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vol.3 デンマークの小学校に1日潜り込んでみた

小学校の時にクラスの前で発言をして、全員に「違いまーす」って声を揃えて言われたのが結構トラウマ(たまたまこの先生はこういうふうに授業を進める人だった)。小学校の後半に良い先生と出会えるまで、人前で意見を発表するのが怖くてひたすら授業が終わるのを耐える毎日でした。でもデンマークの小学校に行った時、ひとりひとりを尊重した学校生活と授業風景に衝撃を受けたのでシェアします☺︎
決して全部のデンマークの小学校が、今回私が行った小学校のような環境ではないかもしれないから、暇つぶしくらいの感覚でサラッと読んでくれたら嬉しいです🌱



1日の流れ

デンマークの田舎町にある小学校に、友達の知り合いを訪ねて行くことに。知り合いの方はペタゴー兼、体育教師として小学校で働いていて、私達は小学3年生の1日を体験しました。(ペタゴーについては下に書いてます!)

朝は5時起き。6時には学校に着いて子供達が来る前に朝ごはんの用意。日本の学童とは違って、デンマークは朝の受け入れがあります。早く来るか来ないかは自由だけど、6時から学校で朝食を食べることもできるみたいです。

1時間目〈体育〉
体育では組体操をしました。日本みたいに先生が「あなたはここ、あなたはここ」と1からやり方を教えるのではなくて、子供達が写真を見てどうしたらできるかを考えるスタイル。何回か失敗して、皆で意見を出し合って成功する、大人に何も言われてないのに自然と意見交換をしていることに驚きました。

このあと一緒にやることに…10年ぶりの組体操



休み時間
先生も職員室に集まって軽食タイム。この日先生を見て気になったのは先生が過重労働じゃないことです。帰宅もほぼ子供達と同じ時間。先生達がタスクに追われていないと心の余裕もできるし、子供達と接する時の余裕も違うんだろうな。

2時間目〈音楽〉→お昼休憩

3時間目は国語
・ペアになって教科書を読む(この日はキリンについて)
・教科書のポイントをみんなでシェア
・先生が解説
・教科書で理解したことをもとに、自分なりのキリン図鑑をパソコンで作る

読む力、要点を掴む力、自分の意見を考える力、それをまとめる力がたったの1時間半に詰め込まれてるなんて…。しかも小学生でパソコンを使いこなしてる。教科書をパソコンで読んで、画像を調べて、自分の意見を図鑑としてワードにまとめてました。

3時には授業が終わってみんなすぐに帰宅です。親が迎えに来る子も多く、デンマークの親の働き方の違いもここで感じました。

小学生がくれた絵
私の顔らしい🌷


子供達から大人気のペタゴー

ペタゴーについて。
ペタゴーって定義しずらいけれど、ここの学校ではカウンセラーみたいな存在でした。カウンセラーと言っても、子供が悩みを相談して初めてカウンセラーと話す受け身な存在とは少し違います。毎日子供達と一緒に学校生活や授業を過ごして、ペタゴーが子供に少しでも異変を感じたらその子に寄り添い解決策を見つける感じです。

例えば、「今日お弁当持ってきてないけど家庭で何かあったのかな?」とか、授業に集中できてない子がいればその子に話しかけたり。ペタゴーと親の距離感もとても近くて、特別何かなくても学校終わりにお互い日常での子供の様子をシェアする感じでした。

ペタゴーはどの学校にもいるわけじゃなくて、少しやんちゃなクラスとかにサポートで入るみたいです。私が行ったクラスは少しやんちゃで、ペタゴーが子供達に寄り添っている場面も何度か。
集中できない男の子がいた時、その子が集中できるように「何分まで頑張ったら好きなことしていいよ」という対応を見ました。「特別扱いじゃない?」って他の生徒に言われないのかなと思い聞いてみると、子供に言われたら包み隠さずに対応した子の状況を伝えるとのこと。家庭の事情とか、精神的な状態とか。すると子供達も理解してくれるみたいです。日本の教育は特別扱いをしないように怒って押さえつけたり、ルールで縛り付けるイメージ。でも…

事情を説明すれば子供達も理解してくれるし
いじめが起こることもなく逆に対等な関係が築ける。そして、
”この人は自分が困った時にも親身になって助けてくれる存在なんだ”
と子供と先生の信頼関係も生まれる。

とペタゴーの方が言っていて衝撃を受けました。隠す必要もルールで縛り付ける必要もないのかと。

授業中に教室の後ろで逆立ちする子
ちなみに誰も気にしてない

教育って何が正解なんだろう…

ここでは学校が、信頼できる大人がいる第二の居場所になっているように見えました。それに、生徒の主体性を大事にした教育で、成績重視とか競争して子供達を伸ばすことを重視していないようにも感じます。でも、人数が少ないからこそできる教育なのかも。

日本でこの教育は実現できるのかな〜とふと思ったけれど、日本は子供の数が圧倒的に違うから、マンモス校で今回の学校みたいな教育をすると収集がつかなくなっちゃうのかもな。それに、詰め込み式の勉強をする日本と、デンマークの教育では、求めていることや目標が違うと感じます。デンマークでは自分の意見をどれだけ持てるか、周りときちんとディスカッションできるかを鍛えていて、知識を詰め込むことは二の次のように感じました。
そして、デンマークの会社の社長が言った、

「なんで日本の会社はそんなに1位にこだわろうとするの?」

という言葉を聞いた時、日本社会との大きな違いを感じました。デンマークのような教育を受けていると、日本の競争社会でやっていこうとしたときに、相当自分の意思がしっかりある子じゃないとギャップを感じるのではないか…とも。

実際、デンマークでも学校を卒業した後になかなか社会に出れない人もいるみたい。フォルケホイスコーレはデンマーク発祥の大人のための学校。学校によって何を専門として学べるかは変わるけど、社会に出れない人達の受け皿にもなっているという話も聞いたことがあります。教育大国として知られる北欧でも受け皿が必要な人が出てくるわけだから、どんな教育をしてもメリット・デメリットはあって、何が正解かなんてわからない…。もしかしたら日本の社会で育っていくなら、今の日本の教育はあっているのかもとさえ思ってしまいました。

でも、日本は敷かれたレールから外れた選択をすることにとても勇気がいると感じるけれど、選択肢がたくさん用意されたデンマークの仕組みは、ひとりひとりにあった生き方を自分の意思で選ぶことができるから、私にとってはとても魅力的に感じます🌱

Hej hej👋

なお

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