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本村伸子議員(共産)2024年4月12日衆議院法務委員会

本日の本村議員の質疑及び反対討論を書き起こしました。

本村議員
日本共産党の本村伸子でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
この法案に関しましては、中間試案のパブリックコメントの段階から大きな懸念の声が多く出されておりました。とりわけ、DV虐待の被害当事者の方が命の危機、新たな人権侵害のリスクを感じたからだというふうに思います。
法案に対してはまだまだ国民住民の皆さん知られていない現実がございます。それでも反対だという声が急速に広がり、オンラインの署名は反対の署名は10万を超えるなど、急速に世論が動いております。

重大な懸念の声がある中で採決が強行されようとしている。
また、先ほども与党の方から「質問したかったけれども、まだ今回できなかった」というお話がありましたけれども、審議が尽くされない中で採決はするべきではないということをまず冒頭申し上げたいというふうに思います。
懸念の声に対して、立憲民主党の皆様から出された修正項目案では、父母双方の合意がない場合には共同親権を認めないこと、子どもの意見聴取ですとか、DV被害当事者の方々が望んでおられた親権者の変更の厳格化、そして必ず父母の一方を共同親権の場合一方を監護者とすることなど定める修正項目案が出されておりました。これ私どもも評価をしていたわけですけれども、この四党提案の修正案の検討条項にはこうした項目は入らなかったわけですけれども、なぜでしょうか。米山議員、お願いしたいと思います。

修正案提出者米山隆一議員
まず、なぜかということに関しましては、それは各党の折衝の中でということでございますので、まずもって全てが入らなかったということはないんですけれどもこの結果になったということに関しましては、それは各党の様々な議論の結果ということとお答えさせていただきたいと思います。
その前提で、いくつかの点については、私は反映されていると考えております。まず、父母双方の合意がない場合には共同親権を認めないことということに関しましては、附則の19条でこれは真意を確認するということで反映させていただきました。
また、必ず父母の一方を監護者とすることということに関しましては、もちろんその通りではないんですけれども、子の監護者の附則の17条におきまして、それぞれ監護者についての周知・徹底を図るということで、それをよくわかった上で判断していただくというところで反映されているというふうに考えております。
また、親権者変更の厳格化ということに関しましては、これは確かに明文規定はないところではございますけれども、そこは双方の合意であり、またそれぞれの当時者が様々な趣旨を理解していること、そういったことによって、それは間接的になってしまうかもしれないんですけれども、間接的に反映されるものというふうに理解しております。
修正案というものが、もちろん我が党の全ての要望を担いているものではございませんけれども、それは実は他党にとっても同じことでございまして、それぞれ立場の異なる党が合意したということは、それぞれの党がそれぞれに自分の思いの中でそれは反映できなかったものもあるということではあると思います。
しかしその中で、我が党としてはこの修正案を出し、この法案に積極的に関与し、その試行をしっかりと見守っていきたいというふうに考えております。

本村議員
大きな懸念の声に応える部分が入らなかったと、盛り込まれなかったと、四党協議の中で盛り込まれなかったというのは非常に残念に思っております。
次に大臣にお伺いをしたいと思います。
この法案は、影響を受ける方々はすべての子どもと、その子どもの父母をはじめ何人くらいいらっしゃるというふうに考えているのか、そしてこの民法の改定案は多くの方々に関わる法案であり、国民的議論がやはり必要なのではないかというふうに考えますけれども、大臣のご所見を伺いたいと思います。

小泉法務大臣
近年では毎年十数万人の子どもが父母の離婚を経験しております。
また子どもがいる父母の離婚件数も数万件、毎年ございます。本改正案はおっしゃるように父母の離婚を経験する子どもに加え、父母が婚姻中の子どもにも影響があり、また父母や親族のほか子どもの生活に関わる方々にも影響がある。そのことは十分認識しております。
ただ、法制審議会においては、子どもの意見も含め、国民の様々なご意見に耳を傾けながら丁寧に議論が行われてまいりました。この間3年にわたり議論が行われてまいりました。
世論調査を踏まえた議論、様々な立場からのヒアリングを実施するパブリックコメント手続における意見募集なども行ってまいりました。
国民的な議論、幅広い議論が行われてきたというふうに考えております。
国会のご審議においても、8名の参考人の質疑を含め、十分な時間をかけてご丁寧にご審議をいただいていると受け止めております。

