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道下大樹議員(立憲)2024年4月2日衆議院法務委員会

衆・法務委員会の道下大樹議員の質疑(ハーグ条約を理由に共同親権導入はミスリード等)を書き起こしました。共同親権の基本のき、の質疑です。
改正案条文は下記をご覧ください。
001414764.pdf (moj.go.jp)

道下議員
立憲民主党の道下大樹でございます。時間も限られておりますので、この民法改正案について質疑をさせていただきますが、 まず冒頭、この民法改正案について私の所見を述べたいと思います。
法制審議会家族法制部会において、この離婚後も父母双方が子の親権を持つ共同親権を導入する民法改正要綱案をまとめて、そして1月30日、この採決が行われて、賛成多数で了承されたということでありますが、しかしながら、その参加委員21人のうち3人が反対を表明、慎重派委員の訴えをきっかけに加わったDV、虐待を防ぐ取り組みの必要性などを盛り込んだ付帯決議は
内容不十分だとして2人が反対
したということであります。
で、この家族法制部会の大村敦部会長は、「全会一致が望ましかったが、今回は異論が残り採決になった他、通常ではあまり実施しない付帯決議もつけた、異例だと思っている」ということを述べられたということであります。
部会長がこのような発言をするということは、非常に私は、本当にこの要綱案、そしてそれをもとに作られた民法改正案というものが、この部会においてもまだまだ私は議論が不十分だったんではないかというふうに思いますし、また、その家族法制部会の委員の1人は、「部会の性質上、民法の範囲内での議論に留まった。子の利益に直結する福祉分野の議論はほぼ手付かずで、忸怩たる思いだ」と報道機関の取材に答えられたということでございます。福祉分野にのみならず、先ほど枝野議員の質問に対して、法務省と外務省との子のパスポートの発行について、全然この煮詰まっていないというか、話し合いが、調整がついてないというのが明らかになった。やはり生煮えの法案が出されたということを私は認識をしております。それを議論しなきゃいけないっていうことは非常に困難を極めると、与野党ともに困難を極めるというふうに思います。
まず、この法制案の中身に入る前にですね、よくこの共同親権の導入を求める方々や団体、そして一部の議員の方が1つの理由にしてるのがハーグ条約についてでございます。
日本がハーグ条約を締結したわけだから、他国と同様に共同親権を導入すべきだというようなハーグ条約が理由にされているわけで、根拠にされているわけでありますけども、ちょっとこの辺は私は違うというふうに思います。そこで、改めてこのハーグ条約について、外務省が中心に行っているこのハーグ条約の運営について、体制と業務内容について、今日、外務省の政府参考人にお越しいただきましてありがとうございます。ご答弁をお願いしたいと思います。

外務省大臣官房参事官
ハーグ条約は、子の迅速な返還及び国境を越えた親子の面会交流の確保という条約上の義務を履行するために、各締約国に中央当局の設置を義務付けております。我が国は、ハーグ条約実施法に基づいて外務大臣を中央当局としており、その実務については行事局ハーグ条約室が担当しております。
ハーグ条約室には、本日現在、法曹関係者、児童心理専門家、DV対応専門家等を含む20人の職員が勤務する体制となっております。こうした体制のもと、外務省は、ハーグ条約に基づく援助申請の受付・審査や、子の所在特定、当事者間の連絡の仲介、裁判外紛争解決手続き機関やハーグ条約案件に対応可能な弁護士の紹介、それから親子交流支援機関の利用に関する費用負担等の様々な支援を行っているところでございます。

道下議員
はい、ありがとうございます。
このハーグ条約に関する業務は、今のご答弁にあった通り、子の返還援助申請の受け付けや面会交流に関する費用負担の援助等であって、親権を決めたり、親権のあり方を議論したりする条約ではないという認識でよろしいですね。

外務省大臣官房参事官
先ほど述べさせていただきました通り、外務省では、ハーグ条約に基づく援助申請の受付・審査や子の所在特定等の様々な支援を行っているところでございます。
委員ご指摘の通り、ハーグ条約は、監護権または親権をどちらの親が持つのか、子がどちらの親と暮らすのか等、子の監護に関する事項について決定することを目的とするものではございません親権を決めたり、親権のあり方を議論したりする条約ではございません

道下議員
ありがとうございます。
改めてと確認いたしますけども、このハーグ条約というのは、締約国が共同親権であるか単独親権であるかということは全く別の話であるということでよろしいですね。

