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距離感その2

ブラジルには「サウダージ(saudade)」という言葉があります。
日本語訳では「郷愁、憧憬、思慕、切なさ」と訳される言葉です。

言葉訳としてはそうなのですが、特にブラジル音楽で使われているときは、その言葉に込められたニュアンスが大切なのだそうです。

ブラジルに連れてこられた人がたくさん生まれた奴隷船の頃。
アフリカからブラジルを通る航海に要する日数は天候次第のところがあり、1ヶ月から6ヶ月かかったそうですが、時代が下るにつれ奴隷船が向上し、移送工程の短縮が可能となり、19世紀には多くの奴隷船が6週間未満で横断したそうです。

そして今では、飛行機の技術も発達して、ブラジル~モロッコ間では平均21時間53分で着きます。

大西洋広し、と言えども、太平洋に比べると「目と鼻の先」くらいの距離感。この「目と鼻の先」くらいに感じる距離感が“サウダージ”には大切で、

帰ろうと思えば帰れなくもない距離
だけど、帰ることができない

このニュアンスがブラジル音楽の“サウダージ”には込められているそうです。

「故郷は遠くにありて思うもの」
ではありませんが、「帰れるけれど帰れない」。“郷愁”という訳では伝わらない心情を感じると、ブラジル音楽の魅力がさらに味わい深くなるそうです。

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