見出し画像

松本の居酒屋で。

夕方、仕事を早めに終いにして松本へ出かけた。
長野駅まで来ると三連休の中日、駅の構内が
観光客でごった返している。特急しなので五十分、
氷結とハイボールを飲みながら、薄暮の景色を眺めて行く。
久しぶりの松本の夜、東横インにチェックインを済ませ
たら、目当ての店に向かったのだった。
毎週BS11で、太田和彦の居酒屋百選を観ている。
毎回全国のあちこちに旅をしては、いろんな居酒屋を
紹介している。以前、友だちと会津若松へ旅行をした
折りに、太田さんが紹介していた籠太という店に行った。
郷土料理の旨い、接客の温かな好い店だった。
つい先だって、太田さんの故郷の松本の「深酒」という
居酒屋を紹介していた。寡黙そうなご夫婦が営んでいて、
店も小ぎれいな雰囲気を醸し出している。パソコンで
検索してみたら、ホームページが引っ掛かった。
品書きを見ると、日本酒の専門店のようで、申しわけ
程度にクラフトビールが一種類。焼酎もワインも
ウイスキーも見当たらない。
そして、日本酒を飲まないかたの入店はお断りとある。
任せてくれ。最低でも四合は杯を重ねますよとうなづいて、
二軒目、三軒目の入店はお断りとある。承知です。
きっちり素面で速やかに伺いますとうなづいて、
そのあとに、泥酔したかた、常識のないかたの入店は
お断りとあって、ちょっとひるんだ。泥酔して常識に
欠けて、さんざん人さまに迷惑をかけた過去を思い出し、
気を引き締めて予約をぽちっとしたのだった。
ホテルを出て、女鳥羽川の千歳橋を渡ったら、四柱神社
を抜けた先に在った。扉を開けたら、カウンターも
テーブルも客でいっぱいで、二階にも客席があり、
後から入ってきた客が案内されていた。
すごい盛況ぶりに驚いた。県内外、日本酒の品ぞろえが
すごい。
まずはお通しの茶わん蒸しで、秋田の鳥海山を利く。
刺身の三点盛りと、箸休めに、ひたし豆と菜の花の
昆布締めを頼んで、山形のばくれんと若乃井と、宮城の
萩の鶴と秋田の春霞と、東北の味を楽しんだ。
女将さんと話をすればいたってきさくなかたで、店に
入る前の緊張感はどこへやら、楽しく酔わせていただ
いた。ご主人と奥さんにお礼を述べて、締めは焼き鳥で
ハイボールかな。ホテル近くの末喜商店さんにお邪魔を
したことだった。

東北の酒松本で春の暮れ。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?