一保堂茶舗 京都本店:1717年創業、喫茶室併設のお茶専門店
京都の寺町二条。
ここ寺町二条は、京都市役所がある河原町御池や賑やかな三条河原町と徒歩圏内でありながら、落ち着いた雰囲気であり、和菓子、ケーキ、青果店などの老舗が立ち並ぶ。
一保堂は、そんな寺町二条に店を構える老舗のお茶専門店であり、創業は、1717年(享保2年)。
当時は、創業者の渡辺利兵衛が、お茶の他、茶器や陶器を扱う「近江屋」として営業していた。
そのうちに評判となっていた「近江屋」は、1846年(弘化3年)に山階宮よって「茶一つを保つように」という意味を込めた「一保堂」の名前をつけられることになった。
戦後、デパートにも商品を卸すようになったため、さらに多くの人々に親しまれるようになった一保堂。
2010年には、京都本店以外で初めての路面店丸の内店がオープン。
2013年には、ニューヨークに店舗をオープンしたり、茶器やお茶の新商品を発表したりするなど、一保堂は、創業以来、伝統を守りつつ、新たなファンを獲得していっている。
余談だが、近江商人は、京都をはじめとして近隣の地域にもその商売を展開してきた。
そのため「近江屋」という名前のついた店は、無数にある印象を受ける。
もし、山階宮が「一保堂」という名をつけなかったら、お茶の「近江屋」という呼び方をしていたかもしれないと考えながら、店に入った。
一保堂では、扱われるお茶は宇治発祥の「宇治製法」によって作られたものが中心。
店頭には、抹茶、玉露、煎茶、番茶など、様々な種類のお茶が並ぶ。
常に同じ品質・風味のお茶を提供できるように、その種類ごとにブレンドするというのが一保堂のこだわり。
洗練されている茶筒のデザイン。
家でお茶を楽しむための茶器。
店頭ではお茶の試飲をしたり、香りを試したりしながら、お茶を選ぶことができる。
筆者のオススメは、袋入りの茎ほうじ茶(100g 540円)である。
プレゼント用というより、たっぷり沸かして少しずつ飲むというように家用にうってつけである。
ちなみに筆者のもう一つのオススメは、宇治清水というスティックタイプのグリーンティー。
グラニュー糖が入った抹茶パウダーは、そのまま溶かしてドリンクとして飲んでも、アイスクリームなど冷菓にかけても楽しむことができる。
何よりも、ヒゲの部分がバーコードになったパッケージデザインがお洒落。
この商品の歴史は意外に長く、1935年(昭和10年)に従業員の佐土與次郎が開発したのが始まりである。
また、一保堂では、お茶を淹れることを体験できる喫茶室「嘉木」(かぼく) が併設されている。
メニューはこちら。
抹茶と番茶両方が楽しめるセットや、夏の季節に嬉しい冷抹茶も。
抹茶や玉露、煎茶のメニューはこちら。
基本的にこれらのお茶には、季節の生菓子か干菓子が付いてくる。
今回選んだのは、「京極の昔」という抹茶。
付いてくる生菓子は、「初萩」という立秋の頃にぴったりのお菓子。
この日はちょうど立秋(2019年は8月8日から23日まで)の真っ只中であったが、猛暑続きの夏であったために、秋を感じるどころではない。
ところが、お菓子自体は、なめらかな緑の餡を透き通ったわらびの生地で包んだすっきりした甘さのものであり、冷抹茶との相性は抜群であった。
今回の抹茶は、店員さんが点てて提供してくれたが、玉露、煎茶、ほうじ茶、玄米茶は、たっぷりお湯が入った急須とともに提供される。
そこでは、店員さんがちょうどよい温度にお湯を冷ますところから、お茶の淹れ方を教えてくれる。
茶葉の説明を聞きつつ、自分でお茶を淹れる。
時々、お菓子を口に運びながら、待つという時間もまた楽しい。
おまけ
実は、イタリアのミラノに一保堂のお茶を楽しむことができる場がある。
それは、在ミラノ日本国総領事館があるトゥラーティ駅から徒歩圏内にある抹茶菓子専門店のモコズ・マッチャ(Moko's Matcha)。
ここでは、一保堂の抹茶を使った大福などのデザートやドリンクが提起されている。
日本の抹茶が本当に好きだという店主は、色々な抹茶の楽しみ方を研究しているとのことである。
苺大福とサービスでいただいた羊羹。
「一保堂のお茶を使っています」と聞いた時、京都で親しんだお茶が、イタリアでも味わえることにとても嬉しくなった。
一保堂茶舗 京都本店
住所:〒604-0915 京都市中京区寺町通二条上ル常盤木町52番地
営業時間:9:00-18:00
公式ホームページ:ippodo-tea.co.jp
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