洗濯機の後ろっかわに歯磨き粉を落とした22時。
洗面台と洗濯機の非常に狭い隙間のその更に裏。
もうお風呂も入って、秋の風を感じるために窓を開けて気持ちの良い夜を過ごそうと思っていたのに。汗かき必至なタスクがここに。

歯ブラシを置いて、膝をつき、精一杯手を伸ばし、指を可動域いっぱいに動かす。根拠もなくあと少しで届く気がする。
その指先に、何かが触れた。
根拠が生まれた。間違いなく届く。

誰かの「手を伸ばして」が聞こえる。

ちょっと難しい助言だ…
私の大好きなBUMP OF CHIKENは瞬間的な応援には不向き…
確かに今私は洗面台の左斜め下にはいるが、鏡は手を伸ばしてはくれない。
見下ろしているような気さえする。鏡はいつだって私を見下ろしている。

夢も私を見下ろしていたのか…
私が夢を見上げているということは、夢は私を見下ろしている。
深淵とは対等なのに。
今は歯磨き粉に手を伸ばしているから夢はその後でもよろしいか。
生活に追われる中でいつでも夢は後回しにされてしまう。貧しさ。

それは最終兵器。
確かに今目の前に歯磨き粉とおみくじの箱があったらおみくじに手を伸ばすかも。
もうこんな秋野入り口に汗垂らしながら歯磨き粉に手を伸ばす必要ないんじゃないか？

遊助……

ありがとう遊助。

遊助？
ひまわり達はどういう気持ち？
私は消費されたのか？遊助に。ひまわり達に。
結局そう。汗水垂らしてボロボロ頑張ってきた人間より、それを後から助ける奴の方がカッコいいもんな。最初の豪炎寺修也とか。
ちなみに「イナズマイレブン　手を伸ばし」で検索したら知らないキャラと知らないキャラの女性向け一般同人誌（BL含む）が出てきて怖かったです。

歯磨き粉は無事に取れました。
突然ですが、私の思う大人の基準として「歯の定期検診に行っている」は3本の指に入ります。
以上です。