本村議員
パブリックコメントでは、多くの懸念の声が出されておりましたし、多くの人が知っているようなお話がありましたけれども、なかなか知られていない実態があるということは、つい先日のテレビ報道でもございました。
大きな影響があるにもかかわらず国民的議論も合意もないまま強行ということは絶対にダメだというふうに私は強調したいと思います。
この法案については様々な影響がございます。
影響の一つですけれども、高等学校と就学支援金、高校の学費への補助の影響もございます。様々な教育、社会保障、税制への影響も懸念をされております。
先日審議の中でおおつき議員の質疑に対して、文部科学省はこういうふうに答弁をしております。
「高等学校等就学支援金については、保護者等の収入に基づき受給資格の認定が行われていますが、保護者の定義は法律上、子に対して親権を行うものと定めております。そのため、共同親権を選択した場合には、親権者が2名となることから、親権者2名分の所得で判定を行うことになります」というふうに答弁をしておりました。
この答弁に関して、「共同親権下では父母の生計は別という証明をしないとやはり両方の所得で判定されてしまうのでは、それ自体が大きな負担」、「今と変わらないと言えないのではないか」との声や、「共同親権になったら教育無償化ではなくなるの」という不安の声も出されています。
現状より子どもと共に暮らすひとり親世帯への経済的な負担が増えたり、労力が増えたり、こういうことは絶対にあってはならないというふうに考えますけれども、これは文部科学副大臣にお願いしたいと思います。

阿部文部科学副大臣
委員がおっしゃってくださったことの繰り返しになるところでございますが、高等学校の就学支援金に関しましては、保護者の収入に基づいて受給資格の認定が行われるところでございまして、保護者の定義、法律上先ほど委員がおっしゃってくださったように、「子に対して親権を行うもの」というふうに定めているところでございます。
このため、今回の民法改正後に共同親権を選択した場合においては、その親権者が2名となることから、親権者2名分の収入に基づいて判定を行うことになります。
他方で、委員がご懸念のところでございますが、この就学支援金の受給の資格の認定に当たって、親権者が2名の場合であっても、親権者にある保護者の一方がDV ドメスティック・バイオレンス、また児童虐待等によって就学に要する経費の負担を求めることが困難である場合においては、親権者1名で判定を行うこととしておりまして、これは共同親権か否かにかかわらず同様の取扱いをさせていただくことになります。
これらの判定に当たりましては個別のケースに応じて判断することになりますけれども、法務省とも連携させていただきながら、適切な認定の事務に努めてまいります。

本村議員
やはり離婚後共同親権ですと、親権者2人分の所得で計算されてしまう場合があるわけです。
DV・虐待ケースだけではない、高葛藤で話もしないというような形で離婚をする場合など、2人の親権者の所得で計算されてしまうと、やはり現状よりも子どもと共に暮らす親御さんひとり親世帯への経済的負担が増えたり、労力が増えるということになるんじゃないですか。これ副大臣お願いしたいと思います。

阿部文部科学副大臣
委員にお答えさせていただきます。
繰り返しになるところでございますが、高等学校等の就学支援金の判定に当たりましては、個別のケースに応じて判断する必要があるところでございまして、この教育費の負担軽減を図ることができるよう、繰り返しになりますが、法務省ともしっかりと連携をさせていただきながら、適切な認定事務に努めてまいります。

本村議員
文部科学省と話をしておりましたら、単独親権か共同親権か選べると聞いているので、揉めそうな時は単独親権で、というようなことを法務省が言っているということですけれども、それは事実ですか。

法務省民事局長
本改正案の理念でございますが、夫婦が離婚後も適切な形で子の養育に関わっていただくことが利益になるというものでございまして、先ほど委員がおっしゃったようなところは本改正案の理念に入っておりません。

本村議員
こういう部分で経済的負担がひとり親世帯の方、子どもさんと暮らす親に増えたりするわけですよ、この問題は。
それでこの高校の学費の補助だけではなく、税金の控除ですとか、保育園の費用ですとか、就学援助、児童扶養手当、あるいは母子・父子・寡婦福祉資金の貸し付け、奨学金、様々なひとり親支援の制度、これどういう影響が出るのかちゃんと調べて、ちゃんと検証をしているのか、これは法務省民事局にお願いしたいと思います。

法務省民事局長
委員ご指摘の扶養控除ですとか、児童手当あるいは児童扶養手当、保育所の利用申請などにつきましては、これらの制度の根拠となる各法令の規定に基づいて判断されるべきものでございまして、一時的には当該行政手続の根拠となる法令を所管する各府省庁において検討されるべき事項であると考えますが、その上で、御指摘の扶養控除等につきましては、いずれも親権の有無や民法上の監護者の定めの有無をその要件としているわけではないと承知をしておりまして、こうしたことを踏まえますと、今般の民法改正後に離婚後の父母双方を親権者と定めたことをもって、具体的な変更を生ずるわけではないと承知をしております。

