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3チームビルディング-DIYワークショップを海外でプロデュースする

「ともにつくる、世界へ」 -  2019年12月3-6日の4日間、韓国・群山(ソウルより車で3hの地方都市)にてワークショップは開催された。日本でひたすら積み上げてきた「ともにつくる」という「空間のつくり方」を世界へ持ち込む。日本を飛び立つ前は、未知への期待感と不安の両方があった。熱量と未来へ繋がる手応えを感じた、韓国群山での4日間を記録する。

前回の記事では韓国初のDIYワークショップ(DIT FESTA)が開催されるまでの発端について書いた。

『2.コトの発端-DIYワークショップを海外でプロデュースする』
https://note.com/naokono/n/n67907ec5a11c

今回は、この4日間および事前の準備がどんな組織と連携によって実現したのかチームビルディングについて記録していきたいと思う。

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DIYワークショップをオーガナイズする上で必要なのは、「人」「道具」「資材」の3つ。この中でもっとも高い優先順にあるのが、ワークショップに関わる「人」というリソースをどうデザインし、配置するかだ。

このページでは、韓国初のDIYワークショップ(DIT FESTA)で組織した「A.チーム編成」と「B.私たちの役割」の2点について詳しく触れていきたいと思う。

A. チーム編成

今回の4日間のワークショップでは群山市内の2つの案件を同時進行させた。Youtubeスタジオの1FカフェをつくるSUPERTEAMとゲストハウスのラウンジをつくるLUCKYTEAMの2つである。各チームおよび全体の組織を、以下のダイアグラムにまとめた。

DIT FESTA組織図

<オーガナイザー>
まず全体のオーガナイズには、全体指揮とキュレーションを行なったauri、プログラムデザインと指導を行なったつみき設計施工社、現地でのサポートを担ったY-Labの3者が関わった。

1.主催者
auriという国立の建築都市研究所が主催である。都市再生部門の所長ユンさんが全体の指揮をとった。私と彼の連携により全体の計画を練り、人的しソースのキュレーションはユンさんによるものである。(このキュレーションの質の高さが、今回のワークショップ全体の質の高さに直結している。)

2.プログラムデザイン
千葉県市川市を中心に10年間で400ほどのワークショップを行う、つみき設計施工社が行った。auriとの連携によりプログラム作成を行った。また現地でのマスターへの指導もつみき設計施工社が行った。(弊社の具体的な役割については後述)

3. サポートチーム
実際のDIYワークショップ以外のサポートを、現地で地域活性の役割を担うY-Labというチームが担った。アイスブレイクやネットワーキング、全体の司会進行、現地での食事での手配なども彼らが行なった。(後日詳しく書きたいが、サポートチームのホスピタリティがワークショップの参加者満足度に直結する)

<ワークショップチーム>

続いて2つワークショップチームの構成について。Youtubeスタジオのカフェ部分をつくる「SUPER WORKER」チームと、ゲストハウスのラウンジをつくる「LUCKY MARKET」チームである。

各チームに、参加者10人+DITマスター2人を配置した。ワークショップ中は、参加者5人+DITマスター1人の班に分かれて、作業を行った。

DITマスターとは、ワークショップ中の技術指導およびファシリテートを行う役割である。日本ではつみき設計施工社スタッフやパートナーの和建築工房の忍田氏などが行うこのポジションは、以下4人が役割を担った。

「SUPER WORKER」
A. Hammer design グンサンで設計施工の事業を行う大工職人
B . Orot company ソウルで設計施工やクライアントとのDIYを行う職人

「LUCKY MARKET」
C. Z-bang  グンサンでまちづくり事業を行い、DIYでの空間づくりの経験が豊富な事業者アーティスト
D. Her-e   ソウルでインテリアDIY施工などの技術教育を行う講師

私とユンさんの間でこのポジションに適する人材像を共有し、ユンさんがそのコーディネートを行った。このポジションには「つくる」そして「教える」という2つの役割が求められる。元々両方の経験がある人材を探すことは難しい(そんな職業が現時点では存在していない)。そのため、「つくる」または「教える」のどちらかを専門とし、もう一方の役割に対しても積極的な興味のあるかをヒアリングすることで適任者を探すことになる。

・ 参加者の属性

開催2週間程度前からの募集開始にもかかわらず、20名の枠に対して、30名近くの応募があり、抽選を行った。開催地が首都ソウルから車で3hほどであるにも関わらず、半数以上はソウル近郊からの参加だった。現地の群山からの参加者も見られた。建築に関わる職業の方やデザイナーや研究者、カフェ運営者などの事業者、建築やデザインを学ぶ学生などの参加があった。

韓国で初の試みであったこともあり、主催者やサポートチームに近いコミュニティに属する層やDIYやまちづくりに興味関心の近い層が多かった。

B.つみき設計施工社の役割

以上の組織の中で、つみき設計施工社の具体的な役割は以下を行なった。

<事前の役割>
・プロググラムデザイン
→「ワークショップスケジュール」「人・道具・材料の事前準備 」の二点を軸に、主催者のユンさんとオンラインで連絡を取りながら、現地での準備のサポートを行った。
・マスターとスタッフへのレクチャー
ワークショップ当日の前日に、DITマスターおよびサポートスタッフに対して「役割」と「マインドセット」について事前レクチャーを行った。韓国国内では初の取り組みであったこともあり、マスターおよびスタッフの意識づけを行うことが重要であると考えた。具体的な内容については改めて共有したい。

<ワークショップ中の役割>

・参加者へのレクチャー(日本でのWS事例など)
・道具の安全講習(参加者への安全教育および指導者に対しても教え方を伝授する目的があった)
・ マスターへの指導方法アドバイス
・ 危険予知
・ ワーク終了後のマスターミーティング(毎晩30分ほど)
→ その日行なったこと・良かったこと・うまくいかなかったことを各マスターから共有してもらい、状況に応じたプログラムの修正などのアドバイスを行った。

まとめ
全体組織のチームビルディングについては以上である。繰り返しになるが、主催者であるauriユンさんによるキュレーションへのこだわりと、現地でのサポートを行ったY-Labのホスピタリティの高さが、今回のワークショップの質をぐんと上げてくれた。

DIYワークショップに必要なリソース「人」「道具」「資材」の中でも、「人」のキュレーションの重要さを改めて実感した。海外という不確定事項の多い環境なら、尚更重要度は増す。「道具」「資材」、残り2つのリソースは、は概ね「人」についてくるものでもあるからだ。

次は、いよいよワークショップでどんなことを行ったのか?当日のことについて記録していきたいと思う。
>3.ワークショップ本番へ

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目次
1はじめに
2ことの発端
3チームビルディング
4ワークショップ本番
5場の質を評価する
6まとめ
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