骨粗鬆症治療中高齢者CKD患者さんの副作用疑いをトレーシングレポートで報告した症例

やっぱり・・・ 腎臓関連になってしまいました。
腎臓関連しかトレーシングレポートを書いてないのか?って思われているかもしれないけど~
他にも書いているんですよ。
説得力無いけど~
noteに書く内容を考える時、そのトレーシングレポートを書くに至った経緯を記載する事こそが重要なんだという思いでいるから、結果的に腎臓関連になってしまう。腎臓愛が強いから~ 
すみません。また同じような内容か・・・って思われるかもしれませんが・・・
微妙にシチュエーションが違ったりしますし~
大目に見てやってくださいませ。
ほんまに、いつになったら本題にはいるんかぁ~
そろそろ本題といきましょう。
この患者さんは、数年前までアミオダロン投与されてたんです。
もちろん循環器専門医に通院中。骨粗鬆症で整形外科にも通院中。
不整脈出現認めなくなったため、数年前からアミオダロンが中止となり今に至っているのだけど・・・
1ヶ月ほど前から、再び頻脈(脈拍100/min超える)傾向となり、脈拍120/min超える事もあって。
それに伴いBNP上昇(約3倍)
日中夜間ともに息苦しさの自覚症状は認めず。
尿量も極端に減っていたわけではなく・・・ 食事量の低下もとくに無かった様子。
腎不全により尿細管からの再吸収低下があるために、尿量は以前から多い(2500cc/日超え多いと3000cc/日超える)のだと考えている。
なので、脱水にもなりやすく、水分摂取多いと心不全増悪リスクも高くなるので、水分摂取量がホントに難しい。
今のところ、循環器医師からの水分制限はないので、排尿量を鑑みての水分摂取量を考えている。
腎血流維持を優先しすぎると、心不全増悪になるし、心不全増悪を優先しすぎると、たちまち腎血流悪化して糸球体濾過量は低下してしまう。
とてもとても悩ましい・・・
心不全患者さんでCKDG3b以降のケースは少なくないので、毎回の採血データをみて水分摂取量など修正していかなくてはいけない。
電解質、アルブミン値、BUNも大事な情報。
心不全が増悪してくると、心臓からの拍出量低下により腎血流量が低下し、輸入細動脈の血流量低下だけでなく、尿細管周囲毛細血管の血流量も低下し、尿細管分泌への影響も出てくる。
ってなると・・・ 薬剤の糸球体濾過量低下や尿細管分泌低下につながっていく。
だとすると・・・ 心不全増悪により増量された利尿薬の効果は?
アルブミンと結合したループ利尿薬が近位尿細管の周囲毛細血管に到達しにくくなり、トランスポーターによる近位尿細管での管腔内に取り込まれる量が低下し、作用部位のヘンレ上行脚にたどりつけない→効果減弱
だから・・・ 腎血流低下してさらに低アルブミンだとループ利尿薬の作用は低下する可能性がある。
低アルブミンだと、循環血漿量も低下するわけだし・・・ 
間質への水分移動が多くなり、心不全リスクも上昇するだろうし。
低アルブミンが腎血流低下につながる可能性も・・・
まぁ~ 色々なことを考える。
この患者さんは、標準化eGFR約40でCKDG3b 
尿蛋白/クレアチニンは不明なので糸球体の損傷程度はわからない。
あとは~
薬剤投与量を考える時にeGFRの算出をどうするか・・・
あっ!CKDステージは標準化ですので。
クレアチニン値がどれだけ信頼できるものなのかを考える。
活動量が極端に減っているとしたら筋肉量低下が進行してるかもしれないし、採血でのクレアチニン値より実際は高いかもしれない・・・
なので個別化eGFRやCG式でのCCr算出などとりあえず計算できるものはしておく。CG式は体重で左右されるから標準体重で計算したり・・・
そんなこんなで、この患者さんの場合eGFR30~35くらいなのかと考えた。
不整脈再発原因はわからないのだが・・・
整形外科より、エルデカルシトール0.75μgが投与されており、ボンビバ注投与だったのだが・・・ 
不整脈再発の旨を患者さんから聴いた整形外科医師が、ボンビバ注をいったん中止とした。エルデカルシトール0.75μgは今まで通り処方されとりあえず継続となった・・・
ボンビバは、eGFR30未満だとAUCがeFR90以上と比較すると約3倍(添付文書より)である。
ボンビバの中止は骨折リスク上昇させるだろうけど、今優先すべきは不整脈再発からの心不全増悪させない事なので、中止は妥当だと考える。
ってなると・・・
ボンビバ中止なのにエルデカルシトール0.75μg継続だと、カルシウム血中濃度が上昇するリスクがさらに高くなる。不整脈再発の原因として、高カルシウムの可能性も否定できないと個人的には思っている。
循環器で採血を毎月受診の際にされているのだが、カルシウム値は調べていない。整形外科での採血は、循環器で採血されていることをふまえ、半年に1回ほど・・・直近の採血(約半年前)では高カルシウムの心配はなかった(アルブミン値を踏まえた補正値)
うーーーーーん
色々と悩ましいのだけど・・・ 次回整形受診での採血結果を待っていたらその間にさらにカルシウム値上昇してしまう。
以前から、胃腸障害を認める場合は脱水からの腎血流低下→排泄遅延による高カルシウムのリスク上昇を鑑みて、下痢したり吐いたりあきらかな食欲低下を認めたらエルデカルシトール0.75μgをスキップして頂くよう患者さんのご家族に説明しており、そのご家族から処方元の医師にもその旨伝えて頂いてた。 
今回、整形外科医師も、骨粗鬆症治療よりも、不整脈の悪化を治める事を優先すべきと判断したわけだ。リスク回避すべきであることを患者さんご家族に伝えていらした事を理解して、そこを踏まえての報告書を作成する事とした。

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