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グッド・ボーイズの感想(ネタバレあり)

出町座で鑑賞。

一度シネコンでやっていた作品だからなのか、コロナの影響なのか、ガラガラだけどみんなギャグシーンになる度笑っていた。

アメリカ青春コメディ映画最前線の作品。
下ネタやらドラッグネタやらかなりひどいのだけど、ラスト主人公3人がそれぞれの人生の入口に立っていく様なラストにしっかり泣かされてしまった。

スタートの「キスのやり方を知りたい」から怒涛の勢いで珍事件が起こっていくのだけど、観ている途中で「何の為の何なのか」どんどん忘れていく、というかどうでも良くなっていく。
主人公三人の目的と手段の選択が全部間違っているのでお話し的にはどんどん気が遠くなっていくのだけど、そんな事を忘れるギャグの応酬にただただ笑うしかない。

主人公三人が起こす事件の数々がひどいし大迷惑なので「このクソガキが、、、」と思ってもしょうがない気もするんだけど、あくまで「好きな子とキスしたい」という事に一生懸命なだけなのでなんだかんだ応援してしまいながら観てしまう。というか三人が三人とも凄まじく芸達者なので何やっても可愛らしい愛嬌がある。

基本的には主人公三人がボケでその場にいる大人がツッコミを入れていく構成なのだけど途中で登場する大人達もかなり濃いキャラで三人との化学変化が毎回えらい事に。個人的に一番笑ったのはカードをメルカリ的なもので買いに来たおじさんの言われてみれば小児性愛者にしか見えない絶妙なビジュアルの所。

「彼女を作る」「好きな事を見つける」「自分の趣味と同じ人を見つける」という新しいステップへそれぞれが進んでいくラスト。
つるんでいること自体が楽しかった近くにいる友達となんとなく疎遠になっていく事って誰の人生にもある事だと思うので普遍的な感動がある素晴らしいシーンだったと思う。

それでいてラストカットにもう一度クッソくだらない下ネタで映画が終わっていく所で、「成長してもまた戻ってきてもいいんだよ」と言ってくれているみたいで、笑いながらもやっぱ感動してしまう。本当最高の切れ味の終わり方だと思う。

マックス。
天才子役、我らがジェイコブ・トレンブレイ君。
この歳でチャレンジングな役をやり過ぎでは?と心配になる。「プレデター」の役も驚いたけど、前作の「ドクタースリープ」での体当たり演技(マジで胸糞悪くなるので注意)で本当名優だと確信した。

最初の部屋でのやりとりは楽しいのだけど、父親からの束縛が結構キツくて大変。あんな所にドローン置いといて「遊ぶな!」って言う方が無理があるし、外出禁止はあんまりだと思う。反抗期が来たら間違いなく荒れそう。

なんだかんだであって最後は好きな女の子と付き合う事になるのだけど、あっという間に別れ、そして新しい恋が始まり、それも結局予想だにしたい方向で終わる。ここのトレンブレイ君お得意の上手い泣き演技が可笑しい。
しかしラストの三人目の娘と付き合っている感じが、もう童貞っぽさがなくて大人になってしまった感。

ソー。
キスゲームでマックス君の好きな子とキスする権利が当たってしまった時の、ビール四口で得た周りの評価を全部棒に振ってマックス君との友情を選んだ所で泣いた。
その後マックス君は好きな子とキスをし、ソー君は自分には歌がある事を再確認することになるのである意味、ここは友情の終わりでもあるので切ない。

その後彼の歌で三人それぞれの成長を描くシークエンスの完璧さ。とってもテンポが良いし、ちゃんと笑えて、でもしっかり泣けるバランス。

ルーカス。
一番いい子。正直過ぎて全部大人に話してしまう。警官見た瞬間に全部ゲボする所可愛い&その後の対照的なソーの万引きギャグのくだり爆笑した。

いじめ撲滅親衛隊みたいなのに入って仲間を増やすラストは自分の生真面目な性分を再確認し、自分で考えて居場所を見つけたんだなぁと思う。

この歳で両親が離婚してしまうのはかなり精神的にこたえるとは思うけど、この後の彼の人生の幸せを願わずにはいられない。(ただ映画内の両親の離婚描写がめちゃくちゃドライで笑っちゃうのだけど。)

そんな感じで良質なギャグ描写と良質なドラマ描写が同時に成立してるコメディ映画。
予告で観た印象以上の面白さがある作品で見逃さなくて良かった。

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