外務省大臣官房参事官
先ほど述べさせていただきました通り、このハーグ条約は、監護権または親権をどちらの親が持つのか、子がどちらの親と暮らすのか等、子の監護に関する事項について決定をすることを目的とするものではございません。
この条約は、子の監護に関する事項について決定するための手続きは、子が馴れ親しんできた生活環境がある国で行われるのがその子にとって最善であるという考え方に立ち、あくまでその子が元々居住していた国に戻すための手続き等について定めているものでございます。
従って、ご指摘の通り、ハーグ条約の仕組みと単独親権か共同親権かという議論は別でございます。

道下議員
ありがとうございます。
今、政府参考人の方にご答弁いただきました通り、この点については我々国会議員がしっかりと認識して議論しなければ、今後の法案の議論にしなきゃいけないと思いますし、国民の皆様にもこの点は多く知っていただきたいというふうに思っております。それでは、外務省参考人の方々、ご退席いただいて結構です。
それでは次に、親の責務等について伺いたいと思います。
改正案817条の12の2項でございますが、「父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、子に関する権利の行使又は義務の履行に関し、その子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならない」というふうになっております。この互いに人格を尊重し、協力しなければならないということなんですが、これは婚姻中は当然だと思いますが、これが別居や離婚後にこれらがしっかりと協力、尊重し協力されるのかっていうことが今問題となっているわけであります。別居、離婚後に行われる、そうしたコミュニケーションが取れない以上にですね、暴力や暴言、濫訴などの行為、これカタカナでpost-separation abuse(ポストセパレーションアビーズ)と言いますけども、このポストセパレーションアビューズは、互いに人格を尊重し協力しなければならないの趣旨に反するという認識でよろしいか、大臣に伺いたいと思います。

小泉法務大臣
ご指摘の通り、本改正案では、親権の有無や婚姻関係の有無に拘わらず、父母は子の養育に関し、子の利益のため、互いに人格を尊重し、協力しなければならないとされております。
どのような場合にこの義務に違反したと評価されることになるかは個別具体的な事情に即して判断されるべきであるとは考えますが、あくまで一般論として申し上げれば、暴力、暴言、濫訴等はこの義務違反と評価される場合があると考えております。

道下議員
はい。そういう場合があるというか、もうそれはもう100%あるというふうに私は思います。
次に、この濫訴は、共同親権への親権者変更の申し立てを毎年のように起こすもののみではなく、 決定の共同行使違反や必要な情報を提供しなかったことに対する、これ必要な情報っていうのは後で話します、質問しますけども、学校だとか病院だとかそういったところに対する損害賠償請求や、その医療機関や学校を被告にするというものが考えられますが、それを防止する対策はどのように行うのか、大臣に伺いたいと思います。

小泉法務大臣
何が濫訴に当たるかについて一概にお答えすることは困難でありますが、現行法においても、不当な目的でみだりに調停の申し立てがなされた場合には、調停手続きをしないことによって事件を終了させる、こういう規律等がございます。
また、本改正案では父母相互の協力義務を定めておりますけども、不当な目的でなされた乱用的な訴え等については、個別具体的な事情によってはこの協力義務に反するものと評価されることがあり得る、このことがそのような訴え策の、訴え等の防止策になると考えております。

道下議員
ちょっと今の答弁ではまだまだその具体的な濫訴防止対策というふうに言えない、ちょっと受け止められないと思うんですが、もし具体的に何かあれば、 政府参考人何かありますでしょうか。もしなければまた今度伺いますけども。

法務省民事局長
委員ご指摘の、濫訴にどのようなものが当たるかということはなかなか判断するのが難しくて、 お尋ねについて一概にお答えすることは困難なところもあるんですが、あくまで一般論として申し上げますれば、裁判手続きの当事者は審議に従い誠実にその手続きを遂行すべきであると考えておりまして、民事訴訟法にもそのような規定がございます。
そのうえで、個別具体的な事情には寄るものの、自己の主張が自律的・法律的根拠を欠くものであることを知りながら敢えて訴えを提起した場合等、
訴えの提起が裁判制度の趣旨、目的に照らして著しく相当性を欠くときは、例外的に訴えの提起が不法行為に該当し得るものと承知をしております。

道下議員
そうした点、しっかりと認識をしたいというふうに思います。
次に、現在、連れ去り、それから無断転園・転校、面会妨害を利用する濫訴は、元配偶者を対象とするもののみならず、その両親や、またその元配偶者を弁護した弁護士を被告にするものも含めて生じていると言われてます。これをlegal abuse(リーガルアビューズ)というふうに言いますが、その実態について政府参考人に伺いますが、調査をしたことがあるのかどうか伺いたいと思います。

