労働基準法37条の割増賃金の支払について


一 制度趣旨
 労働基準法37条の趣旨は、使用者に割増賃金を支払わせることによって、時間外労働等 を抑制し、もって労働時間に関する労働基準法の規定を遵守させるとともに、労働者へ の補償を行おうとする趣旨によるものである。(最高裁昭和44年、同47年4月6日)

二 要件
 割増賃金の支払い義務の発生要件 として①週40時間又は一日8時間を超えた場合②法定休日に労働した場合 ③深夜時間帯(原則として22時~5時)  
 以上の要件を満たした場合に、政令による決定(時間外労働と休日労働)や 労基法自体の定め(深夜労働)による割増率で労基法37条5項による算定方法が記載されている。

三 支払方法
 37条の趣旨からすると、必ずしも支払方法は一定でなければならないことはなく、37条の趣旨を逸脱しなければ、さまざまな割増賃金の支払方法を認めてもよいと考える。
 なぜなら、高度な専門性を有する職業の場合、仕事上の成果は、単に時間をかけたか否かによるのではなく、その質により場合が多く、労働基準法37条の計算方法に縛られることは、かえって労働者間の公平を害する場合が出てくるからである。

四 まとめ
 単純労働の場合は別として、医師などの高度に専門性を有する職業については、あらかじめ基本給に固定残業代を含めることを許容しても構わないと考える。

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