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新庄という船に乗って

この春、コロナ渦の真っ最中に「新庄という船に乗って」は完成した。

わたしが25年間育ったこの場所が、「新庄」という地域だ。

お天道様が注ぐところは一面田んぼ
周囲を山々に囲まれ、京都や大阪まで流れる川の中流域で
四季の巡りの営みのなかで脈々と暮らしてきた。

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特別な世界遺産や、全国に誇れるようなダイナミックな
自然が広がっているわけでもない。

「なにもない」

と言われるからこそ、ここの日常、営みに触れられるような。

よくある観光冊子のように全体を均一に紹介するでは魅力は届かない。

なにより、その土地の風を感じるのはそこに暮らす人々がいるから。

ただインタビューして編集する、ではなく
〈地域のみんなでつくる冊子にしたい〉と思い、

住民の皆さんの新庄の日常を富士フィルムの「写ルンです」を60台配り、
撮影いただきました。

おじいさん、おばあさん、子どもたち、その親御さん、、。
誰でも気軽に撮影できるからこそ写っている表情
綺麗だなって改めて地元を見渡して、感情の伝わる写真の数々。

普段そんな会話改めてすることも少ないから
気づかなかった近所の方々の視点。

カメラを構えることで、私たち住民も改めて自分の暮らす地域を見つめることになって。

そこに含まれる、私たちの暮らしのそれを見つめることになって。

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中に使ってある写真はもちろん、できるだけ多くの写真を使えるように500冊の表紙を一枚一枚変えて。

普段なんてことない風景が切り取られ、そこにある季節の巡り、
人々の息遣いが時代を超えてここに伝わって来るような。

背伸びするでもない、綺麗に編集されたでもない
等身大そのままの私の地域。

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ここは少し足を伸ばせば日本中のどこにでも広がっているような原風景の残る里山地域。

そのかけがえのなさを改めて噛み締められるというか。

フィルムなので今年一年の写真なのだけれど、どこかノスタルジーで20年前、50年前かなという錯覚に陥る。

日本人の心の故郷。
そんな風景が広がっているところです。

名称未設定2.表紙

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山に囲まれ、農地が広がり、川が流れていくこの地は、
私たちが旅するように暮らす船のような場所のかもしれないと気がつきました。
この『新庄という船に乗って』という本は、乗組員であるこに暮らす私たちがつくりあげる一冊の本です。普段は改めて見つめることの少ないこの土地にあるたくさんの素敵なものを「載せて」いきます。
ここには気持ちのよい空気が流れています。その風に乗って、船はゆっくりじっくり進んでいきます。
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