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自分の意志でテクノロジーと向き合う

私が働いているリテイルテックベンチャーの20代のエンジニアの方で、未だに”ガラケー”を愛用している人が人がいて、最近チームの中で少し話題になりました。

今もガラケーを使用している理由は2点あるそうで、

1つ目が、どうにもこうにも今のスマホの機能が充実し過ぎていてついていけないという理由です。

そして、2つ目が、情報から一切遮断した時間を持ちたい、要はデジタルデトックスの機会を設けたいという理由です。

ガラケーを使っているという話を聞いた際、一瞬「えっ、なんで、、?」と思ってしまったのですが、よくよく改めて考えてみると、

”今時のベンチャーでかつエンジニアと言ったら最新のツールやデバイスを当たり前にいじれて然るべき”

というような、ある種マジョリティに偏った常識の枠にハマっていたと感じ、少し自分を恥ずべきと思いました。

スマホがもたらす弊害

Appleのスティーブ・ジョブズが「iPhone」を発表した2007年以前、携帯でインターネットが使える機能「iモード」を活用することが、俗に言う日本の中でのトレンドだったと思うのですが、基本的には自らの意志が起点となって情報を取得することが多かったと思います。

また、オフラインで直接店舗まで足を運んで自分の意思で買い物をするということもまだまだ多い時代だったと思います。

そして、自分の意志が起点ではないところで言うと、友達の勧めや新聞、雑誌、TVCMなどの広告、口コミなどが主流だったと思います。

しかし、現代で言うと、スマホの電源を点けておけば、プッシュ通知で広告が飛んできたり、Googleで検索した内容を元にバナー広告が追いかけてきたり、TwitterやFacebookのトレンドが頻繁に表示されるなど、アウトサイドからの働きかけが強くなり、自分の意思で情報を取りに行くという瞬間が格段に減った印象があります。

テクノロジーに支配されないための工夫

冒頭で未だにガラケーを使用している同僚の話を挙げましたが、台湾のデジタル担当大臣のオードリー・タン(唐鳳)さんも意志を持って”ガラケー”を選択する一人であるということを最近知り、かなり衝撃を受けました。

また、スマホを持たない理由が非常に納得感があり考えさせられるものでした。

オードリー・タンさんの動画の中では、彼なりのレコメンデーションに対する制限の工夫を

「頭脳にマスクをする」

と言う面白い表現で語ってくれてましたが、

要は、プッシュ通知やSNS広告のようなレコメンデーションアルゴリズムを活用した広告については、自分の意志や好みにジャストフィットした提案をしてくるものがかなり少ない(時には、完全に外してくることもある)と言う前提に立った上で、タッチスクリーンの無いガラケーを使い夢中になることを防いだり、通知なども制限をかけて外から情報が降ってこないように工夫しているとのことでした。

また、これにより、脳にゆとりのあるスペースを確保しておくというのが印象に残った言葉でした。

その他、上記のコラムでは以下に記載のフレーズが印象的でした。

さまざまなAI(Artificial Intelligence:人工的な知能)をつくり出す自由は素晴らしいものですが、それが権威のAI(Authoritarian Intelligence:権威主義的な知能)になったとしたら、自由は持続性を失います。

なかなか難しい表現を活用しているのですが、「権威主義」と言うのは、意訳すると「権威のある人たちの思想や言葉、運動、体制などを無批判に受け入れる有様」と言う意味になります。

そして、「権威のAIになったとしたら、自由の持続性を失う」と言っているのは、AIを駆使して情報操作をしようと試みている人たちにまんまと服従することになると伝えたかったのだと理解しました。

例えば、連日のように報道されている新型コロナウイルス感染のニュースもある種の情報操作だと思います。現時点(11月16日時点)で陽性者数約12万人、死亡者数約1,900人と出ていて、直近は感染者が増えているため不安を煽るようなニュースが連日報道されております。

しかし、もう少し範囲を広げて新型コロナウイルス以外の感染症の実績についても俯瞰して確認してみると、一例ですが、インフルエンザの場合は年間約3,000人程度の死者が出ております。

見方によっては解釈が異なるとは思いますが、単純な死者数の違いだけで見てみると新型コロナウイルスは、インフルエンザより怖くない感染症と言うことにも受け取れます。

上で述べたような簡単な例も踏まえ、目の前で”俺を見てくれ!”とのごとく覆い被さってくる情報を特に解釈も入れず鵜呑みにしてばかりいると、テクノロジーに支配されてしまうことになりかねないと思います。

なので、敢えて無数に飛び交う情報から自分なりの工夫で一定の距離を置くことが大事であると考えます。

まとめ

便利なデジタルデバイスが普及する今の世の中では、スマホやタブレットをいじっているだけで無数の情報に触れることができてしまいます。

そして、ふと気がついた時には、デバイス上でレコメンドされた情報に飛びついてしまい、小一時間無駄に過ごしている自分に気付きショックを受ける、なんてことがざらにあるかと思います。

それと並行して、適切な人にマーケティングを実施するためのMAサービスを展開する企業もかなり増えているため、いずれは自分にフィットした情報しかレコメンドされない世の中が来るかもしれないのですが、

見方を変えると、上で述べたような「負」が助長されるような世の中に傾きかけかねないと考えてます。

そういった状況の中で、

自分にとって本当に意味のある大事な情報を適切に選別する能力は、
自らの夢を最短距離で実現するための一つの大事なスキル

なのかもしれない、ということに気づかされました。

ここまで読んでくださりありがとうございました。

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