映画『LOVE LIFE』人の嫌な側面を見せてくれてありがとう

ただただ深田晃司監督作品ということだけを頼りに見に行った

『LOVE LIFE』
監督 深田晃司
出演 木村文乃 永山絢斗 他
2022年9月公開

自分的にドラマ系の映画の中で出てくると見せてくれてありがと〜と思うシーンが1つは別れ話で、もう1つが身勝手とか無自覚とか器小さいとかそういう人の嫌な部分の描写なんだけど、この作品は人の嫌な言動がたくさん見られてとても良かった

まずは序盤の妙子(木村文乃)は義父(田口トモロヲ)から離婚歴があり連れ子がいることに対し理不尽な暴言を吐かれるが、それに怯まずに不満を表明して謝罪させる
その際、妙子をかばうような行動を取っていた義母(神野三鈴)から「次は本当の孫を抱かせてね」と言われ何も言えなくなってしまう

味方のような言動をしていた人物が悪気なく無邪気に1番言われたくないことを言ってくる嫌な感じ

同時にら両親を説得しきれず、妻を辛い立場にさせている夫(永山絢斗)の頼りなさも滲んでた

そして妙子の息子が悲しい事故で溺死してしまった直後の病院での義母の本当に非情な発言
序盤で妙子に辛くあたっていた義父がそれをなだめていて、あんな暴言を吐いた人ですらさすがにと思うようなことを言ってしまっているっていう
すごいシーンだった

妙子の再婚相手の夫の、悪い人ではないのだろうけどそれゆえの流されやすい感じとかもなんとも
妻に内緒で休職中の同僚でもある元カノに会って、しかも自分からキスしちゃったりして
性的な目で見てるんだか慰めの気持ちなのかよくわからない向き合い方だったけど、そこで元カノから人と目を合わせられないということを指摘される

一方、妙子は不満を表明する時は特に正面から人の目を見て問いかける

息子の死をきっかけに元夫と再開した妙子
妙子とろう者である元夫との手話によるやり取りに明らかに疎外感を募らせている再婚夫の様子

自分の行動は棚に上げて妻の不貞を疑ってぷんすかぷんすかしてる様子とかも器小さい感じで良かったなあ

妙子は妙子で、路上生活をしている元夫を積極的に支援する
今の夫との夫婦関係を続けることを考えると過剰とも思えるサポートをしているように見えた

妙子が職場で生活保護の窓口に手話のできるスタッフを応援に寄越すよう言われた時点から、元夫のことだと確信して途中から小走りで駆けつけていて、そこからすでに気持ちが身体的にも表れていたんだなと

そしてついには危篤状態の父親に会いに韓国に渡る元夫に付き添うと言って夫を残して衝動的に元夫が乗った船に乗る
「彼は弱いんだから、私が守ってあげないといけないの!」
という発言に基づいた行動なんだろうけど、そもそもこの発言自体に一瞬、え!って
おっとっと、なんだか危ういなあと思った

目的地に向かう途中、父親が危篤というのは嘘で本当は息子の結婚式に出席するのが目的だったことが発覚する
なんだそれ
いや、もう
一緒に来ちゃったじゃーん
韓国までー
私がついてなきゃダメだからっつってー
夫に引き止められたのにー
今の夫置いてきちゃったじゃーん

そうだよね、もう、、踊るしかないよねって
雨に濡れながら結婚式でかかるにしては軽薄な音楽に乗ってね

置いていかれた夫と置いていった妻
いろいろ飲み込んで
そんなことがあっても生活は続く


あと経済感覚がまっとうで良かった
役所勤務の夫婦の3人家族ならまあそのくらいの住宅ですよねって
ドラマとかでそんなわけないだろって部屋に住んでること全然あるからなあ

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