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100周年を迎えた香り。

香水、と聞いて真っ先に名前があがる一つがシャネルのNo.5ではないでしょうか。

マリリン・モンローが素肌に数滴まとって寝ている、と発言したこともとても有名。

そんなエピソードが表す、スーパーフェミニンな香りですが、実は最初の「アブストラクト~抽象的な~香り」でもあります。人工香料アルデヒトによってそれまでになかった、特定の花の香りを感じない、新しい世界を作り出したのです。

調香師はロシア生まれのフランス人エルネスト・ボー。
あまり注目されないように思いますが、ロシア生まれの男性とシャネルは色々縁があるのがシャネル。

「私はロシア人に夢中なの」と言う言葉も残しています。

No.5の発表の翌年のコレクションはロシアの民族衣装をふんだんに取り入れたデザインに彩られていました。(ドレス「キトミール」は『春の祭典』のイメージも重なります。)

ディアギレフとは恋人関係ではなく、シャネルがバレエ・リュスに魅了され、1920年に『春の祭典』の再演のための資金提供をし、それによって「お針子風情が」と彼女を蔑んだ社交界の一部にもシャネルは認められるようになりました。

バレエ・リュスに惹かれ、親密具合については諸説ありますが、ストラヴィンスキーとも非常に親しい関係を築いたシャネルは続いて最後のロシア皇帝の従弟でもあるロシア大公ディミトリ・パヴロヴィッチと恋人関係になります。

そんな彼との短かった恋の思い出を閉じ込めたと言われる香りが「キュイール・ド・リュシー」(ロシアの革)

シャネルにとって香りは様々な物語を持ったものでもあったわけです。

そもそも、No5の調香師もディミトリ・パヴロヴィッチ大公からの紹介とも。花の正体は分からない、でも極めて女性的な存在感のある香りを1921年に誕生させたシャネル、どんな思いで作ったのかな、と思いを巡らせるのも香水の愉しみの一つと言えそう。

私自身はNo.5よりもココ・マドモワゼルを使いますが、その理由はまた。

そんなシャネルを魅了したバレエ・リュスのお話しは3月31日(水)14:40~16:00。お待ちしております。
お申込みは下記からどうぞ。




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