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江口さんを。

春休み、日中の町なかに子供たちの姿があった。
今どきの子供は、男の子も女の子も、
みんなきれいな顔をしている。
身なりのセンスも好いから、
町が華やぎにあふれていた。
歳を重ねたおじさんには、まことにまぶしく
映えたのだった。
コロナ禍で、子供たちの暮らしにも、
ずいぶんと我慢が強いられたことだった。
明るい笑顔を眺めていると、
のびのびと過ごせる日が戻りますように、
願ってしまうのだった。
馴染みの店で昼飯がてら、
ビール一本にお銚子二本空けたあと、
中央通りの北野カルチュラルセンターへ出向いた。
江口寿史さんのイラスト展が
開かれているのだった。
かつて少年ジャンプで連載していた、
すすめパイレーツやストップひばり君は、
はて、どんな内容だったか、すっかり忘れている。
愛読していたのは40年前のことだから、
それ以来に触れることだった。
「彼女」と題された催しで、
歌手のアルバムの表紙や、いろいろな
雑誌の表紙を飾った作品が、
一階から三階にわたる会場に
ずらっと並んでいた。
緻密に描かれた、いろいろな仕草や
表情の女の子たちは、どれも
若々しい色気が感じられ、引き込まれる。
イラストだというのに、
歳を重ねたおじさんは、年甲斐もなく
ドキドキしちゃいました。
こんな作品を一点部屋に飾っておけば、
いつでも春の華やぎを感じていられるのにと、
かなわぬ思いを抱いてしまったのだった

前髪をちょっと短く春休み。

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