛けるチョコレート専門店で、日本でこの店の品を手に入れようとすると、個人輸入か、バレンタインの時期に百貨店のイベントで買うかくらいの選択肢しかな

          はじめまして、の代わりに小説を。