職場では敬語を使ってくれよって話
できる上司ほど、部下にも敬語を使う。
今までサラリーマンとして働いてきて、つくづく実感していることだ。
“できる上司”は、部下の年齢や勤続年数を問わず「名字+さん」で呼んでいる印象である。
指示も明確かつ簡潔であるため、一緒に仕事をするうえで余計なストレスを感じなくて済む。
一方、上司としての能力に疑問を感じてしまうような人ほど、見事にタメ口、呼び捨てだ。
中には、
などの乱暴な言葉で部下のメンタルを削り、潰してしまうような人もいる。
のように、部活の先輩レベルの雑な指示を飛ばすことも多い。
こういう人は、高圧的な態度で“仕事ができる風”を装っているものの、実際にはそうでもないのである。
同じく、これは上司・部下の役職を問わないのだが、委託業者に対して横暴に振る舞う人にも言えることである。
「店員さんに対して横暴な人は幻滅される」という話は世の中に浸透しているようだが、こと仕事中となると、その認識は消えてしまうのだろうか。
ただの末端の担当者が、まるで自腹を切って大口取引をしている太客かのような口調で業者に接している様子は、痛々しくて見ていられない。
(無論、自腹を切っていても横暴なのはダメだが)
類似例として、横暴ではなくとも、委託業者に対して“厳しい態度”で接することを正義だと思っている人が挙げられる。
彼らは、
なんて文句を言いながら、平気でタメ口を使いながら、電話でキツいダメ出しをしたり、カツカツの納期を指定したりする。
どうやら、
と思ってやっている人も多いようなのだが、本当に仕事に妥協しないならば、「外部の人と気持ちよくやり取りする」という仕事をしっかりと果たすはずなのである。
もし自分の親が、職場でこういうことをしている類の社員だったとしたら、縁を切ることを検討するレベルで見苦しい。
もちろん、タメ口や呼び捨てが絶対にダメというわけではない。
外部の人にタメ口や呼び捨てをするのはなかなか考えられないが、上司と部下であれば、往々にしてある話である。
先に挙げた“できる上司”だって、タメ口を使うこともあるだろう。
ただそれは、しっかりと“不快感を持たれない人間関係”を構築してからの話だ。
「上司と部下」という関係性のみで、いきなりタメ口を使ったりはしないのである。
以前、この話をどこかでしたところ、
と言われたことがある。
残念ながら、もうその感想にその人の“人となり”がすべて集約されている。
まともな生活をしていたら、“そんなに仲良くない大人”と接する際には、自然と敬語になるのである。
上司とか部下とか年上とか年下とか発注元とか業者とか店員とか客とか、各々の立場は関係ない。
「気を使わないと敬語にならない」という時点で、言っちゃ悪いがその人のお里が知れてしまうのだ。
相手を“一人の大人”として尊重しているのか、“自分より地位が低い人間”として認識しているのか、そこでわかってしまうのである。
また、
という人がいるが、ちょっと勘違いをしていないだろうか。
職場は、それぞれがそれぞれの役割を果たしてお金をもらう場所である。
基本的に、仕事場ではそんなに距離を縮める必要がないのだ。
中には、職場にとても気が合う人だっているかもしれない。そういう人とは、敬語とかタメ口とか関係なく、自然と距離が縮まっていくものだ。
例外として、ごく稀に、いきなりタメ口を使われても、
と思ってしまうようなキャラの人もいる。
その人はもう、「そういう才能」を持っている人だ。
あくまで稀有な事例であり、大多数の人間はそうではないということを肝に銘じておくべきである。
反論されることのない優位な立場で、赤の他人に対して配慮のない態度を取って、気持ちよくなっている人間の姿は、甚だ醜い。
上司と部下
発注元と業者
店員と客
これらは王様と奴隷でもなければ、主人と召使いでもない。
多少のパワーバランスはあれど、あくまで人間としては対等なのである。
一人でも多くの人がそれを意識するだけで、国民が感じる「仕事への憂鬱」は、かなり減るのではないだろうか。
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