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「物量」がキーワードの令和に、必要なUX

りさ:うーん、どれから見ようかな……。

なんぼー:お、今度は何を見ようとしてるの。

りさ:もはや、何から見ようって感じなんです!推しのカムバもあるし、もうすぐ気になってたドラマの劇場版が公開されるし、昔の映画の続編も公開されるから前作も予習したいし……。

なんぼー:さすが!情報感度の高いりさちゃんならではの悩みだね。

りさ:いやでも、前にもなんぼーさんとも話しましたし、他の方とも話されていましたけど、最近は本当にエンタメを楽しむために見るべきものが多すぎます!時間が足りない!

なんぼー:わかる。最近思うんだけど、令和のUXは「物量」がキーだと思ってて。

りさ:ひえ〜!

なんぼー:そもそも、まずプラットフォームをハックするためには大量供給するのが正義なんだよね。沢山コンテンツを流通させておけば、どれかが誰かにあたりやすくなるわけで。しかも一回当たったら、複数回接触させることができる。そうするとそのコンテンツが気になってくるよね。

りさ:心当たりあります。K-POPアイドルとか特にそうですよね!ずっと見ている間に曲やメンバーを覚えて好きになってくる……。

なんぼー:わかるわかる。俺もそれで最初TWICEやBTSにハマって、そこからLE SSERAFIMやNewJeans、aespa、Kep1erと芋づる式に好きになってしまったからね。

りさ:すごい!なんぼーさん、K-POPにも詳しいんですね。でも一方で、これまでもずっと話してきたように、とにかく見なきゃいけないコンテンツが多くて、大変じゃないですか。

なんぼー:そうだね。ファンであればあるほど「アレ、見た?」って話になるし。

りさ:もう本当にヲタクで居続けるのは大変な時代ですよ……!

なんぼー:「物量」が重視される時代の弊害がもう一つあってさ。それが一つひとつのコンテンツが “メインディッシュ化” されなきゃいけなくなっているんだよね。例えば音楽のイントロがなくなっているのもそうで。

りさ:すぐに曲のオイシイところが来ないと、飛ばされちゃいますもんね。

なんぼー:そうそう。沢山コンテンツを見ないといけないからね。曲を利用するという点においては、すぐに大トロが出てこないとダメっていう。

りさ:メインディッシュという言い方でいうと、最近NewJeansが出したアルバム『Get Up』も、BTSのVが出した『Layover』も全曲にMVがついていて。全部がメイン曲みたいに扱われてます。もー、本当に見るべき物が多すぎる!

なんぼー:全部のコンテンツでフルスイングしないとコンテンツに埋もれて行っちゃうんだろうね。アルゴリズムがエンタメを支配している気がするなあ。

りさ:コンテンツを準備する方も大変だ……。

なんぼー:「物量」が大事な時代ではアプリのUIも最適化されていくと思っていて。その最たる例がTikTokなんだよね。「物量」が大事な時代のUIは「大量に見せる」「ランダムに見せる」「指一本でそれを実現する」が重視されると思ってる。

りさ:ランダムはアルゴリズムのオススメですね!「指一本でそれを実現する」っていうのは……縦スワイプのことですか?

なんぼー:そうそう。スワイプひとつでどんどん次のコンテンツが出てくるから、ユーザーに大量のコンテンツを浴びさせることができる。

りさ:確かにTikTokがそうですね。ストレスなく、気づいたら次々見ちゃってます……!

なんぼー:それから、同じく素晴らしいのがTinderだね。

りさ:確かに!大量の男の子を日々見てます!(笑)

なんぼー:それも、沢山見るのが手間じゃないUIになっているんだよね。

りさ:そうですね。左か右にスワイプするから、こちらもどんどん見れちゃうと。いっぱい見させるためのUIと、大量に投入されるコンテンツ……!

なんぼー:だからやっぱりキーは「物量」なんだよな。物量をさばくUIも開発されているし、あと、これまで話してきた、「物量」が増えて、追いつくのが大変になる問題に対してのアプローチも一つヒントになるものを見つけてさ。

りさ:えー!気になる!コンテンツが増えれば増えるほど、ヲタクになるハードルが高くなる「すべてのジャンルはマニアが潰す」問題ですね!

なんぼー:そうそう。それがチョコザップなんだけど。

りさ:ジムですか?

なんぼー:そうそう。ジムって実はものすごく複雑なインサイトなんだよね。最初は「痩せたい」「運動したい」といってジムに加入するんだけど、モチベがずっと高い人なんて少なくて。ほとんどみんな憂鬱になりながら行くようになる。

りさ:わかります……!私も実はほとんど通い続けたことないです。だんだん面倒になって行かなくなって、そのうち退会しちゃうんですよね。

なんぼー:そういう人がほとんどだよ。だから、ジムにいる人って、ガチの人しかいないイメージになっていくんだよね。それで、普通の人は行きづらくなってくる。

りさ:そもそも、私みたいな一般の人がマッチョに混じってトレーニングするのって気が引けるんですよ。

なんぼー:それがまさに「マニアが新規を追い払っている」状態だよね。

りさ:確かに!

なんぼー:それで、長年解決されていなかったその問題を解決したのが『chocoZAP』。つまり、ガチな人お断りのジムだよね。

りさ:なるほど〜!『chocoZAP』はスキマ時間に軽く運動しよ!みたいな感じですもんね。

なんぼー:普通のジムってジーンズダメ、とか色々なルールもあるんだけど、『chocoZAP』はそのままの私服でトレーニングできるし、美容機器も置いてあって。筋トレと関係ないことをするのも許容してるのよ。

りさ:確かに『chocoZAP』って、そこまでガチな人がいなさそう。そう考えると、逆に行きやすい気がしますね。

なんぼー:そうでしょ。少し前にSNSでも話題になってた。徹底してゆるさを許容してハードルを下げることで、マニアの前で気後れしてしまう人を取りに行くっていう。実際、そういうゆるい層の方が多いはずだからね。

りさ:これって、他にもめちゃくちゃ応用できそうですね!

なんぼー:そうだよね。例えば『料理研究家リュウジのバズレシピ』が有名だけど、ああいう、ガチ勢が気にする手間を省いて、少ない食材で作るようなレシピコンテンツもそうかも。怠惰すぎないけど、ガチすぎない。

なんぼー:リュウジさんはさらにそれを進化させて「虚無レシピ」も作ってて、さらにカジュアルに料理を楽しみたい人には刺さりそうだなと思ってる。ほとんど一つとか2つの食材でつくれるようになっててさ。

りさ:ああ〜!!リュウジのバズレシピは確かに重宝してますあと長谷川あかりさんも。Twitterでよくバズるレシピも、確かに料理ガチ勢じゃなくても取り組みやすい気がする。

なんぼー:最近そういうレシピがすごく人気だよね。

りさ:そうなんです。それにしても、マニア——つまり「ヲタク」が増えてる前提、コンテンツの「物量」が増えている前提で、その弊害を救う仕組みまで出てきて、ヲタク文化の発展を感じます……。ヲタクにもヲタクじゃない人にも優しい時代がくるといいなあ!

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