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在宅医療の業務改善について考えた

はじめに

私は福岡で在宅医療に携わる精神科医です。
https://taro-cl.com/


在宅医療は医療の中では比較的新しい分野で仕組みが整備されていない部分もあるため様々なチャレンジが行いやすい一方で、もっと業務改善できるのではないかという思いもありました。
そんな中、こちらの記事を読んで「ものづくり医療センター」のことを知りました。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000079105.html

「医療現場の課題解決に必要なテクノロジー技術を学ぶだけでなく、講師のサポートの元で実際に動くプロダクトを作ることを最終目標とする」とはまさに私が求めていることのように思いました。
たまたま参加者のお一人が知り合いだったこともあり感想についてお聞きすると、オススメするとのお返事をいただき入校に至ったという経緯です。

ものづくり医療センター、通称「もいせん」には、
検査入院コース、入院コース、ICUコースと三つのコースがある中で、どうせやるなら最も積極的なコースということでICUコースを選択したところ、このコースではプロトアウトスタジオと共同実施になるということでプロトアウトスタジオの5期生にもなりました。
https://protoout.studio/

そして、10月2日の夜、キングオブコント決勝戦と丸かぶりの時間に入学式兼第0回授業が開催。
プログラミングに全く触れたこともない中でどうなることかと不安も感じていたのですが、丁寧にフォローしてもらえて無事に授業が終了。
そこで、大量の宿題が出されました…
プロトアウトスタジオは、プログラミングスキルを学ぶだけでなくプロダクトを作ることを目的としているため多くのアウトプットを求められます。
その宿題のうちの一つが、「日々の業務で発生している問題点(課題)を探し、改善アイデアを6つ考えて、noteで記事にしてください。」というものでした。

課題と改善アイデア6つ

そこで考えてみたのが、こちら。
1. 初診依頼があった際の情報収集をLINE Botで行う
今は初診の依頼があった際、患者さんの情報収集を連携室のソーシャルワーカーさん達が行なってくれていますが、ベースで聞く情報は概ね決まっています。これをLINE Botにして質問に答える形である程度情報を集めることができればソーシャルワーカーさん達の時間が節約できて、もっと対人業務に時間を割くことができるのではないかというアイデア。
第2回目?の授業でLINE Botの作り方を習うらしいので、チャレンジしてみたいと思います。
-実現可能性【(期待を込めて)90%】

2.  夜間休日の電話相談をLINEでも受けられるようにする。
在宅医療では、24時間365日の対応が基本となります。ご家族や施設職員から「いつでも相談できるのはありがたい」という話がある一方で、「この程度で相談していいのか悩む、、」という意見もあります。そこで、発熱や転倒など、よくある相談についてLINE Botで相談を受け、やりとりをしてある程度まとまった情報が待機担当看護師に送られるようにすると相談もしやすくなるし、対応する方もある程度情報がまとまってわかるため対応しやすくなるのではないかというアイデア。
そもそも介護現場でLINEを使える状況があまりなかったり(スマホがない)、LINEにすぐに気付かず対応が遅れたりするリスクもあり、実際やろうとすると課題は多い気がしています。
-実現可能性【30%】

3. 初診患者の情報集計
在宅医療でのデータを論文にまとめたりする際、現状では患者さんの年齢や診断名、検査結果などを一つ一つカルテを開いて調べています。これを、自動的に集計し必要な情報を簡単に取り出せるようにすることで分析を容易にしたいというアイデア。
Googleスプレッドシートを用いればできる気もするんですが、このためだけに入力するのは二度手間なので、ここに入れたものがカルテに自動で入るようにしたい。
ただ、今使っている電子カルテ(SECOMのOwel)はAPIの公開をしないと聞いたことがあり、難しいのかもしれません。
ただ、電子カルテをモバカルに変える予定なので、変えればできるようになるのかも。
-実現可能性【40%】

4. ヒヤリハットの共有
ヒヤリハットとは、大きな事故にはならなかったものの、事故になっていた可能性のある、一歩手前の出来事のことです。当院でもヒヤリハットを報告する仕組みを作っていますが、よく出す部署と出さない部署があったり、ヒヤリハットで改善案を出しても、それが共有されていなかったりと課題があります。今は紙ベースでやっているヒヤリハットの報告をスマホや PC 上で行えて、かつ誰でも見られるような仕組みにすることで同じ失敗を繰り返さなくて済むと考えます。
これもGoogleスプレッドシートを用いれば実装できるのかもしれませんが、気軽にヒヤリハットを出せる仕組みを考えたくて、なんならヒヤリハットをたくさん出した部署や人が表彰される仕組みがあってもいいかもしれないと思っています。
-実現可能性【80%】

5. 採血結果の自動判別
採血を取った際、基本的には正常値からの乖離と、前回採血結果との比較で判断を行います。
今の仕組みとしては、前日に取った採血結果が翌朝ファックスで流れてくるので、それを事務さんが院内のLINEワークスに流して各医師が確認し指示を出すという流れ。正常値は検査結果値の横に書いてあるので簡単に参照できますが、前回結果の参照はカルテを開いて数字を見比べながらと、結構めんどくさい。時間が経てばカルテに検査結果が取り込まれて前回との比較を一覧で見ることができますが、できれば朝すぐに判断して指示を出したい。
API で検査結果を持ってきて、前回と比較した表を作成することはすぐにできそう。できれば、そこからさらに項目ごとに前回結果からいくつ以上変化していればハイライトをつけて目立つようにしたい。
-実現可能性【90%】

6. 法人内 SNS
法人のスタッフ人数が 100 人を超え、在宅部門だけでも 50 人以上のスタッフがいる中で、お互い話したことがないどころか別部署の場合は顔と名前が一致していない場合も少なくない。朝礼でそれぞれの部署から話をしてもらう時間を設けており、そこで最近はじめた趣味の話などを聞けるのは楽しいことも多い。コロナ禍で宴会をできなくなったことで余計にスタッフ間のコミュニケーションが難しくなっており、これを法人内SNS で補いたいというアイデア。まずは顔写真と名前、出身地、趣味がそれぞれ書かれていれば十分。あとは朝礼で話した内容を使いしていくことをマストとし、それ以外にも更新したければ更新してもらうといい。
法人内SNSって言うと仰々しいけど、オンライン法人名簿の方が適切な表現かなぁ。これもGoogleスプレッドシートでできるのだろうか。作ったとしても使ってもらえるのか。使ってもらえるにはどんな機能があればいいのかって考えていくと、実は結構大変そう。
-実現可能性【40%】

ということで、宿題の指示通り、何とか課題を6つ挙げました。
果たして、4ヶ月後のコース修了時には、このうちいくつができるようになっているのか楽しみです。

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