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【聖地巡礼】『ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風』ローマ編

1. 覚悟はいいか?オレはできている:ローマでやってみたいジョジョの奇妙な聖地巡礼

2012年10月にスタートしたテレビアニメ版『ジョジョの奇妙な冒険』、2019年3月現在では第5部を放映中である。

第5部の舞台は、2001年イタリア。

本作は、世間からのはみ出し者によるギャング団「パッショーネ」に所属する若者たちが、悪に対し立ち向かうという物語である。

その主人公たちのキャラクターもさながら、奇抜でお洒落なファッションも魅力的である。

このnoteでは、第5部のクライマックスの舞台となったローマを、漫画の展開に合わせて紹介したい。

《凡例》

著作権の問題上、漫画のコマを引用することはできないため、第5部の[文庫版の巻数とタイトル]を記載する

作中の台詞をもじった箇所は"◯◯"で表記する。

またこのnoteは、ストーリーに従って説明し、ネタバレを含むので、まだ原作を読んでいない方は、注意である。


"『観光は楽しむ』『原作に忠実に歩く』
「両方」やらなくっちゃあならないってのが

「ジョジョオタ」のつらいところだな

覚悟はいいか?オレはできてる"


まず、ローマ歩きに欠かせないのが、地下鉄・バス共通の切符である。

切符は、駅の自販機で購入可能。

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切符の種類はこちら。
①24時間券 7ユーロ
②48時間券 12.5ユーロ
③72時間券  18ユーロ
④100分有効券 1.5ユーロ
⑤7日間券 24ユーロ

自身のローマでの滞在時間に合わせて選びたいが、ローマ市内は広いため、④の券よりも断然①〜③の券がお得である。

※券売機は、英語、イタリア語、フランス語、ドイツ語、スペイン語対応。

現金とクレジットカード両方使用できるものの、たまにカード対応していない機械もある。

ここで少し長くなるが、重要な注意を読んで欲しい。

駅構内はスリがよく発生するため、切符を買う際にも周りに怪しい人がいないかよく見渡してから買いたい。

イタリアのスリは、

"まるで「10年」も修羅場をくぐり抜けてきたような...

スゴ味と 冷静さを感じる目"

をして観光客を狙っている。

"「ブッ殺す」と心の中で思ったならッ!

その時スデに行動は終わっているんだッ!

というプロシュート兄貴のように、

貴方が気付いた時には、既にスリは行為を終えている。

貴方の財布とスマホはそこにはない。

これは誇張でも冗談でもない。

イタリアは、盗まれたものが間抜けで、盗まれたものは絶対返ってこない国である。

楽しい観光を最悪な思い出にしないためにも、心して旅を始めたい。


2.ローマのコロッセオに来るのだ… :「プロント!通話中」から「『グリーン・ディ』と『オアシス』その1-8」まで

※「グリーン・デイ」と「オアシス」の攻撃シーンが展開される沿岸部では撮影を行うことができなかったため、風景写真は割愛するが、ローマ編の冒頭部として説明を進める。

ムーディーブルースによって、ボスの正体を見破ったアバッキオが亡くなった後、ジョルノたちは、

「ローマのコロッセオに来るのだ…
来ればわかる
何時であろうとわたしは...待っている
コロッセオだ…
そこですべてはわかる」

と、謎の人物からサルデーニャ島からローマのコロッセオに来るように指令を受ける。
[ 37巻・「プロント!通話中 その①/ ②]

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小型船でローマ沿岸部に上陸したジョルノたち。

しかしすでにそこから、
「自分の体より低い位置に下がると攻撃が始まる」
スタンド攻撃を受けていた...
[37巻・「目的地はローマ!コロッセオ」]

グリーン・デイの攻撃を切り抜けて、ローマ市内に急ぐブチャラティとミスタ。(その他のメンバーは亀の中)

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ところが、すでに次のスタンド「オアシス」による攻撃は始まっていた。

ローマ市内に移動しつつ、ジョルノとミスタは、グリーン・ディを操るチョコラータを、ブチャラティはオアシスを操るセッコと対決することに。

[37巻・「『グリーン・ディ』と『オアシス』その②〜⑧」]


こちらは、ジョルノたちとチョコラータの対決の場となったボルゲーゼ公園。

撮影した日はあいにくの雨だったが、緑が美しい公園である。

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また公園内にあるボルゲーゼ美術館は、ラファエロやボッティチェリ、ティツィアーノ、カラヴァッジョなどの絵画や彫刻を多数所蔵する美術館である。

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ジョルノとミスタが、ボルゲーゼ公園でチョコラータを「燃えるゴミは月・水・金」に分別して倒した一方で、ブチャラティとセッコは、ヴェネツィア広場から、コロッセオへのレースを開始する。

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3. 燃えるゴミは月・水・金:「『グリーン・ディ』と『オアシス』その9-14」

ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世記念碑から正面向かって左脇の道が、ブチャラッティとセッコが走ったコースである。