法務省民事局長
法制審議会家族法制部会の調査審議の過程におきまして、当事者団体が実施したアンケート結果の紹介があったことがあります。
このアンケート結果によれば、シングルマザー及びシングルファーザーのうち11%が法的な手続きを悪用した嫌がらせを受けたことがあると回答したとのことであります。なお、法務省において、ご指摘のような祖父母ですとか弁護士に対する濫訴について調査したものはございません。

道下議員
先ほど父母での調査によって11%、濫訴を受けたことがあるということでありますが、やっぱりこうしたものですね、リーガルアビューズというものは しっかりと調査しないと、父母間の関係を超えて色んなところに影響が波及するというか、もう元配偶者のみならず、それに関係するもの全てに対してこの訴えを起こすということが今でもあるわけでございますので、これしっかりと調査をしていただきたいというふうに思うのでお願いしておきます。
次にですね、いわゆるフレンドリーペアレントルールを定めたものではないというふうな認識でよろしいか。
例えばですね、オーストラリアの家族法では、2011年においてDV・虐待の主張を躊躇させる結果を生み、このフレンドリーペアレントルールというものはすでに廃止されているというふうに認識してますけども、法務省、大臣の認識を伺いたいと思います。

小泉法務大臣
フレンドリーペアレントルールは、これは様々な意味で用いられているため、一義的にお答えすることは困難でありますけども、ご指摘の規定、これは、子の養育にあたっては、父母が互いに人格を尊重し協力して行うことが子の利益の観点から望ましいと考えられることから、父母相互の人格尊重義務や協力義務を定めたものであり、DVや虐待の主張を躊躇させるものではないと認識しております。

道下議員
今ちょっとですね、日本でこの共同親権を導入しようとしている中で、海外でこのようなフレンドリーペアレントルールだとかがあるので共同親権を導入すべきだという根拠にしていることだとか、別れた上でも父母共同で同じ時間、同じ機会子どもと接するだとか、そういった離婚後の平等性というものを意識した上で共同親権を導入すべきだというような海外の事例を、数年前の海外の事例を用いて言ってることもあるんですけども、実は海外では、だんだん日本で今導入を検討しているような共同親権というものが、それでは逆に影響が出てきている、問題が生じている。そして面会交流した時に、その子どもを殺害したというオーストラリアでの事例もあるものだから、 海外では実はこういう共同親権といわれるものはですね、だんだん後退してるっていうのが世界の流れなんですよ。
で、これは先ほども大臣は、一概には言えない、フレンドリーペアレントルールというものの定義が一概には言えないとおっしゃいましたけども、これはしっかりとですね、定義を明確にしなきゃいけないし、海外でどのような英語が使われてるのかということをしっかりと見極めなきゃいけないというふうに思います。
法制審の英語訳資料では、親権をparental authorityと仮の役をしています。この今回の民法改正案における親の責任及び親権の英訳を、法務省政府参考人、示していただきたいと思います。

法務省民事局長
本改正案が成立した場合には、その後、改正内容を英訳することを考えておりますが、その際の親の責務や親権の訳語につきましては、現時点では未定でございます。
親権は、親の権利のみではなく義務としての性質も有しておりまして、これを子の利益のために行使しなければならないと理解されていることから、本改正案ではこの点を明確にすることとしております。
改正内容を英訳する際には、こういった点が諸外国に正しく伝わるよう、適切な訳語を検討してまいりたいと考えております。

道下議員
海外に対して正しく伝わることと、我々としても、その敢えて英訳を見た上で、その日本語訳に困られてる意義というか定義っていうものをですね、認識しなきゃいけないというふうに思いますので、よろしくお願いします。
次に、824条の2の親権の行使方法等について伺いたいと思います。
この824条の2のところ、「親権は、父母が共同して行うものとすること」との文言が、いわゆる原則共同親権との誤解を招いていると私は認識しております。いわゆるニュートラルフラット運用との整合性、また法制審の議論を鑑みれば、 親権者の決定及び親権の行使方法は、何らかの原則を設けるものではなく、ひたすら子の利益の観点で判断するものという認識で間違いないか、法務大臣に伺いたいと思います。

