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Z世代が聴く名盤 #21 Daft Punk「Discovery」

ここ数年で「Z世代」という単語をよく聞くようになった。「団塊世代」「氷河期世代」「ゆとり世代」等に続く新たな世代の区分である。
なんでも世間様はこの世代を「自分達とは全く違う感性を持った若者」と見ているようで、そんな歳の若者が起こした迷惑行為やトラブルを見つけては叩く報道や、そんな歳の若者を集めては「昔はこうだった」と昭和や平成の映像やらを持ち出して色々説明して反応を見てみる企画が最近増えてきており、「最近の若いのは何を考えているのやら」という空気をなんとな~く感じる事が多くなってきた。

そこまで我々の考えていることが気になるなら発信していこうじゃないか、ということでこのシリーズを始めることにした。当記事はZ世代にあたる筆者が世代よりも上のアーティストが出した名盤を聴いて、感想を書いていくただそれだけの記事である。

筆者は2003年生まれで、ニュースなどで取り沙汰される「Z世代」よりやや年上だが、WikipediaによればZ世代とは概ね1995~2010年生まれの若者を指すとのことなので、そのちょうど真ん中あたりに生まれた自分はバリバリZ世代を名乗れる。


作品情報

ダフト・パンク、2枚目のオリジナルアルバム。アルバム全曲のPVとして、松本零士監修のオリジナルアニメを起用し当時話題を呼んだという。

前置き

Daft Punkというグループを知ったのは割と最近である。大昔にSMAPが出たソフトバンクか何かのCMソングに「One More Time」が起用されてたので(もちろん当時は知らなかったし、今作を初めて聴いてようやく「この曲は…あの時の!」と気付いた)そんな感じで知らないうちに耳に入ってくることはあっただろうけど、名前と曲を一致させられるようになったのは高校2年生とかそのくらいになってからだった。

今作はそんな時期に何の気なしにTSUTAYAで借りてきた作品の一つであり、個別に好きな曲だけピックアップして聴くことはあっても、全体通して最後まで聴くというのは随分長い事やってない。飽きるほど聴いた曲もあれば、聴いたのが前すぎて全く聞き覚えのない曲も入っている

ここ最近このシリーズで取り上げる洋楽は概ね昭和に発売されたレジェンド級の作品ばっかりだったので今回は相対的にフレッシュな平成生まれの名盤を取り上げようと思い、21世紀発売の今作に白羽の矢が立った。

感想

全体的にいい感じのアルバムだと思う。聴き返した時期があまり良くなくて(完全に飽きてはないけど、今作に対する熱が落ち着いてきた状態)どうにも感想が浮かばないところはあるけど、そんなコンディションで聴いてもなお「One More Time」をはじめとするキャッチーな曲の数々は色褪せない

だが自分が一番主張したい今作の魅力はサウンドメイキングである。今作は全編に渡って70~80年代のディスコ音楽が大胆にサンプリングされており、今作とその元ネタを聴き比べるのが一番楽しい。たとえ曲に飽きてしまったとしてもこういう種明かしを見てもう一度楽しめる二段構えの構造だ。

※一番視覚的に分かりやすく表してくれてる動画

元ネタを長めに切り取って曲全般にわたってループさせる「Digital Love」や元ネタの歌い出しをひたすらリピートする「Superheroes」など大雑把な切り取り方をしている曲もありながら「Face to Face」のように色んな曲を細かく切り取って緻密にまとめ上げる曲もあってサンプリングの手法にだけ注目しても今作にはメリハリがある

とはいえ後半のB面的な地味な曲たちを聴くのはちょっとキツい。特に「Something About Us」~「Short Circuit」の流れは有名なサンプリング元が発見されているわけでもなく、ゆったりしたテンポの曲が続くので何曲か削った方が良かったのに…と思わずにはいられなかった。

今作からDaft Punkの二人のビジュアルが顔を隠したロボットへと変貌して、以降解散までそのビジュアルを通すことになるが、これは今作のメタリックなアートワークやヴォコーダーを使った機械的なボーカルがあちこちに散見される今作のコンセプトに合っていてとてもクールだ。

あと、2001年時点でPVを全編アニメ(日本式のいわゆる「Anime」)で通してしまうというのもかなり先鋭的だったと思う。世界的で大ヒットした名盤にこうして日本の文化が絡んでいるのは素直に嬉しい。

今作は前作「Discovery」で得たユニットの名声を不動のものにする大出世作となり、サカナクションやPerfume(というか中田ヤスタカ)などJ-POP界隈の人々にも大きな影響を与えた。個人的には今作より先にそういったJ-POPを聴いていたので今作を初めて聴いたときに源流はここだったのか、と思った記憶が強く残っている。

一番好きな曲:Face to Face
一番「…」な曲:Nightvision

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