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雑記「ジョジョのアニメ全部観終わった感想」

恥ずかしながら、これまでの人生においてアニメというものとはほぼ接点を持たずに過ごしてきた。幼稚園児~小学校低学年というかなり早い段階からインターネットを身近に置かせてもらえるという幸運なんだか不幸なんだかよく分からない環境で育ち、自分が興味あるものを見ている脇でアニメやらアイドルやらにキツ~く当たっている(小さかったのでそれ以上のことはよく分からなかった)文言があちこちにあるのを見てしまっていて、そういった物からは自然と距離を取る癖ができていたのである。

それから時は流れ、アニメに対する偏見や迫害はだいぶ解消され、クラスの間でもアニメを見ていることは普通に公言しても大丈夫なくらい世間に浸透した世の中になってもアニメを見ることなく大学生にまでなってしまった。大学の友達にそれを話したら「お前それ人生の半分損してるよ」と言われ、半ば強制的に動画配信サービスに入会することになった。
せっかくサービスがあるのなら利用しないわけにはいかない、というわけで20歳を越してようやくアニメデビューを果たすことになったわけである。

とはいえ、いきなり萌え萌えな絵柄や声がてんこ盛りの現代のアニメに手を出すのはそういうのに免疫のない自分にはキツいと分かっていたので、一番最初に見るのはアニメっぽくない絵柄の作品にしようと思い至り、最終的に選んだのが「ジョジョの奇妙な冒険」である。

現在9部までが連載されているジョジョだが、アニメ化されているのはこの記事を書いている時点では物語に一定の区切りがつく6部まで。合計190話の重厚なストーリーになっており、1部から順番に見ていったのだが怠惰故に全部見終わるまで3か月くらいかかった

40年近く前から存在している作品だし(一番最新のアニメである6部も原作が連載終了したのは20年前)、終盤の重大な場面がネットミームと化している部もあるので今更ネタバレも何もあったものじゃあないとは思うけど、一応まだ見てない人のために具体的なストーリーは伏せて感想を書いてみる。

第1部 ファントム・ブラッド

他の部が平気で2~30話とかある中で、今作はたったの9話で駆け抜ける構成だったうえ、何せ最後に見たのが3~4か月ほど前なので細かいところは最早忘却の彼方だが、人生初のアニメとしてはなかなか良かったと思う。

今作はあちこちでネットミームとして使われる所謂「ジョジョ語録」が頻繁に登場しており、のっけから「何をするだァーッ!」だの「そこにシビれる!あこがれるゥ!」だの聞き覚えのある台詞が連発され、初めて見る作品なのに初めて見る感じがしなくてニヤニヤが止まらなかった。

第2部 戦闘潮流

まず何よりも音楽が良い。前作のオープニングはまさに原作が連載していた当時のアニソンみたいな良くも悪くも暑苦しい曲だったのに対し、今作では趣がガラッと変わり、お調子者の主人公ジョセフ・ジョースターに合わせたような洒落た曲が起用されたのだが、これが自分の好みにバッチリ合った
エンディングは前作から変わらずYesの「Roundabout」が続投されており、これも昔から好きで聴いていた曲なので馴染み深く、結果的にはOPもEDも飛ばさずにちゃんと全部見た唯一の部となった。

話数も第1部に比べるとけっこうな数だったのだが、一度見始めてしまえばそのままスルスルと全部観終わってしまえた。ジョジョ語録も初っ端から「逃げるんだよォ!」だの「我がドイツの医学薬学は世界一ィィィーーッ!」だの飛ばしまくりだし、かと思えばウルっと来る名シーンがあったりするしで終始楽しく鑑賞できた。個人的にはこれがジョジョ最高傑作

第3部 スターダストクルセイダース

ジョジョを語る上で外せない「スタンド」が初登場するのが今作である。
今作が連載していた当時は連載誌のジャンプが黄金期を迎えていたらしく、今でも「ジョジョと言えば?」と聞かれると、今作の主人公・空条承太郎を思い浮かべる人が多いとのこと。

そんな誰も彼もがウハウハな時代に描かれた作品なだけあってストーリーも脂がのりまくった王道路線を突き進んでおり話数も今作が最多(合計48話)。多少のツッコミどころはあるけどそれすらも気にさせないほどの勢いがあると思う。シリーズの中で際立って人気なのも頷ける面白さだった。
ただ個人的には王道ゆえに他の部のクセの強さが際立ってしまい、6部まで全部観終わった後にそれぞれの部を思い返そうとすると、どうしても最後の方に来てしまうかな…というのはある。

