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セカンドブランド戦略のキモ

新しいブランドを作る理由

今回の記事はすでに確立したブランドがある企業内において、新しいブランドを作る際のポイントと注意点について書いていきたいと思います。もう一つのブランドを作る、ということでセカンドブランド戦略、と言われたりします。このブランドをもう一つ立ち上げる、というのは、言うのは簡単ですがいくつかの大きな困難もあることを覚えておかなければなりません。困難については後述しますが、その困難を覚悟してまでも新しいブランドを作らないといけねい理由があるのでしょうか。私が経験した中では次のような理由があってどうしても新しいブランドを作らなければなりませんでした。

既存のブランドが強固すぎる場合
全く異なったターゲットの顧客を取り込みたい時
競合への対応で既存ブランドのアセットが毀損されると予想される時

などです。このような理由のもとにセカンドブランドを作ってきたわけですが、立ち上げには相当に時間がかかりますし、立ち上げしながらも既存ブランドのメンテナンスもしなければいけないので相当に大変なことは明らかです。

タイプ別みるその理由

まず、既存のブランドが強固すぎる時というのは、確立しているブランドで企業内においては利益を生み出しているブランドの場合はあまりそのイメージやメッセージをドラスティックに変えてしまうと今のブランドを支持している顧客層が離れてしまう可能性があります。例えば、ある程度ブランドのヒストリーを持っていて、ブランドと共に成長した顧客層が高年齢化してしまった際などには、ブランドの若返りを図る必要がありますが、あまりにもブランドのイメージが強い場合は、新しいブランドを立ち上げた方がリスクは少なくなります。(ただし、ブランドの若がりを図らないといけない場合もあります。)
次に全く異なるターゲットの顧客を取り込みたい場合も、上記と同じような既存ブランドとの摩擦が出てくるのでセカンドブランドを立ち上げることがいいですが、この場合は全く新しいターゲットの知見が少なくテスト的に展開する場合もあると思います。失敗した際には既存ブランドに大きなダメージを与えるので、リスクヘッジという意味でも新規のブランドを立てるのが得策です。
最後に競合への対応のために新しいブランドを立てる場合です。これは少し複雑なのですが、例えば、既存ブランドの競合が低価格を強烈にPRして出してきた際、その低価格戦略を打ち消すために自社にて同じような価格帯のものを出すことがあるのですが、その場合、既存ブランドを値下げするのではなく、新しいブランドを立ち上げてそのブランドに低価格層をカバーしてもらう、というような戦略です。これは価格戦略の際によく取られますが、価格だけではなく、流通させるチャネルをガラッと変える場合などもよく取られます。

セカンドブランド戦略は難しい

このような理由でセカンドブランドを立ち上げていくのですが、決して楽ではありません。ブランドを立ち上げるための労力もそうですし、そのブランド名を認知させること、ブランドの持つ世界観を定着させること、それらをステークホルダーに伝えていくこと、全てがダブルになるので単純にコストが2倍になるのです。よく新しいブランドを簡単に立ち上げてしまう例をよくみますが、セカンドブランドを作るには少し慎重になった方がいいと思います。実際にブランドコントロールは大変だし、現実的には双方のブランドに手が回らない状況になってしまうことがよくあるからです。ブランドとはステークホルダーとのつながりを築くことがポイントなので、ブランドを作ればいいというわけではありません。

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