CKDG3患者さんのシックデイを鑑み降圧薬減量提案のためトレーシングレポートを活用した症例

3週間ぶりの投稿です。
書きたいことはあったのだけど・・・ 
なかなか書こうという気持ちになれず・・・
書くってエネルギーが必要ですし。勢いがないとね!
って・・・ 勢いだけで書いている私でございます。
すみません・・・ どうでもええ事ですよね。
シックデイって聞くと、やはり糖尿病を思い出しますよね。
だけど、腎臓ともシックデイは切っても切れない深~い関係が・・・
想像してみて下さい。
腎臓はデリケートな毛細血管の集まりなわけですから・・・
普段から毎日毎日150リットルの血液を糸球体で濾過しているわけですよ。
めっちゃ酷使してますよね・・・
もし腎機能低下しててネフロンが減っていたら、その残存するネフロン達だけでそのお仕事をしなくてはならないわけです。
腎機能が半分になったら、その残されたネフロンは2倍のお仕事を任されて、その過重労働が続くとどうなりますか・・・
腎機能が低下するって事はそういう事。
もし、腎機能が半分にまで低下してるとして、下痢や嘔吐などで水分摂取も不足していわゆる脱水になった場合・・・
循環する血液量がそもそも減ってきているわけですから、糸球体に入っていく血管である輸入細動脈の血液量が減る→糸球体濾過量が減る→尿が減る
ってなるわけですが~
この時に、もしACEやARB服用しているとしたら、糸球体から出ていく血管の輸出細動脈を拡張するわけなので、どうなりますか?
糸球体内圧が減少するわけです。本来この作用は、糸球体を保護する意味ではとても重要な事。とくに糖尿病性腎症で尿蛋白+だと、すでに糸球体は傷ついてるわけだから、糸球体過剰濾過が続いて糸球体への圧がかかってさらに尿蛋白は増えるってイメージできますよね。
めっちゃデリケートな糸球体に負荷をずーーーーっとかけている状態なわけだから、輸出細動脈を拡張して糸球体内圧を下げてあげると・・・ 
糸球体の負荷は減りますよね。そうすると尿蛋白も減るか増えずにすむわけです。
だけど、それはやりすぎると、糸球体内圧が低下しすぎて今度は尿が作れなくなってしまう。それは諸刃の剣だったりするわけです。
だから、尿蛋白の有無で降圧薬の選択をどうするか判断ってのはとても重要って事がわかるかと・・・
あっ!めっちゃ偉そうにすみません。
腎臓愛にあふれているからって事でお許しくだされ~
なので、腎臓内科ドクターからはCKDG3b以降患者さんだと収縮期血圧が120mmHg未満でACEやARB中止指示があったりします。
CKDガイドライン2018では、収縮期血圧110mmHgへの降圧を避けるとされている。理由は末期腎不全への進展リスクが収縮期血圧110mmHg未満で多くなるとされているからのようです。
おそらく、収縮期血圧110mmHg未満だと腎虚血リスクが高くなり糸球体濾過量が低下して腎機能低下リスクが高くなるからだと考えております。
それに、一時的にでも・・・
もし腎排泄薬剤を服用されている患者さんだとしたら、腎排泄が低下する事でその薬剤の血中濃度が上昇してしまい副作用リスクが高くなってしまう。
もしかしたら、その薬剤を投与できないかもしれない・・・
その薬剤が患者さんにとって一番重要な薬剤だとしたらどうしますか?
腎機能を低下させてしまう事は、その先にある治療をも受ける事ができなくなる可能性もあるって事です。
投薬の際、その事を理解して頂く様お話しております。今は大丈夫でもこの先低下する可能性を考えたときに、回避できることはね!
回避する事で、腎機能維持できるならそうすべきだと・・・ほっといても年齢とともに低下していくんだから。
なので、ふだんからとくにCKDG3以降の患者さんについては、収縮期血圧が110mmHg未満だとACEやARBスキップか、尿蛋白があるA2~A3の場合は別の降圧剤をスキップして頂く様お伝えして、その旨処方元に情報提供しているんです。尿蛋白がある場合はやはりできるだけACEやARBは継続してもらいたい。ただ減量できる投与量なら減量はしてもらう。
ちーと話は変わりますが・・・ちょっとついでに話しておきたいので~
CKDG3以降の患者さんで、尿蛋白もある患者さんの場合にNSAIDsが投与されたとしましょう。作用機序から考えると、輸入細動脈が収縮されるので糸球体濾過量低下して糸球体内圧が下がるので、当然尿蛋白が抑制されるので、糸球体にとっては保護に働くように思えますよね。
実際ネフローゼ症候群にNSAIDsが使用されていた事もあったみたいですし。
じゃぁ~ なぜ使われなくなったのか・・・
NSAIDs漫然投与により、輸入細動脈が収縮されるわけですからその先の血流も障害されるわけですよね。輸出細動脈を出て尿細管周囲毛細血管に至るので、その血流障害から、尿細管の働きにも影響して尿細管壊死を起こしてしまう危険がある。
糸球体基底膜の障害や、急性間質性腎炎も引き起こすとされています。
やはり、腎臓にとってはNSAIDsはよくはないんです。
ってことで~
そろそろ本題に入りましょう。
今回の患者さんは、癌患者さんで、数回の手術をすでにされている患者さん。術後に入院先の病院薬剤部から薬剤管理サマリーを頂いて、その採血データと過去の採血データを比較してとても参考になって助かったケース。
退院後、食欲低下し体重が約10kg減り血圧低下も認め、ふらつきもあって不安になっていらした患者さん。
食事量が減っているにもかかわらず、下痢したり・・・
脱水リスクが高いですよね。
この時点での、この患者さんの服用継続している薬は
ARB、カルシウムブロッカーなどなど。
さぁ~ どうしましょうか・・・何を考えますか?
まず、起床時血圧がどうなのか・・・ ふらつきを認めたときの血圧はどうなのか? 尿蛋白の有無は・・・
入院されてる場合の腎機能評価をどうとらえるか・・・
この患者さんの場合、尿蛋白の有無は不明だったんですよね・・・
入院中のデータからは低アルブミンなんだけど、これは蛋白異化亢進によるのかなぁと。なので尿蛋白出現によるとは考えにくいかなぁって思っている。
自宅での血圧は110~120mmHgが多いとの事だったが、起床時かどうかがはっきりしなかった。ただ、100mmHg未満も認めた。
入院時のeGFRcreatはどうだろうか・・・
筋肉量低下は間違いないのだから、過大評価の可能性大なわけですよね。
って事はその数値より、実際は低いって考えるべき。
って事は~
このケースでの過降圧に対してはARBを控えたほうが良さそうですよね。
もし尿蛋白ありなら、カルシウムブロッカーを控えていただきますけど。
ってな感じで~
採血データは参考値です。

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