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取材学

読書用メモ51

▼タイトル:取材学 -探求の技法(1975年10月発行)
▼著者:加藤秀俊

仕事の対談を行う上でインタビューや対談関係の本を買い漁ったうちの一冊。私はまず読み始めるときに著者の経歴といつ書かれた本かを確認するのだが、しまった・・・1975年の本なんて内容が古すぎるよ、私が生まれる前の本じゃないか・・・と落胆した上で読み始めたのです。

ところがどっこい。確かに技法的に古い部分はあるものの、取材をする上での本質は今に通じるものがある。そして伝えたい内容がわかりやすく構成されており、ポイントに漏れがない。

さらに著者は「取材」の定義を問題発見(問題解決=いかに答えを得るか、ではなく、問題発見=問題意識を持て・なぜの意識)から考えるところから始めており、最終的には「学習」と置き換えている。つまり、人にインタビューする「取材」ではなく、広義の知的好奇心をいかに発揮し人生を豊かにすることができるか、そんなところまで話が広がっているのである。

・取材とは何か、そもそもサラリーマンも主婦も日常生活で”取材”と同じことを行っている。つまり取材とはあふれる情報の扱い方そのものなのだ。情報は受け手でいるだけではだめだ、使い手にならないといけない。

・取材を行う上で、問題発見が何よりも重要。なぜ・どうして・もやもやと気になってしょうがない、そんな問題意識が自らの主体性を発揮し、取材にあたる心構えとなる。

・書物から調べる力。耳学問の大切さ。人に取材を行う上での心構え。”聞く力”の重要さ。そして”現地を見る”ということを怠ってはならない。

・あふれる情報の中での"正しい情報"を得るための目的のない知的散歩・雑学のススメ、そういったものが鑑定眼を養う。

・取材における有限材料の認識(時間・金・熱意等)と、取材者への配慮・尊敬、取材した結果の発表における責任と謙虚さ・人間的愛情。

こんなに読みやすくわかりやすい本に久しぶりに出会った気がする。伝えたい内容に無駄がない。いい本に出会えたことにニマニマしながら読み進めてしまった。そして面白すぎて著者の別の本ももう2冊ほどポチリしてみた。こちらも読むのが楽しみである。

▼お勧め度:★★★★★ 個人的にはギャップ萌えもあり満点。

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