【星2月号追記】ツイッター短歌チーム戦評

うららかですか!
こんにちは、なんたる星です。
今回は最新の2023.2月号で予告していた、ツイッター短歌チーム戦の評を掲載しますよ。ナイス害・はだし・加賀田優子チームが、スコヲプ・迂回チームの短歌を評しています。

詳しい経緯は2月号をもいちど読んでいただくとして、さっそくまいりましょう。


雪の日はしんとしている 積み上げたジェンガと会話してるみたいだ


は:ジェンガの歌、「しんとしている」を例えるのに「積み上げたジェンガ」を持ってくるのはいいなと思いました。引き抜いて崩れるまでをやらないジェンガって無の象徴っぽい。存在感だけある無機物なのが「しんとしている」に合ってる気がしました

ナ:たしかにジェンガが積み上がってるときは、しんとしていますね。 雪国出身なので雪の歌は映像化しやすいのですが、雪が音を吸って静かな感じはちょっと怖いです。この後、明日の朝、どうなってしまうんだろうという怖さ。ジェンガも、積み上げすぎたらきっと崩れるし、ドカ雪が降ってる夜が明けたらそりゃめちゃくちゃ雪が積もってるし。そんな先が読める怖さがある気がします。

は:なるほど、雪が降らない地域なので怖いという発想はなかったです。雪にも嵐(積もる)の前の静けさみたいなものがあるとは。そう思って読むと予兆のような怖さがありますね。この歌の新たな面を見えて面白いです。「積む」以外にもシンクロする要素が多くて、雪とジェンガって相性いいのかもしれないすね。


三度目で死ぬ絵を九度見てしまい眠れていないことだけ悩む

は:三度目の歌、四とかじゃなく九なのは題がそうだからとはいえ面白かったです。めちゃ多い。  
 九度、まあ実質七度か、死ぬかもしれないと死ななかったを行ったり来たりすることで、"かもしれない"に慣れていったと思いますこの主体は。
初回を濃いお茶とするなら出がらしも出がらしなのが九度目なはずで。死が怖くて眠れない、から数を重ねるうちに、死が怖い、が薄れていって、眠れていない悩みがくっきりしてくる。


うさぎから進化した人類(ひと)だったなら前歯にリボンとか結んでた


ナ:前歯にリボンの歌が断トツで良かったです。 人類(ひと)という言い方が少し大袈裟だけど、前歯にリボン結ぶような人が出てくるのは全人類くらいじゃないと居ないかもしれないなとも思いました。前歯がシンボリックなのが可愛い。これで勝負してる、みたいな。

加:うさぎから進化した人類、という流れからの耳じゃなくて前歯にくるのもいいなって思いました! しかもそこ飾るの流行るのも、いまの人類とは祖先が違うからってそういう文化になるんだ!て思っておもしろいです。

は:たしかに前歯ってシンボリックだけど、僕らの文化だと耳!が強すぎて思い付かないです。顔隠れちゃいそうだし。うさぎから進化しなおして壮大な時間をかけた終着点が大仰じゃないもの、歯に結ばれたリボンに落ち着くのもおもしろいです。かわいい、で終わる。


全体

加:全体的に「ずれてる」がある。 ジェンガの例えとか、死ぬことじゃなく眠れてないことに悩んでたりとか、前歯とか、そこか!みたいな。 ちょっとSFというと乱暴かもですが、そういうのを感じました

は:「ずれてる」が一貫しているからなのか、統一感あって雰囲気もいいですね。SFっぽいというのもわかります、言い方わからないけどなんか、映画でいうと薄いブルーな世界で生きている、みたいな感じあります。


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