小泉法務大臣
本改正案は、父母が離婚後も適切な形で子の養育に関わり、その責任を果たすことが子の利益の観点から重要であるとの理念に基づくものであり、その上で、離婚後の親権者を父母双方とするか、その一方とするかについては、個別具体的な事情に即して子の利益の観点から最善の判断をすべきであり、本改正案もこのような考え方に沿ったものとなっております。
また、父母双方が親権者である場合の親権行使については、現行法においても父母が共同で行うこととした上で、一定の場合にはその一方が単独で行うという枠組みの規定となっており、本改正案はこのような枠組みを変更するものではございません。
その上で、個別の場面における親権行使のあり方については、本改正案は、親権は子の利益のために行使しなければならないとの考え方を明記しており、この考え方に沿った判断をするべきものであると考えております。

道下議員
何らかの原則を設けるものではないですね。はい、頷いていただきましてありがとうございます。
次にですね、この民法改正案について関係する、法務省以外の関係する省庁に伺いたいと思いますが、ちょっと時間が限られてますので、ちょっと順番を入れ替えまして、厚生労働省さんに伺いたいと思います。
先ほども枝野議員の中で、質問ではなかったんですけども、お話がありました。医療現場では、このメスを入れたり大きな手術というこの侵襲性のある医療行為では、多くの家族の同意を得る同意書、この取り付けが行われております。単独親権か共同親権かの確認方法や、双方の意思が一致しなかった場合の調整方法について、厚生労働省はどのような事態と対策を想定しているのか、伺いたいと思います。

厚生労働省大臣官房審議官
医療は、患者家族と医師との信頼関係のもとで提供されているところ、そうした関係の中で、医療行為に関する手続きについては、それぞれの個別の事情に即して判断されることになるため、一概にお答えすることは困難でありますが、一般論として、ご指摘のような手続きが必要となった場合には、父母双方が親権者であることは来院した親に確認を取り、双方が親権者である場合には、同意を取得できていない親に対して事情を説明した上で同意書を送付する等の対応が考えられると承知しております。
いずれに致しましても、厚生労働省としては、今後法務省とも相談しながら、医療機関に対して適切に今般の制度趣旨等の周知に努めてまいりたいと考えております。

道下議員
今、手続き的なお話を色々伺いました。
同意書、親権の確認と、あと他方の親から、親権を持つ親からですね、同意が得られなかったら郵送ですかね、書類で送ってそれで確認をしてもらうということなんですが、時間が十分にある時にはそれはできるかもしれませんが、もうすぐに治療しないと後遺症が残るとか、病気が治らないとか、命を落としてしまうというような時に、法案では824条の2の第3項、「子の利益のため急迫の事情があるとき」という時は、片方の単独の子の親権行使でいいというふうには法案では書いてありますけども、その点について、 急迫っていうのは、厚生労働省として、どのような場合は急迫で、どのような場合は急迫じゃないというふうに、明確に決められてますでしょうか。

厚生労働省大臣官房審議官
今先生おっしゃったようなことにつきましては、現行におきましても、親が離婚してない場合においても共同親権を行使するという場合がございます。
そういった場合の運用においては、やはりもう一方、片方の親の同意が必要になるという場合がございますので、そういった医療機関の実態、今もそういうことで行われてるという実態があるということを踏まえまして、今明確にどういう場合が救急か、緊急かというなものは示したものはございませんけれども、そういった実態を踏まえまして、今後法務省ともよく相談しながら医療機関に適切に示してまいりたいというふうに考えております。

道下議員
ここだけ見ても、具体的なものがまだ決まってないんですよ。(「そうだよ」の声)
全て民法が、この改正案が仮に成立した後に法務省と関係省庁がこの調整して検討するということなんですよ。 しかも今回はですね、この法は交付後 2年以内に施行するっていうことで、あまりにも短すぎるというふうに思います。(「そうだ」の声)
ちょっとこの後も質問しようと思ったんですが、総務省さん、文科省さん、来ていただいたのに、申し訳ございません。総務省の方にはまた、私は総務委員会に所属しておりますので、そちらの方で質問させていただきたいと思いますが、最初のハーグ条約を理由に共同親権導入だというのは、やっぱりこれはミスリードだと思いますので、それはしっかりとそう違うという認識を持った上で今後の法案審議にあたりたいと思います。ご協力ありがとうございました。


総務省は住民基本台帳事務(いわゆるDV等支援措置)を所管していることもあり、総務委員会もチェックしていく必要があります。
質疑冒頭に登場する大村部会長は明日4月3日、衆議院法務委員会の参考人に呼ばれています。福祉分野も全く話し合われず採決した部会長がどんなことを話すか、よく聞く必要があります。
これまでの質疑でも、よく採決できたなという感想しかありません。

書き起こしは以上です。
誤字脱字がありましたらすみません。

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