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先生の言葉と小林秀雄「美を求める心」

先週末に受けた研修で、講師の先生とこんな話をしてくださった。

「沢山の人を見る仕事をしていると、だいたい8割の人は過去に出会った人のパターンに当てはまります。だが2割はそのパターンに当てはまらない人も出てくるのです。その2割に対する探究心を持つことが大切なのです」

私自身、これまで4,000人以上を超える方々を個別サポートしてきた経験をふりかえると、この「8割」というのは確かにそうだと感じる。

この先生のお話をお聞きした時に、小林秀雄氏の「美を求める心」の一節を思い出した。

例えば、諸君が野原を歩いていて一輪の美しい花の咲いているのを見たとする。見ると、それはスミレの花だとわかる。何だ、スミレの花か、と思った瞬間に、諸君はもう花の形も色も見るのを止めるのでしょう。諸君は心の中でお喋りをしたのです。スミレの花という言葉が、諸君の心のうちに這入ってくれば、諸君はもう眼を閉じるのです。それほど、黙って物を見るという事は難しいことです。

小林秀雄の「美を求める心」

人であれ現象であれ、何かをパターン化して見るのは便利だし、楽だ。だがそのパターンに対象を当てはめ、「ああ、それは見たことがある」と決めた瞬間に私たちは眼を閉じ、「見る」ことができなくなる。

人の素晴らしさや可能性に光を当てる仕事を続ける限りは、しっかり眼を開いて相手を見る自分でいよう。

先生からいただいた言葉に、改めてそう思うことができた。



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