良作たちと駄文ども

理系大学生です。色々な分野の本を読めればなと思います。 インスタ( https://i…

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理系大学生です。色々な分野の本を読めればなと思います。 インスタ( https://instagram.com/nanka.ene?r=nametag

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親子を超えた”血縁のない親子”の物語~「そして、バトンは渡された」~

 初めての投稿になります。今回は瀬尾まいこさん著「そして、バトンは渡された」の書評(読書感想文)です。 きっかけ  この本を読んだきっかけは「映画化されたこの作品を見て、とても感動したから」です。友人らと見に行きましたが、全員一致で涙しました。ほかの友人にも勧めたところ、彼らもとても感動したといっていました。そんな中、一緒に行った友人らはすでに原作を読んでおり、ぜひ読んでみてほしいと言われました。またネットを少し見たところ、「原作と映画ではストーリーが違う」とあり、気にな

    • マルコフ過程を用いた麻雀における和了巡目期待値の構成

      Abstract麻雀におけるテンパイ維持判断のための新たな指標として和了巡目期待値を提案した。その際、各順目でのプレイヤーの行動を元にしたツモ和了確率をマルコフ過程を用いて構成し、巡目ごとの初和了確率を定義できるようになった。「構成したツモ和了確率は正確であるのか」という問いの検証は、先行研究との比較や自明な等式が成立するかどうかによって行い、「和了巡目期待値はテンパイ巡目やテンパイ時の残りあたり牌にどのように影響するのか」という問いの検証は、数値計算によって行った。今回の結

      • 麻雀におけるツモ和了確率に関する研究

        Abstract麻雀におけるテンパイした後の経過順目に対するツモ和了確率を数値計算によって調べた。その際、他家からのロン和了がない、他家の和了がないことを仮定して、ツモ和了する順目の確率分布をテンパイした順目と待牌数から構成した。数値計算の結果、先行研究で得られた結果とは異なる結果を得、その原因を先行研究では1回ツモるごとに減る山の牌数を正しく考慮できていなかったためだと特定した。また、期待値についても考察を行い、「自分がテンパイしてから何順目で和了することができるのか」につ

        • 「一息」#インスタントフィクション

          お久しぶりです。卒論に追われており、心の余裕がないnankaです。 なかなか本を読むこともできなくなり、読んだとしても、ここに書くくらい感想を深められずにいます。 そんな中、友人の勧めでピースの又吉さんのyoutubeの企画「インスタントフィクション」をみてみることに。又吉さんの解説に度肝を抜かれると同時に、友達よろしく自分も書いてみたいと思いました。400字という短い量で書けるので、アイデアさえあれば一瞬で書けるのが魅力的です。 拙い文章ですが、感想などいただけると喜び

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        親子を超えた”血縁のない親子”の物語~「そして、バトンは渡された」~

          気が付けばそこに哲学が~足の裏に影はあるか?ないか?~

          入不二基義さん著「足の裏に影はあるか?ないか?」を結構前に読んだので、メモを残しておく。 本書は哲学エッセーというべきもので、日常の中にある様々な疑問に対する哲学をまとめたものだ。 面白かった点面白いと思った点は、一見異なるものを対象にしている話でも、根柢のところでは同じような議論をしていたところだ。 例えば「地平線」はそれを超えようと進んでもまた新しい地平線が現れるため、「地平線に外はない」。同様のことが「私たち」という言葉にも言える。日本人としての「私たち」を考えた

          気が付けばそこに哲学が~足の裏に影はあるか?ないか?~

          最適化された社会は幸福を生み出すのか?~わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために~

          「わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために」という本をだいぶ前に読んだため、書評とは言えないが、メモ程度を残しておく。 この本は「ウェルビーイング」という、ある意味「幸福」とも捉えられる概念を定義し、その向上のために何ができるのかを論じたものだ。 その際、ロボット技術やSNS、経済や法や芸能など、幅広い分野の方がそれぞれの立場からウェルビーイングについての考えを述べる、オムニバス形式をとっている。そのため、理系文系に偏ることなく、様々な意見を得ることができる本であっ

          最適化された社会は幸福を生み出すのか?~わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために~

          知識の仕入れ方~読書を仕事につなげる技術~

          以前、こんなことを書きました。 なので最近は「知識」のインプット・アウトプットの仕方に興味があったりします。 そこで読んだ本が、山口周著「読書を仕事につなげる技術」です。 知識の使い方には様々あります。何かを理解するため、何かを解決するため、単純に人と共有するため。今回はそんな中から、「問題解決のため」を意識したインプット・アウトプットの方法に注目します。 タイトル通り、今回のインプットは本によるものです。効率的に知識を得、問題解決に活かせるようにする方法を学べる本に