本村議員
さまざまなひとり親支援の制度に関しまして、あるいは税金控除に関しまして、どういう影響があるかすべて網羅的に書いたそれを資料として提出をいただきたいと思いますけれども、大臣お願いしたいと思います。

小泉法務大臣
努力したいと思います。

本村議員
離婚後共同親権が各ひとり親世帯へどういうふうに経済的な影響が及ぶのか、労力がどう増えるのか。こうした影響もこの委員会の中ではまだまだ十分に議論できていないのに、採決を強行しようとしていることは、私は絶対にダメだというふうに思っております。
他にもさまざまな懸念が出されております。
共同親権の場合、急迫でない手術で医療機関が双方に合意書を送付すると考えているのか伺いたいと思います。また、DV・虐待ケースで別居親にどこの病院に入院するかがわかるということになり、子ども・同居親の安心・安全が図れないという心配の声が出されておりますけれどもその点、大臣いかがでしょうか。

法務省民事局長
現行民法のもとにおきましても、父母が親権を共同して行使する場合において、子が医療行為を受ける際に医療機関が父母に求めている手続は個別具体的な事案においてさまざまでありまして、別居親への合意書の送付が一律に行われているわけではないと承知をしております。
この点は本改正案においても同様でありまして、現状と異なる対応を必要とするものではありません。
また本改正案によれば、例えば裁判離婚をする場合においてご懸念のようなDV・虐待を受ける恐れがあるときには、裁判所が父母の一方のみを親権者と定めることになります。本改正案が子や同居親の権利利益を不当に侵害する危険を生じさせるようなものではないということについて、引き続き丁寧にご説明してまいりたいと考えております。

本村議員
DV・虐待ケースで逃げている場合、今婚姻中で逃げている場合も大丈夫ですね?

法務省民事局長
現行の取扱いに大きな変更を生じるものではないと考えております。

本村議員
現場にどうやって徹底されるのかも不安でございます。
そしてもう一つ、急迫かどうか、日常行為かどうか、進学、医療などの共同親権の父母が合意しない場合、家庭裁判所に持ち込まれることになります。
そうしますと、調査報告書が制作をされて、それが相手方に開示をされ、子どもの現状が別居親に伝わることになるのではないかと、特にDV・虐待ケースの被害者の方々が非常に心配をしております。
ここは大丈夫なのか。大臣にお答えをいただきたいと思います。

小泉法務大臣
家庭裁判所の調査官に事実の調査をさせるか否かについては、個別の事案の具体的な事情に即して、裁判所において適切に検討されるものと思います。
その上で、現行法においても、当事者が家庭裁判所調査官が作成した調査報告書を閲覧するには、家庭裁判所の許可を要するものとされております。
例えば、家事審判手続に関しては、家事事件手続法第47条第4項で、家庭裁判所は、事件の関係人である未成年者の利益を害する恐れ等があると認められるときは、記録の閲覧を許可しないことができると定められております。このような規定に基づいて、家庭裁判所においては記録の閲覧許可について、個別具体的な事案の内容を考慮した上で適切な運用がなされていると承知しております。

本村議員
DV・虐待が刑事されている家庭裁判所の中で軽視をされているということは、参考人質疑の中でも明らかだというふうに思います。ここでも家庭裁判所の判断次第ということです。
今でも心配なわけですけれども、家庭裁判所に持ち込まれるものが多くなるということで、さらにその心配が増えていくわけです。
さまざま、訴えられるリスクも高まってまいります。
6年間で16件もの裁判を抱えるDV被害者の方々、これもっと激烈になるのではないかという懸念があるわけです。福岡県弁護士会の会長声明、離婚後共同親権の導入について十分に国会審議を尽くすことを求める会長声明がございますけれども、その中で「どこまで単独で決定できるのかが明確でなければ、後に親権行使の適法性が争われる等の心配により、適時適切な意思決定ができず、かえって子の利益を害する恐れがある」ということが指摘をされております。
どこまで単独決定できるのか、単独行使できるのかを明確にする必要性については大臣、どうお考えでしょうか。

小泉法務大臣
現行民法においては、父母双方が親権者である場合は、親権は父母が共同して行うこととされており、親権の単独行使が認められる範囲については明文の規定がなく、解釈に委ねられているんですね。現行民法では。
本改正案は、このような現行民法の解釈も踏まえて、親権の単独行使が許容される場合を明確化するものであります。
これまで定められていなかったものを明確化する、そういう改正でございます。こういった本改正案の内容については、国会における法案審議の中で明らかになった解釈等を含め、関係府省庁等と連携して適切かつ十分な周知に努めてまいりたいと思います。

