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馴染みの河川「越辺川 (おっぺがわ)」「高麗川 (こまがわ)」

子供の頃、ちょっと大きな川で釣りをしようということになると、越辺川 (おっぺがわ) あるいは高麗川 (こまがわ) まで自転車で繰り出しました。

家から釣り場までは子供の自転車で1時間程度かかるため、ちょっとした冒険旅行でした。

越辺川なら入間川 (いるまがわ) との合流地点近くにある釘無橋の近くへ。高麗川なら坂戸市の城西大学近くの四日市場あたりまで行きました。

越辺川も高麗川も大きく見ると荒川水系の河川です。

荒川上流河川事務所ホームページより (https://www.ktr.mlit.go.jp/arajo/arajo00025.html)

越辺川は埼玉県入間郡越生町黒山地区の黒山三滝付近が源流です。比企郡鳩山町で鳩川を、坂戸市で高麗川を、比企郡川島町で都幾川を支流として合わせながら、川島町角泉付近で入間川に合流します。

一方、高麗川は埼玉県飯能市、秩父郡横瀬町、比企郡ときがわ町の境である苅場坂峠付近が源流で、飯能市、日高市、入間郡毛呂山町を流れ、その間に長沢川、宿谷川などの支流を合わせ、坂戸市で越辺川に合流します

ちなみに、越辺川も高麗川も一級河川です。子供の頃に見慣れた越辺川も高麗川も入間川も都幾川もすべて橋のたもとによくみられる看板をみると「一級河川」と書かれています。反対に埼玉県内で「二級河川」という看板を見た記憶がありません。

実は埼玉県内には二級河川はありません。

「一級河川」や「二級河川」という分類は河川法によって指定されています。

河川法に定められた日本の水系の区分により、国土交通大臣が国土保全上または国民経済上特に重要な水系を一級水系と指定され、一級水系に係わる河川は、河川法によって指定される際は原則として一級河川となるそうです。

二級河川は、一級水系以外の水系で公共の利害に重要な関係があるものに係る河川で、河川法による管理を行う必要があり、都道府県知事が指定(区間を限定)した河川です。

一級河川と二級河川とは、水系が違うので、同じ水系内に一級河川と二級河川が併存することはないということです。一級河川、二級河川のほか、市町村長が指定する「準用河川」があります。準用河川に指定されたものについては、河川法のうち二級河川に関する規定が準用されます。

埼玉県には利根川水系と荒川水系がありますが、いずれも一級水系として指定されており、一級水系に属するもので河川法が適用される河川はすべて一級河川となることから、埼玉で見かける河川の看板には二級河川が無いのですね。別に埼玉の河川がすべて立派だからというわけではありませんでした。

私は新潟の大学に進学して初めて二級河川という看板を見ました。

ところで高麗川も越辺川もなかなか面白い名前だと思います。

高麗川の「高麗」は古代朝鮮半島「高句麗(こうくり)」と深い関わりがあったことを表しています。高句麗は唐(今の中国)や新羅との戦いにやぶれ、668年(天智7年)にほろんでしまいました。高句麗から海を渡って日本に来る人たちが多くいました。その人たちを日本では「高麗人」と呼びました。716年に、関東各地(当時の7カ国)に住んでいた「高麗人」1,799人が武蔵国に集められ、「高麗郡」ができました。

[埼玉県日高市公式ホームページ 高麗郡建郡1300年の歴史と文化]

越辺川の名前の由来は、「越生 (おごせ) の辺りを流れる川」から来ているという説や、北海道乙部町の「乙部」と同様にアイヌ語の「オ・ト・ウン・ペッ(o-to-un-pet 下流の方に沼のある川)」に由来するという説などがあるものの、詳しいことは分かっていないそうです(ウィキペディア「越辺川」より)。

「越生 (おごせ)」も難読地名で、語源については諸説がありますが、平野と山地の接点にあたる越生からは、秩父に向かうにも、上州に向かうにも尾根や峠を越えなければなりません。それに由来した『尾根越し(おねごし)』の『尾越し(おごし)』という言葉から変化したという説が有力視されています。

[埼玉県越生町公式ホームページ 町の紹介]

意外に埼玉県には面白い地名が多いですね。

越辺川で魚が釣れなかった春の日の夕方、土手の上を兄と一緒に自転車を押しながらとぼとぼと歩いた光景が今でも忘れられません。美しい夕焼けでした。

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