心をこぼさないように

「子どもの頃、買ってもらいたかった。けど、買ってもらえなかった」

自分が母親という立場になって、子ども達と日々向き合う中で、どうしたって自分が子どもだった頃のことを思い出す。

夫はあまり覚えていないようだけど、わたしは小さなエピソードをいくつも覚えている。それだけ、小さな心に強く刻まれた、ということでもあるんだろう。

父にも母にも、そこそこ可愛がられて育ったと思う。父はやや無関心、母はやや厳しい親だったけど、たぶん平均の範囲内。まぁ、平均ってどんなもんかは知らないけど。

それでもふと思い出すのは、「してもらえなかった」という、ちょっぴり苦い記憶だ。

うちでは、当然何でもかんでも買い与えるようなことはしない(できない)けど、よほどの熱意を感じ取ればつい買って与えてしまう。それと同じように、わんわん泣かれればほだされるし、なんだかんだと子どもの気持ちをかなり優先しているつもりだ。

一方わたしが幼かった頃は、違っていた。いくら欲しくても絶対に買ってもらえないものは山ほどあったし、親の都合は絶対だった。ひとり寝が寂しくても1人(厳密には、3つ下の弟と)で寝かされたし、寝ている親を起こさないよう、絵本もパズルも1人で遊んだ。

寂しさや満たされない気持ちは、ずっと残るのだろう。子ども達の希望すべてを叶えてあげることはできないけど、なるべく多くの気持ちをこぼさずに、受け止めてあげたいなと思っている。

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