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2.コトの発端-DIYワークショップを海外でプロデュースする

「ともにつくる、世界へ」 -  2019年12月3-6日の4日間、韓国・群山(ソウルより車で3hの地方都市)にてワークショップは開催された。日本でひたすら積み上げてきた「ともにつくる」という「空間のつくり方」を世界へ持ち込む。日本を飛び立つ前は、未知への期待感と不安の両方があった。熱量と未来へ繋がる手応えを感じた、韓国群山での4日間を記録する。

振り返ると自分自身でも不思議に思うほど、偶然に偶然が重なった結果、韓国初のDIYワークショップ;DIT FESTAという場は生まれた。

本をきっかけに

このワークショップの主催者は韓国・国立建築研究所auriである。当ワークショップの指揮をとった都市再生部門所長Yoon Zoosun氏(以降、ユンさん)とつみき設計施工社の出会いは、私たちが2018年春に出版した書籍「ともにつくるDIYワークショップ」がきっかけだった。

2019年の夏、ユンさんは新たな研究対象としてDIYやDITワークショップの都市再生としての可能性に着目していた。先行事例となる書籍を調べる中で、当書籍をamazonにて偶然に見つけた。

海を渡って研究所に届き、ユンさんが本を手に取ったその場に通りがかったのが、Shon氏(以降、孫くん)だった。その日に同研究所に入社したばかりの孫くんは、その本の著者である私たちと知り合いだと話した。偶然にも、孫くんと私は大学院を同じ研究室(京都大学大学院建築学専攻吉田研究室)で過ごした同級生だった。

facebookメッセンジャーを通じて孫くんとのコンタクトが始まった。大学院を卒業して以来、実に約10年ぶりだった。その2週間後には孫くんの紹介で、都市再生部門所長でありこのワークショップの先導役となるユンさんが千葉県市川市を訪れた。

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2019年8月、市川でのプロジェクトを一通りユンさんに案内した後、JR本八幡駅からほど近い八幡八幡宮で行われていた「ニューボロ市」というマルシェイベントを訪れた。イートインコーナーのベンチで、今後の互いの展望について話をした。

・ 韓国でここ1-2年でDIYがブームになりつつあること
・ 新たな都市再生の手法としてDIYワークショップを広めたいこと
・ そのために国内初の導入事例を共同で行いたいこと
・ 導入事例をまとめ韓国内の地方自治体に配布する予定であること
・ ワークショップ前に関係者巻き込みのため各地でレクチャーをしたいこと

など話を交わした。私自身、日本で10年間培って来た「ともにつくる」というコンセプトを世界に広げたい、という強い思いがあった。空間自体ではなく、空間の「作り方」を輸出する形で、世界に関わってみたい。すぐに協力を申し出た。

その日からワークショップ開催までの約4ヶ月間は、互いに密にコンタクトを取り、実現に向け、勢いよく話が進んだ。ソウルで2回、地方都市で2回の事前レクチャー、また開催地である群山での現場調査も行った。

開催約1ヶ月前からはオンラインで進捗共有などのミーティングを行い、「人」「道具」「資材」の事前準備を計画的に行った。遠方でできる限りの準備を行い、韓国・郡山へ入ったのは開催2日前の12月1日だった。

(ことの発端編おわり・チームビルディング編に続く)

*写真は、ニューボロ市主催者の一人であるDEPOT湊誠也氏・Yoon氏とニューボロ市の青空写真館SUNCAMEにて撮影したもの。

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目次
1はじめに
2ことの発端
3チームビルディング
4ワークショップ本番
5場の質を評価する
6まとめ
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