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サマー・オブ・84の感想(ネタバレあり)

出町座で鑑賞。お客さんはそんな多くなかったかな。

最近流行りの80年代ジュブナイル映画。週プレで高橋ヨシキさんが今作を評論した時に多くの人がノスタルジックを感じるのは大体30年前みたいな事を言ってたけど本当その通りだなぁと思う。映画に出てくる小道具など「っぽい!っぽい!80年代っぽい!」のツボは確かに押さえててそれだけでなんかいい!って気持ちになる。

ただジュブナイルサスペンスの描き方として僕は結構不満だった。制限時間の中でなんとか証拠を見つけよう!みたいな同じ様なくだりがワンパターンでサスペンスとしてあんまり面白く感じなかった。あとその過程で彼等の友情や信頼が深まるみたいな関係性の変化もさほど描かれないしジュブナイルとしても不満。

主人公の言ってる事も分かるけど証拠的には微妙なものばかりでどうなのかなぁ?と思う時間がかなり長いので、僕は緊張感が続かなくて途中から「どっちでもいいから結論早くしてよ」と普通にイライラしてきた。

そんな感じなのでやっぱりクロでしたー、ていう結論が出た時も「そっかー」位にどうでも良くなっていた。

80年代要素も楽しいっちゃ楽しいけど「ストレンジャー・シングス」や「IT」で最近さんざん見た様なものばかりで記号的に感じてしまった。この二作品はホラー要素が多いしアプローチも違うので比べるのもどうかと思うけど、日常にある違和感がちょっとずつ確信に変わっていく見せ方が上手く観ている間ずっと面白い、今作ではその辺の作品を雰囲気だけ踏襲してて脚本が単純に下手なのではと思う。

まあラスト英雄になった後のどんでん返し展開、ここの彼に対する精神的な追い込み方は異常で確かに面白かった。ここまで苦い余韻を残していくジュブナイルも珍しい。駒木根さん似の子の死に方も普通にビックリ。

ただこの後の残された3人の友情の変化とか、息子が亡くなったあのお母さんの反応(中盤に入る彼と母親との関係性も全部セリフで説明しててなんだかなぁ、、、)とか見れなかったのは突き放し過ぎで個人的には好みじゃなかったかな。

主役チーム4人それぞれ顔つきも良いし演者さんも上手いのだけどイチャつき具合が足りなくてあんまりチームとしての魅力を感じなかった。まあラストのあっさりバラバラになるのとかは作り手も意図した突き放しなのかも知れないけど。

サイコパス警官役のリッチ・ソマーさんは良かった。あんまり強くなさそうないい具合のぽっちゃり具合でサイコパス像として新鮮だった。
確かに笑顔になると若干の胡散臭さが漂うので「あー言われてみればちょっと変かも」位なバランスでずっと疑ってしまう。

あとヒロインも可愛いんだけど、不自然な位に主人公に擦り寄ってくるので、実は犯人なんじゃないかとちょっと疑ってしまう不穏感。
でも実は本当に可愛い弟みたいに思ってからかってるだけなのでしたー。
裸を覗いた綺麗なお姉さんがその日から意識しだして必要以上に気にかけてくれる、いやー!いい時代ですねー!80年代!結構結構!(中指立てながら)


そんな感じで好きな所とかも少しあるけど、全体的には雰囲気だけで、今傑作が多い80年代ブームには乗れなかった印象。

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