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趣旨説明と衆議院における修正部分の説明 参議院法務委員会2024年4月25日

参・法務委員長
民法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず政府から趣旨説明を聴取いたします。小泉法務大臣。

小泉法務大臣
民法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨をご説明いたします。
この法律案は、父母の離婚に伴う子の養育への深刻な影響や、子の養育のあり方の多様化等の社会情勢に鑑み、子の利益を確保する観点から、民法等の一部を改正しようとするものであります。
その要点は次のとおりであります。

第一に、父母の離婚等に直面する子の利益を確保する観点から、民法等の一部を改正して、婚姻関係の有無に関わらず、父母が子を養育するにあたって遵守すべき責務を明確化することとしております。
また、父母が離婚をする場合に、その双方を親権者と定めることができるようにする規定を設けるほか、親権の行使について父母間の意見が一致しない場合における調整のための裁判手続きを創設することとしております。

第二に、養育費の履行を確保する観点から、民法等の一部を改正して、養育費等の債権に一般先取特権を付与するとともに、父母が養育費の支払いについて合意することなく離婚した場合においても、父母の一方が他方に対して所定の額の養育費の支払いを請求することができる旨の規定を設けることとしております。
また、養育費等の債権に基づく民事執行について、一回の申立てにより複数の手続きを連続的に行うことができる旨の規定を設けるなど、裁判手続きの利便性を向上させるための規律を整備することとしております。

第三に、安全・安心な親子交流を実現する観点から、民法等の一部を改正して、父母が婚姻中に別居する場合における親子交流に関する規定を設けるほか、家事審判等の手続において裁判所が当事者に対し、親子交流の試行的実施を促すための規定を設けることとしております。

このほか、民法の一部を改正して養子縁組がされた場合の親権者に関する規定を整備するほか、財産の分野の請求をすることができる期間を5年に伸長するとともに、その請求において家庭裁判所が考慮すべき要素を具体化する規定を設けることとしております。
以上がこの法律案の趣旨でございます。
政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院において一部修正が行われております。
何とぞ慎重に御審議の上、速やかにご可決くださいますようお願いいたします。

参・法務委員長
この際、本案の衆議院における修正部分について、衆選案提出者衆議院議員米山隆一さんから説明を聴取いたします。米山隆一さん。

米山議員
民法等の一部を改正する法律案の衆議院における修正部分につきましてご説明申し上げます。
本修正の内容は、第一に、附則において政府は、改正後の各法律の円滑な施行のため、新民法第766条第1項又は第2項の規定により、子の監護について必要な事項を定めることの重要性について父母が理解と関心を深めることができるよう、必要な広報その他の啓発活動を行うものとしております。

第二に、附則において政府は、改正後の各法律の円滑な施行のため、新民法第819条各項の規定による親権者の定め方、新民法第824条の2第1項第3号の急迫の事情の意義、同条第2項の監護及び教育に関する日常の行為の意義、その他の改正後の各法律の規定の趣旨及び内容について、国民に周知を図るものとしております。

第三に、附則において政府は、施行日までに父母が協議上の離婚をする場合における新民法第819条第1項の規定による親権者の定めが、父母の双方の真意に出たものであることを確認するための措置について検討を加え、その結果に基づいて必要な法制上の措置との他の措置を講ずるものとしております。

併せて附則において政府は、この法律の施行後5年を目処として、改正後の各法律の施行の状況等を勘案し、父母の離婚後の子の養育に係る制度及び支援施策のあり方等について検討を加え、必要があると認めるときはその結果に基づいて所要の措置を講ずるものとしております。以上であります。
何卒、委員各位のご賛同をお願い申し上げます。

参・法務委員長
以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。
これより質疑に入ります。(以下森まさこ議員の質疑へ)

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