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ビッフィ(Pasticceria Biffi):創業1847年の老舗、「最後の晩餐」近くのバール

ミラノの老舗パスティチェリアは大体行ったと思っていたが、ここ、ビッフィ(Pasticceira Biffi)は最近ようやく訪れることができたバールである。

最寄駅は、地下鉄紫線のコンチリアツィオーネ駅(Conciliazione)。

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レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作「最後の晩餐」(ultima cena)があるサンタ・マリア・デッラ・グラツィエ教会(Santa Maria della Grazie)やスフォルチェスコ城の徒歩圏内にあるパスティチェリア・ビッフィ(Biffi)。

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実は、「ビッフィ ミラノ」(Biffi Milano)と検索すると、ガレリアのレストラン・ビッフィ(Ristorante Biffi)食品メーカーのビッフィ(Biffi)のHPが出てくる。

これらのHPには、"dal 1852”と書いてあり、今回紹介するパスティチェリアの創業年1847年とは異なる。

またそれぞれのHPに記載されている会社沿革を読んでみても、微妙に異なる点がある。

しかしながら、ロゴの字体はどれも一緒だし、パスティチェリア・ビッフィにも、Biffi dal 1852の商品が置いてある。

ゆえに、それぞれの情報を照らし合わせながら、このパスティチェリア・ビッフィを紹介していきたい。

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1847年、熟練したパン職人(Biffi esperto fornaio)であったビッフィは、マジェンタ通り(Corso Magenta)に、このパスティチェリア・ビッフィをオープンさせた。

ミラノのクリスマス菓子パネットーネのルーツについては、諸説あるが、ビッフィが作るパネットーネは評判の味であった。

美食家でもあった時の教皇ピウス10世(Pio decimo; 1835-1914; 在位1903-1914)も、ミラノのドルチェを所望したという。

因みにこの教皇は、世界大戦を未然に防ごうと尽力したが、その努力もむなしく、第一次世界大戦開戦後に亡くなった。

パオロ・ビッフィは、平和の象徴として三色の砂糖でデコレーションしたクリスマス菓子パネッローネをこの教皇に届けた。

このパオロ・ビッフィは、記録に残っているだけでも、総計18.000kgものパネットーネを生産したとされている。

ここまでは、パスティチェリア・ビッフィ(Pasticceria Biffi)のHPに掲載されている情報である。

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ところが、ガレリアのレストラン・ビッフィ(Ristorante in Galleria Biffi)のHPを見ると、

「1852年、イタリアの王の菓子職人、パオロ・ビッフィは、ミラノの中心にベーカリーカフェをオープンした。」

(It was 1852 when Paolo Biffi, the confectioner of His Majesty the King of Italy, opened the Biffi bakery and café in the hart of Milano)

と記載されている。

また、食品メーカー・ビッフィ(Biffi)のHPでも、

「パオロ・ビッフィは、1852年にマゼンタ通りに「オッフェレリア・ビッフィ」(Offellaとは北イタリアのパンケーキのこと)をオープンした」

(The mastery of Milan’s bakers, the famous “prestinée and uffelèe” was renown. Paolo Biffi was one of them: in 1852 he opened his “Offelleria Biffi” on Corso Magenta. )

と記されている。

この2つのHPの記述はあとは大体同じで、パネットーネが名物なことや、1866年にガレリアにレストランをオープンしたことなどが記されている。
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1847年創業のパスティチェリア・ビッフィと、

1852年創業のガレリアのレストラン・ビッフィ食品メーカーのビッフィ

互いに重なる沿革を記述をしながらも、1847年のパスティチェリア・ビッフィの方にはガレリアのレストランの情報が一つもない。

そもそも創業者(1847年か52年に創業)のパオロ・ビッフィと、教皇ピウス10世(在位1904-1914)にパネットーネを献上したパオロ・ビッフィは、同一人物なのか。

ここには19世紀半ばと20世紀前半、50年近くの時の流れがあるため、このパオロ・ビッフィが長命な人物ならば、20世紀初めの教皇にパネットーネを作っていた可能性もあるが、創業者パオロと同名の孫か親戚という可能性もある。

著者は、いつもnoteで、特に歴史ある老舗カフェのことを書く時には、店の公式ホームページに掲載されている沿革を読むようにしているが、今回ばかりは、2つの微妙にずれる情報を関連づけることができなかったということだけを、書いておくことにする。画像5

これは、カウンターでお茶をした時に撮影した砂糖の袋であるが、凝ったデザインのロゴが可愛らしい。

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店内は、広いカウンターに、種類豊富なパンやケーキが並べられた大きなショーケース、そしてテーブルのスペースと分かれている。

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ケーキたちは、クリームをたっぷり使ったクラシカルなデザートという印象を受ける。

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朝食からアペリティーボまで、伝統的なバールと同じく、いつでも気軽に入れる雰囲気である。



こちらが、食品メーカーのビッフィのマヨネーズやツナペースト。

スーパーで1つ1.5-2ユーロくらいで購入できるものである。

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他、ビッフィのパスタソースやお菓子、ジャム、コーヒーなどもあるとのこと。

このビッフィの食品は、イータリーのような食料雑貨専門店に行かなくても、普通のスーパーで購入することができる。

イタリアの老舗レストランの味を家庭で、ということでお土産に最適かもしれない。


ビッフィ(Pasticceria Biffi)

住所:Corso Magenta 87, 20123, Milano

営業時間:6:30-20:30

公式ホームページ:biffipasticceria.it

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