第4部 ダイヤモンドは砕けない

前作では主人公が日本人になったが、今作ではそれだけにとどまらず舞台も主要なキャラの国籍も全部日本。展開も他の部に比べると異色で、「奇妙な冒険」なのに一つの街の中で作品が完結してたり、今まではほとんど入っていなかったラブコメ要素が(スパイス的に)入ってきたり、一つの回で一度もバトルをせずに終了するいわゆる「日常回」があったり、振り返ってみると全体的にどこか平和でまったりした印象があった

今作はその展開に合わせてオープニング曲が3曲も用意されているのだが、その中の一番最初の曲が今でいうシティポップ調のノリがいい曲でめっちゃ良かった。改めて考えてみると主人公・東方仗助が2部の主人公ジョセフ・ジョースターの息子だから曲調も2部のOP曲に寄せたのかもしれない…?

第5部 黄金の風

イギリス→アメリカ→エジプト→日本、ときて今度の舞台はイタリア。更にこれまでの主人公はみんな第1部の主人公ジョナサン・ジョースターの直属の子孫だったが、今作の主人公ジョルノ・ジョバァーナはそのジョナサンと敵対してたディオ・ブランドーの子孫。なので今作は外伝的な要素が強い。

この頃には所謂ジョジョ語録はあらかた出尽くしていて、自分も第3部辺りからそういう楽しみ方はしなくなっていたけど、今作では印象に残る大事な場面で見覚えのあるネットミームが登場するので実際に登場したミームの数のわりには妙にそれらの印象が濃い。例えばネタ画像として取り上げられる「この味は!………ウソをついてる『味』だぜ……」とか、多分誰もがどこかで聞いた事ある名台詞「覚悟はいいか? オレはできてる」、そして「ジョジョのBGM」としてよく挙げられる「il vento d'oro」も今作のものである。

あとこれは第4部もそうなんだけど、1~3部で登場したキャラクターが部を超えて活躍する場面は結構あるのに4~5部に登場したキャラクターがそれをすることはほとんどない。特に時系列的に一番最後となる6部では再登場の余地が多く残されていただけにそこはちょっと残念だった。

第6部 ストーンオーシャン

舞台は再びアメリカに戻り、主人公はここにきて初の女性。それに合わせたのか、これまで全て男性だったオープニング曲のシンガーも2曲とも女性になっている。このうち最初の方の曲は主人公・空条徐倫の性格に寄り添ったパンク調の曲でこれが凄く気に入った。2部の曲に並ぶ名OP曲だと思う。

そして今作、前評判があまり良くなくて特に終盤からラストにかけての展開が賛否両論を呼んでいたのだが、個人的には「否」寄りの感想を抱いた。
なんか、これまでのジョジョだったら切り抜けられていたピンチがそのままどうにもならずに事態が悪化する…みたいな展開が終わりに向かうにつれて増えてきてこれがリアリティなのかなとは思いつつも、個人的にジョジョの醍醐味は致命的なピンチを切り抜けていく様を見ることだと思っていたのでだんだん楽しめなくなっていった。ジョジョのなかでも色んな所に楽しさを見出せる上級者向けの作品だと思う

まとめ

部によって相性の良し悪しはあったけれど、総じて良い作品だったと思う。ちゃんと見てみるまではジョジョ立ちや変な効果音みたいな個性的な要素が目についてイロモノ的なイメージが強かったが、それらはあくまで付随的なもので、前述したように本作の醍醐味は先の展開が読めないバトルと、随所で垣間見える哲学。アニメどころか映画やドラマもほとんど見たことがないのでこういうエンタメに対する免疫がないというのもあるけど、予想以上に面白くて深みにはまった。アニメを見慣れている人が今作の劇画っぽい作画を敬遠するという自分とは逆パターンの例があるみたいだけど、それだけで今作を見ないというのは確実にもったいない。それほどの作品だと思う。

次は「ぼっち・ざ・ろっく!」を見ようか「呪術廻戦」を見ようか、それとも「進撃の巨人」を見ようか…

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