本村議員
採決しようとしている附帯決議案では、この明確化についてガイドラインというふうに書かれておりますけれども、国会審議の中でしっかりと議論しなければいけないというふうに考えております。それがまだまだできておりません。
今日、資料を出させていただいておりますけれども、どういう場面でこれが日常行為なのか、日常行為以外だけれども急迫の事情なのか。
こういう一覧表がなぜ今の段階で出ていないんでしょうか。大臣。

小泉法務大臣
これは様々なケースがやはりありますので、どれほど精査してみても、全体を抑えるということはなかなか難しいと思っています。
基本的な考え方のご議論を国会でしていただいて、その考え方に沿って具体例を下に下ろして考えていく、という順番だと思うんですね。
議論をここでしていただいて方針が決まれば、それに見合う個別例というものを我々は提示することができます。
一番根幹の部分をご議論いただいているのがこの委員会だと私は思います

本村議員
先ほど中絶の話がありましたけれども、中絶は日常の行為ではなく、急迫の事情がある場合にこれは単独行使認められるということですので、その点も申し上げておきたいというふうに思います。まだまだ審議は尽くされておりません。
採決強行することなく審議を続けていただくことを委員長に強く求め、質問を終わらせていただきます。

衆・法務委員長
これにて、原案及び修正案に対する質疑は終局いたしました。
これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。
討論の申出がありますので、順次、これを許します。
(中略)次に本村信子君。

本村議員
私は日本共産党を代表し、民法改定案に反対の討論をいたします。
本法案は、離婚後共同申権を導入するものです。この問題では様々な意見があり、本委員会審議では重大な懸念が浮き彫りになりました。
それに対して、立憲民主党から修正項目案として、父母の双方の合意がない場合には共同親権を認めない、離婚後の父母双方の親権者となる場合には必ず父母の一方を監護者とする等が提案され、日本共産党は積極的に評価をしていましたが、四党合意の修正案には盛り込まれませんでした
慎重かつ丁寧な議論によって、新たな人権侵害を生じさせることなく、国民的合意を作ることが求められています。重大な懸念の声がある中で審議を尽くさないまま採決することは認められません。厳しく抗議をいたします。
本法案に反対する理由の第一は、親の子に対する権利という認識が色濃く残る親権という用語をそのままに、離婚後共同親権を導入していることです。参考人からも、包括的な子に対する親の権利があるかのような誤解を生む可能性があると指摘されました。
本法案で、子の人格の尊重の親の責務が明記されたことは重要ですが、日本国憲法の下では親権とは親の支配権ではなく、子どもが安心・安全に暮らせるようにするための親の責務であり、社会による子どもの権利と福祉の保障であるべきです。再定義を求めます。
第二に、子どもの意見表明権が明記されていないことです。離婚等に伴う環境変化は、子どもの人生にとっても一大事であり、子どもが意見を聞かれる権利を保障することは一人ひとりの子どもの最善の利益のために必須の手続きです。親権者の決定時にとどまらず、監護や面会交流など親子法制に関わる手続きのあらゆる場面で、子どもの意思・心情が尊重されることを明記するべきです。
第三に、裁判所によって当事者に不本意な共同親権が強行され、一方の親・子どもの利益が害される懸念があることです。共同親権になった場合、子どもに関わる重要な決定は元配偶者の同意が必要となります。法務大臣も、裁判所で判断がなされるべきことが増えるかもしれませんと答弁したように、合意が得られなければ、その度に裁判所の判断を求めることになります。
急迫の事情、日常の行為の場合は単独行使できますが、解釈の違いが生じた場合は紛争となります。不当な協力義務違反などで訴えられることも予測されています。6年間に16件もの裁判を抱えるDV被害者のように、リーガル・アビューズが深刻化することの大きな懸念もあります。医療現場、行政、学校支援の現場からも懸念の声が出されています。
第四に、家庭裁判所の人的・物的体制と総合的な施策が極めて不十分なことです。裁判官、調査官の大幅増員など家庭裁判所の人的・物的体制を増強すること、子どもの安全・安心を最優先にした子どもの意思・心情の尊重をするための徹底した研修、特にDV・虐待ケースでは、児童精神科医や児童心理士等の専門家による子どもの意思の確認を行う仕組みを作ることが必要です。
公費による子どもパートナー弁護士制度、給付制への民事法律扶助制度の大幅拡充、養育費立替払い制度の創設など、総合的な施策を本気で取り組むべきです。高等学校等就学支援金制度や税金控除、各種ひとり親支援制度が使えなくなることがないようにするべきです。
以上に申し上げ、反対討論といたします。

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