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晴れの日に撮った写真はこちら。

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正面から見た記念堂と左脇の道に入る所。

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フォノ・ロマーノの遺跡を右目にコロッセオへ進む。

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因みにこちらが有名な遺跡のフォノ・ロマーノ。

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ブチャラティとセッコが走った道をまっすぐ進んでいくと、コロッセオが見えてくる。

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なお撮影した2018年11月現在、コロッセオ前では地下鉄の開通工事中であった。

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※追記:

2022年6月に訪れた時も工事中であった。

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死闘(ブチャラティの「命」は...あの時すでに終わっていたが)の末、ブチャラティによって「燃えるゴミは月・水・金」に分別されるセッコ。

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息も絶え絶えのブチャラティは、ドッピオの姿をしたボスとコロッセオ前で出会う。

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コロッセオの一角から、一向をコロッセオに呼んだ謎の人物ことポルナレフが様子を伺っていた。

[38巻・「『グリーン・ディ』と『オアシス』その⑨〜14」]




4. 鎮魂歌は静かに奏でられる:「そいつの名はディアボロ」から「ディアボロ浮上」まで

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そしてこのコロッセオ内の階段でボスのディアボロと、ポルナレフやジョルノたちが対面する。

「これは「試練」だ
過去に打ち勝てという「試練」と
おれは受けとった

人の成長は…
未熟な過去に打ち勝つことだとな…」


と言いつつ、ディアボロがこのどこかの階段を上ったに違いない、
[38巻・「そいつの名はディアボロ その②」]

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ポルナレフにトドメを刺そうとしたディアボロであったが、「矢」がシルバーチャリオッツを貫いて、「チャリオッツ・レクイエム」を発動。

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「チャリオッツ・レクイエム」によって、肉体が入れ替わった一向は、亡くなったナランチャを残し、コロッセオを出て、「チャリオッツ・レクイエム」と「矢」を追う。

[38巻・「「矢」のさらに先に存在(ある)もの」「鎮魂歌は静かに奏でられる」その①〜③ ]

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ティベレ川沿いの歩道と川から臨むサンタンジェロ城。

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コロッセオから、一向が向かう先は、ヴァチカン市国のカステル・サンタンジェロ。

[38巻・「ディアボロ浮上」]



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そして、ジョルノの与えた生命エネルギーが尽きついにブチャラティが亡くなったのは、このカステル・サンタンジェロへと続く、ティヴェレ川に架けられた橋。


※追記:

こちらは2022年6月、晴れの日に撮影したもの。天候によって全く違った印象を見せる橋である。

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5. 終わりがないのが終わり:「王の中の王」「ゴールド・E・レクイエム」画像21

この橋の付近で、「矢」がジョルノを貫き「ゴールド・E(エクスペリエンス)・レクイエム」が発動した。

そして
「「終わりがないのが
「終わり」
それが「ゴールド・E・レクイエム」だ」

として、
遂にボスのディアボロは、永遠に「真実」に到達することなく、
「死に続ける」ことになる。

[38巻:「王の中の王」「ゴールド・E・レクイエム」①〜④]

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撮影を行った日のローマは、止まぬ雨にどんよりとした雲であったが、思いがけず怖いほど美しい空を捉えることができた。

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ブチャラティの魂が昇天した場所でもあるサンタンジェロ城。

[38巻:「王の中の王」扉絵参照]

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美術に詳しい方はお気づきかと思うが、5部の登場人物は所々でイタリアの絵画をモチーフにしたポーズを取っている。(ナランチャの最期など)

物語の中では、自分が「正しい」と思い「信じられる道」を歩いた結果、非業の死を遂げた仲間もいる。

彼らは、作者の荒木飛呂彦氏のペンによって、芸術という永遠の中に落とし込まれている。

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一方で、自分の考える「正義」を貫くためならば、どれだけの人を利用し貶めても構わなかったボス・ディアボロは、永遠の死の中にさまようことになった。

ダンテの『神曲』によると、地獄に落ちた人々は例外を除き、煉獄の炎に焼かれて浄火され、天国に上ることができる。

ディアボロは、その地獄にすら落ちることができず、永遠に死に続けることになった。

少年漫画の王道、勧善懲悪の世界である。

実際に、イタリア社会においてギャング団たちはどのような存在なのか、ということについては、語り尽くせないため、ここで筆を置くことにしたい。

まずは、財布とスマホとパスポートを胸にしっかり抱いて、永遠の都・ローマを歩いてみることをお勧めする。

※追記:

こちらも2022年6月に撮影したサンタンジェロ城。

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この記事に元々使用していたのは2018年10月に撮影したもので、その時の天候もあってかなり画質は悪いが、夕焼けはその時しか撮れなかったものなので、それはそれで良いかなと思っている。



参考文献:

荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険 parte 5 黄金の風』37-39巻、集英社文庫、2005年。

荒木飛呂彦(解説:中条省平)『ジョジョの奇妙な名言集 Part 4〜8』集英社新書ビジュアル版、2012年。


おまけ

撮影を行った11月上旬のサンタンジェロ城。

たまたま日の入りに伴う空の変化を写すことができた。

一切加工していない、刻々と変わる空の色をご覧いただきたい。

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(文責・写真:増永菜生 @nao_masunaga



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