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あの星が降る丘で、君とまた会いたい

「あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。」という小説を読んだ。
これは「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」の続編だ。

前編では戦時下の日本にタイムスリップした中学2年生の百合。そこで特攻隊員である彰と出逢い恋に落ち、悲しい別れを経験する。
続編ではすっかり変わって反抗的ではなくなった百合が登場する。

前編で百合目線で書かれていた小説だが、続編ではそのほとんどが前編で少し登場する彰の生まれ変わりの涼の目線で書かれている。

百合は涼が彰の生まれ変わりだとすぐ分かるが、飛行機や百合の夢をよく見るものの涼には実感がない。
それどころが彰に嫉妬して、中学2年の段階では百合の事を好きだが、彰を好きな百合を受け入れられず、自分から告白しておいて「俺には無理だ」と百合を拒否する。
大学2年になり、中学の同級生の百合と仲の良い友達から百合が「うまくいきそうだったけど、自分のせいでダメになった」と言っていたという事を聞き、悪いのは自分だと告げる為に6年ぶりに百合に電話をし、二人は結ばれる。
百合と涼にとってとくべつな丘が百合と彰にとっても特別な丘だというところがいい。
そして、生まれ変わりなのに、彰に嫉妬してるところがそういう展開もあるのね、と斬新でした。
最終的に涼は彰も自分の一部だと思う様になり、彰に嫉妬しないか不安になる百合に「彰と涼の二人で百合を愛している」と告げ、百合は安心する。

この続編にも前編に出てきた、特攻に出撃する前日に彰が一人で書いた百合宛ての手紙の全文があり、泣けました。

何より、戦時中に結ばれなかった二人がハッピーエンドでよかったです。
とても幸せな気持ちになれる作品でした。

そして何より、戦時下では無い日本という国に生まれ育ち生きている、
その有難さを痛感する作品でした。

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