見出し画像

「猫の首に鈴をつける」

「猫の首に鈴を付ける」という慣用句があります。

イソップ物語に出てくる寓話に由来するそうです。猫から身を守りたいネズミたちが、良い方法がないか相談したところ、猫の首に鈴を付けておいて、その鈴が鳴ったら逃げればよいということになりました。しかし、いざそれを実行しようとすると、だれもそのような危険なことを引き受けるネズミはいなかったということから、名案であっても実行することが困難なことのたとえであると言います。

私がまだ幼稚園ぐらいの頃、私の父が、NHKのテレビ番組に技術専門家として出演したことがあります。その時、番組の最後に司会者から、たぶん「技術的になかなか困難なことだとは思いますが、あえて警鐘を鳴らすことはできないのでしょうか?」といったような意味で「猫の首に鈴を付けることはできないのでしょうか?」と聞かれ、「質問の意味がよく分からず的外れな答えをしてしまったよ」と家に帰って来てから言っていたのを、なぜだかすごく覚えています。

そのおかげで、この「猫の首に鈴を付ける」という慣用句がすごく印象に残っているのですが、残念ながら普段の生活の中で、この慣用句を使う機会はめったにありませんでした。。。


そういえば、この番組の収録で、父が放送局に行ったとき、廊下でいつも夜7時のニュースを読んでいるアナウンサーとすれ違ったそうです。あまりにテレビでよく見かけるアナウンサーだったので、何となく古くからの知り合いのような気分になり、思わず親しげに挨拶してしまったよと言っていたのを思い出します。

知らない人からすごく親しげに挨拶されたアナウンサーも困っただろうねと笑っていた父の姿を今でもよく覚えています。人はたまにどうでもよいようなことをあざやかに覚えているものですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?