思考の整理学 外山滋比古 ちくま文庫

先日ニュースで著者の訃報を耳にした。

名前を聞いたその瞬間この本のことを思い出し(恥ずかしながら著者についてはこの本でしか知らない)、ふと読みたくなった。

本を買ったのは大学に入った時でもう10年も前だし、1度しか読んでいない、いや読み切ってもない気がするのになぜすぐにピンと来たんだろうか。とにかく本の入ってる段ボールを引っ張り出して、あったあった、英文に向かって樽から水をこぼしている表紙の絵が懐かしい。

読んでるとちらほら既視感のある箇所が出てくる。けど当時は全く理解できていなかったんだろうなという感じ。今読み返してみると冒頭からしっくりくる言葉、グライダー人間と飛行機人間。自分の胸にグサリと刺さる。

ざっくり言うとこの本は飛行機人間になるためのヒントを書いた本である。飛行機はエンジンを積んでいるので自力で飛べる。グライダーは自力では飛べない。しかし学校教育はグライダー人間訓練所になっている。そんな中で少しでも自分の思考を煮詰めさすには。新しい考えを得る(自力で飛ぶ)には。スマホやAIといったこの"電子頭脳時代"において、自分で考えて創造するという作業がなくては人間は淘汰されてしまうのではないか。著者はこんな警告を私たちに伝えようともしている。

天国の著者からのメッセージかのようなこの1冊との再会を非常に嬉しく思う。


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