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ミスターラグビー“平尾誠二”から学んだ

10/20(日)のラグビーW杯南アフリカ戦、奇しくも、この日はミスターラグビー“平尾誠二”の命日でもあるので、過去に私が平尾誠二から学んだことをその書籍とともに簡単に触れたい。

この、“平尾誠二から学んだこと”は、今の私の仕事において、重要な基盤となる考え方となっているし、悩んだ時に平尾誠二の書籍を読み返すと、すでに平尾誠二が言及していたりして、すごく助けられた経験が何度もあったことを思い出す。

当時からすると、「従来の縦列型・命令型組織から、並列型・提案誘導型への変革を促す」など、平尾誠二の発想は進みすぎていて、やっぱり“理解されない発想”だったはずなんです。でも、私にとっては、「なるほど~、そういう考え方があるのかぁ。。」と、ほんとに学ばせてもらいましたから。。


最初に読んだ平尾誠二の本は、これだった気がする

『「知」のスピードが壁を破るー進化しつづける組織の創造』(1999年)

組織が強くなるには、①型&②オプションが必要である。前者は、戦術が細かく決められ、その型通りに動く「規律」であり、後者は、個々の判断力の積み重ねによる「強い個人」の考え方である。

短期的な成果を求める場合は、前者が有効ではあるが、長期的な成果が伴わないリスクがある。その中で、平尾誠二の変革に求められたのは、目先の成果にこだわらず、「強い個」による長期的な組織全体のボトムアップを図る道だった。

個人が自発的に行動するようなモチベーションを誘発させ、成長を促す。もちろん、「規律」を捨てたわけではなく、「強い個=個人の成長」による革新的な思想や創造と、その結果として、個人が帰属する組織自体も強化される。という考え方である。


『「日本型」思考法ではもう勝てない』(2001年)

「その場その場の自分の判断で勝負するよりしょうがない」

発想変えるべき3つのポイント。
- コーチング
- チームワーク
- リーダー

日本では昔から人を育てる場合に型から入る。そもそも教育には「教える」ことと「育てる」ことの二つの面がある。ところが日本では「教える」ことしか行われてない。「育てる」とは、コーチングである。これからの「コーチング」は選手に納得させて自発的に行動させられるか?である。

そして、「チームワーク」という言葉。これまでは、号令一下でみんなが動くことがチームワークだと思われてきた。ところが、これからはそうではなく個人がイマジネーションを働かせることで、結果的にチームが動いているというチームワークを考えるべきである。

これからのチームの「リーダー」というのは、目標設定とかビジョンを出すことが非常に重要で、それが求心力になっていく。壮大な目標に向かって、それに参加するために自分は何ができるのか?ということを考えていく。その順序が必要である。

「おもしろくないことは、自分で絶対おもしろくする」

「自分がやりやすい方法をみつけて磨きをかけていく」

「状況に応じて細かく判断していかないと情報もあまり意味がない」


『人は誰もがリーダーである』(2006年)

「情熱家は遠く、理論家は近く」

リーダーには、組織全体を広く客観的に見渡しつつも、選手や部下に熱を感じさせることが必要である。

「理論家は組織全体を見渡せる視野は確保しているが、その分、立ち位置が遠すぎて熱が伝わらないことが多い。逆に、情熱家は往々に近づきすぎて、全体を見て客観的に判断を下すことが難しくなりがち。その意味で、視野を広く持っているタイプの人は熱を伝えられるところまで近づいた方がいいし、熱い情熱を持っている人は全体を見られる程度まで距離を取った方がいい


『求心力 第三のリーダーシップ』(2015年)

多様性を認めつつも、共通の理想や目標に向けて個人が主体性を持って取り組めるよう、組織を一元化する力=それを「求心力」と。主体性に依存すればバラバラになるし、共感できない理想や目標を掲げても組織はまとまらないもの。それをまとめあげる求心力がチームには必要である。

「組織は大事だけれども、組織が個人を犠牲にする時代ではない。」


これら4冊に関して、平尾誠二の考え&理論はまったくブレていない。1999年に日本代表の監督に就任した時から、「日本代表が強くなるために&世界と渡り合うために」常に、中長期の視点で取り組み続けている。今回の2019年日本代表では普通になっている、日本人以外の選手を日本代表に入れたのも、日本人以外の選手をキャプテンに据えたのも、すべては“平尾誠二の日本代表”から始まったことである。そして、平尾誠二の最後の大仕事はやっぱりジェイミー・ジョセフヘッドコーチに日本代表を託した事だろう。

ようやく、「太い幹ができあがった」。そんな、ラグビー日本代表でしょうか。