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ラーメン屋から見る顧客視点の違い

私が、大学生院生時代からこよなく愛する御茶ノ水にある「つじ田」というつけ麺屋さん(今回は美味しくて人気のラーメン屋さんと定義)と、最近、初めて行った地元のごくごく普通のラーメン屋との間で、単純な味の違い以外に顧客視点という観点で明確な違いが垣間見えたので、プロダクト開発にも応用できそうだと思いで内容を整理しておくことにしました。

ここで言う顧客視点とは、

端的に言ってしまうと、「どれだけ顧客の目線に立ってサービスを展開できているか」と言う視点なのですが、この表現だと抽象度が高くイメージが付きにくいと思うので、1つ例をあげてみようかと思います。

例えば、ラーメン屋さんで「トッピングを無料でつけるとしたら何が良いですか?」というアンケートを取ったとします。

アンケートには、多くの人が「ニンニク」と回答しました。

そしてアンケートに答えてくれた人には無料で「ニンニク」「海苔」「味玉」のいずれかのトッピングを差し上げます。と言われた際に実際にオーダーを受けたのは「ニンニク」ではなく「海苔」や「味玉」が多いということがあると思います。

この場合に、よくよく理由を聞いてみると、「午後も仕事なので息が臭くなるニンニクはちょっと、、」ということだったり、「豚骨ラーメンだったらニンニクだけど、今は醤油ラーメンを食べているので。」ということだったりします。つまりは、実際にアンケートやヒアリングのように実際の声として聞き取れる内容以外の部分で顧客の行動をどこまで把握できるか、ということが顧客視点ということになると理解しております。

ごくごく普通のラーメン屋が持つ視点

そんなこんなで少し前置きが長くなってしまいましたが、ごくごく普通のラーメン屋では、顧客視点ではなく、ラーメンを提供する店主側の視点が強いという印象を受けました。

麺、スープ、具材が全て個人プレーヤー

冒頭で行くかどうかの一番のポイントとして「味」も挙げたので少し味についても触れておこうかと思いますが、ごくごく普通のラーメン屋に行った際に真っ先に感じるのが、麺・スープ・具材の味が全て独立しているということです。麺に関しては、スープと絡み合って初めて弾力感や歯応えを感じるものだと勝手に思ってますが、あまり美味しいと思わない場合は、スープに合わせる前の麺の味がしっかり残っているといった印象があります。

ペルソナが不明確

プロダクト開発において、ペルソナ像(ターゲットとなる顧客を性別、年齢、住んでいる地域、趣味、職業、関心のあることなどを想像した仮想の人物)の設定を実施した上で、ペルソナの喜ぶであろうプロダクトの開発を行ったりします。この考え方は、飲食業界にも当てはまる部分があるような気がするのですが、ごくごく普通のラーメン屋では、メニューやトッピングが豊富で万人受けを狙っているように思えたのですが、値段は相場より高く、結局、どんな客を狙っているのかの検討がつかないということがよくありmす。

店員さん主導の空間

本来であれば、たとえ店内が混んでいたとしても、ラーメンを目の前にすればそのラーメンに集中できるのですが、ごくごく普通のラーメン屋では、入店時から店員さん主導で、消毒をし、席も決められ、いざラーメンを食べるぞ!となった時も店員さん同士での会話が気になり、ラーメンに集中できないといった、割と顧客のペースではなく店員さんが中心にきているという印象を強く受けます。

美味くて人気のラーメン屋が持つ視点

一方、私個人の主観で感じる美味しいラーメン屋は以下のような特徴があると思います。

麺、スープ、具材の全てが合わさって一つの作品になっている

このラーメンが本当に美味しいと感じる瞬間は、麺、スープ、だけでなくトッピングの全てが一体化して一つのラーメンという作品が出来上がっていると感じた時です。

例えば、「銀座 篝(かがり)」というラーメン屋ですが、鶏ベースのスープにヤングコーンやパプリカ、レンコンなど、ラーメンとしては変わった具材がトッピングされておりますが、これがなぜだか化学反応を起こして美味しいと感じる一品になっております。1つの具材がかけても違和感があると言った感覚さえ覚えます。

ブランドが確立されている

上記で「ペルソナ」という表現をしましたが、ある特定の層を意識したラーメンを作り上げることで、その特定のターゲットに刺さるだけでなく、このラーメンと言ったらあのお店!みたいな形でブランドとして、人々の記憶に残るものに仕上がっていると感じます。

例えば、「AFURI」と言ったら、柚子塩で細麺で焼豚のチャーシューが美味しいイメージがパッと浮かんできます。

心地よい放任空間

人気のラーメン屋はしばしば混むので、早く待っている人に席を譲らなければ、という気持ちにはなるのですが、店員さんとは必要最低限のやりとりで、食べている間は目の前の食材に集中させてくれる空間を提供してくれるお店は良いラーメン屋な気がします。

ラーメン屋ではなく中華料理屋(坦々麺)ですが「辰春」という中国酒家は、まさに必要最低限のコミュニケーションで食べ物に集中させてくれます。

まとめ

ざっと取り止めもなく、思ったことを記載してしまいましたが、要点をまとめると、ラーメン屋もプロダクト開発と同じで、

商品を作る中でどれだけ顧客の気持ちに寄り添えるか

という視点が、大事なのではという気がしました。ただし、「顧客」というのは必ずしもサードパーティというわけではなく、自分という場合もあると思います。

要は、自分をペルソナとして設定して自分を一番満足させる商品を開発するといった場合です。

そう言った意味では、多くの人を喜ばそうとするよりもたった一人の大事な誰かを喜ぶことに注力した方が、上手く行くのかもしれません。

参考

参考ですが、今回取り上げたラーメン屋(中華料理屋)は以下になります。


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