          知識の仕入れ方~読書を仕事につなげる技術~

          将来について考える その1~コンサルティング業界大研究~

          皆さんは「自分がどんな仕事に向いているのか」について考えたことはあるでしょうか。 私は自分の将来像について深く考えなければならない状況にあります。それには、これから先どう生きていくのか、何を大切にしていくのかなどの人生観を見つけ、それにあったキャリアプランを設計することも含まれます。 私がもつ人生観の一つとして「自分がやりがいを感じられる仕事をしたい」というものがあります。これからの長い人生、どうせならやりがいを感じられ、楽しい時間を過ごしていたいからです。 まだまだ考

          将来について考える その1~コンサルティング業界大研究~

          教養は言葉に表れる~語彙力こそが教養である~

          齋藤孝著「語彙力こそが教養である」を読みました。 日ごろ生きていて「語彙力ないな、、、」と感じる瞬間が多く、語彙力の大切さや身につけ方を知りたいなと思って読みました。 おそらく対象は大学生以上の大人で、ビジネス人向けな印象を受けました。 どんな内容?「教養は言葉の端々に表れる」とし、日常での会話だけで頭の良しあしは判断できると著者は述べています。語彙力は「教養測定器」とも書かれていました。 では、豊富な語彙を身につけるためにはどうしたらいいのでしょうか? それは、た

          教養は言葉に表れる~語彙力こそが教養である~

          自分が世界となる場所、「考える」を考える果て~問いの立て方~

          宮野公樹著「問いの立て方」を読みました。最近「考えること」について考える機会があり、その際に何か参考にならないかと思って読みだした本です。軽い気持ちで読みだしたわけですが、思ったよりも抽象的で、特にタイトルにもあるように「自分と世界が一緒になる」とか書かれていて、読み進めるのに時間がかかってしまいました。 本書はビジネス書のような「ハウツー」ではなく、哲学に近い内容になっています。そんな難しい内容の本でしたが、とても面白かったので紹介します。 本書の目的本書の目的は「いい

          自分が世界となる場所、「考える」を考える果て~問いの立て方~

          ○○のもう一つの人格に触れる世界~あなたの番です劇場版~

          先日「あなたの番です劇場版」を見てきました。ドラマとは違うストーリーということで、どんな結末になるのか、過去がどう絡んでくるのかを見るのはとても楽しかったです。 ストーリーというものになってます。ドラマでは、菜奈が住民会に参加して「交換殺人」に巻き込まれる、というようになりましたが、映画では菜奈ではなく翔太が行くことになり、交換殺人は行われなかった、という世界線が描かれます。 「あなたの番です」はキャラクターの性格や過去を小出しにしていたので、それを知ったうえでアナザース

          ○○のもう一つの人格に触れる世界~あなたの番です劇場版~

          「なーんてね」に込められた意味~告白~

          先日松たか子主演「告白」を観ました。原作は6年ほど前に読んだことがあり、懐かしかったので未視聴だった映画を見てみようと思ったからです。 ストーリーというような内容になってます。 この森口の復讐ですが、直接的に殺したりするのではない、間接的なところが面白かったです。 例えば、「犯人に支給される牛乳の中にHIVのウイルスを混ぜた」というが、実際には入れておらずクラスの皆や犯人自身の心の圧力でじわじわ蝕まれていく、というようなものです。 これによって、人間の弱い部分によって

          「なーんてね」に込められた意味~告白~

          豊かな色味の光と影〜水曜日が消えた〜

          中村倫也主演「水曜日が消えた」を見ました。 前に聞いていたように、1週間のそれぞれの日で中村倫也の人格が変わり、性格の全く違う7人を中村倫也が演じ分けます。 映画の雰囲気作り中村倫也の演技力もさることながら、映画ならではの要素も1週間それぞれの日に特徴をつけていました。 朝や夕方に街に流れる音楽が毎日違っていたり、朝のテレビ番組の内容が微妙に違っていたり、主人公たちの日用品や趣味も色味溢れていたりと、1日1日が豊かに表現されていました。 これと各人格が対応して、キャラ

          豊かな色味の光と影〜水曜日が消えた〜