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文化をつくりたいなら、まずはアクセスできる「場」づくりから

なんぼー:あれ、今日のランチ、サラダだけですか?

東谷:そうだよ〜今ダイエット中でさ。大好きな酒も我慢してるよ。

なんぼー:えらいですね。禁酒ですか?

東谷:いや、ビールをハイボールに変えた。

なんぼー:なるほど!

東谷:いつの間にかどこでもハイボールを頼めるようになってありがたいわ。

なんぼー:確かに、あっという間に浸透してすごいですよね。

東谷:確か、ウイスキーの消費量をあげるためにSUNTORYが考えた飲み方なんだっけ。

なんぼー:そう言われてますよね。

東谷:結構マーケティングの優秀事例としても紹介されがちだから、俺も聞いたことあるわ。どこでもハイボールが飲めるっていう「文化」を作ったわけだからすごいよね!今やウイスキーが足りなくなっているくらいだもん。

なんぼー:その状況を受けて、SUNTORYはハイボールと同じ手法で「翠ジン」にもチャレンジしているんですよね。

東谷:確かに、この間、居酒屋でもジンを推してるポスター貼ってあるの見たわ……!

なんぼー:角ハイボールは、いきなりCMを打つんじゃなくて、料飲店から消費者と接触していったのがうまかったんですよね〜!

東谷:実際、最初にCMをドーンと打つだけじゃうまくいかないことも多いよな。

なんぼー:特にハイボールみたいに新しい飲み方を提案する場合、CMしても、お店で飲める状態になってないと意味ないですからね。

東谷:フィジカルアベイラビリティ(買い求めやすさ)とメンタルアベイラビリティ(思い出してもらいやすさ)だよね、まさに。プロモーションしている時に、コンビニやドラッグストアでどれだけ店頭に並んでいるかって実はものすごく大事なんだよな。

なんぼー:さすが東谷さん。この間、ボタニストがドラッグストアのシェア1位になったっていうニュースが出ましたよね。シャンプー業界では大きなニュースだと思うんですが、商品開発やマーケティングが素晴らしいのは大前提として、新しいメーカーのシャンプーを店舗に並べてもらうことができていた営業力もすごいなと。

東谷:間違いない!マーケティング成功の裏には、商品を買えるようにお店に並べる交渉をしてくれる営業さんのパワーが不可欠なんだよな、実は。

なんぼー:それでいうと、SUNTORYはものすごく営業力の強い会社ですよね。角ハイボールの場合、もちろん元々「一杯目に飲めるのがビールだけなのはきつい」「もう少しアルコール度数が低いものが飲みたい」という需要はあったと思うんですけど、その次のステップとして、CMではなくて、まずは先に飲める場所を提供する、っていうことができたのは、営業力あってこそ。

東谷:コンビニの棚もSUNTORYだけでめちゃくちゃ並べているもんね。素晴らしい営業力。飲食店でも、アサヒよりプレミアムモルツをよく見る気がするもんなあ。

なんぼー:僕、実は角ハイボールが流行しようとしていた時、居酒屋でバイトしてたんですよ。

東谷:ええ!そうなの!それめちゃくちゃ良い経験じゃん。

なんぼー:当時のこと、よく覚えてます。SUNTORYの営業さんが来て、タダでジョッキをくれたんです。

東谷:ああ、角ハイのジョッキね。あのロゴが入ってて、形がカクカクしてるやつ。お店でよく見るよ、いまだに。確かに最近、ジンのあの水色のコップもよく見るな。

なんぼー:そうですよね。飲食店って、よくグラスが割れるんですけど、その度に買い替えなきゃいけないので、グラスをもらえるのは嬉しいんです。

東谷:わー、なるほどね。それはそうか。

なんぼー:美味しいつくりかたもちゃんと教えてくれるんですよ。先にレモンを入れてください〜とか。確かその時はバックヤード向けに貼る用のハイボール作り方ポスターなんかも配ってたんですよね、ちゃんとデザインされたやつ。

東谷:クオリティコントロールね。完璧だな。

なんぼー:もちろん、店内にあのCMと連動したポスターを貼るように頼まれますし。

東谷:あれ、実はめっちゃ飲みたくなるよね。

なんぼー:気分がつくられますよね。そうして、ジョッキあり、美味しい現物あり、ポスターありの状態で、CMを投下すると。

東谷:飲みたくなったらすぐに飲めてしまう!

なんぼー:そうですね(笑)実はXに書いたんですけど、その方法が翠ジンにもそのまま適用されてます。元々クラフトジンが流行り始めていましたしね。

東谷:ただ、クラフトジンが流行ってきたとはいえ、ソーダで割るのは新しいよね。元々カクテルベースだから、今まで俺も飲んだことなかったな。

なんぼー:ハイボール頼むときに「角ハイください」って言う人いるじゃないですか。あれって角ハイがハイボールを広めたからこそだと思うんですよね。今度はジンソーダを頼む時「翠ジンで」っていう人、出てくるだろうなと思ってます。

東谷:しかも知多ハイボールで頼んでも、角ハイのジョッキで出てきたりするんだよね(笑)営業力あってこその手法だし、どんなブランドもできるような再現性高い方法じゃないけど、間違いなくすごいことだよ。

なんぼー:新しく文化を創造しようとしたときに、まずはお客さんとの接点を広げていくというのは、素晴らしい考え方として覚えておきたいですよね。さらにすごいのが、ハイボールを広めた後に、高級ウイスキーも売り出しているところ。文化をつくるには、参加者の幅である「ヨコ」も必要ですが、価格帯の「タテ」の要素も必要ですから。

東谷:ウイスキー、やっぱりロックで飲んでも美味しいんだよなあ。よし、今から飲みに行こうか!

なんぼー:そういうと思いました。きちんとハイボールでカロリー抑えてるか、チェックしておきますね!

東谷:お、おう……!まかせとけ!(笑)

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