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26.私たちの、あいみょん18祭

私が主役だったあいみょん18祭から今日で1年。今更この記事を出すに至ったのは、ずっと出せていなかったこの文章たちが日の目を見ないままでいるのは少しかわいそうだと思ったのと、あのときの自分の気持ちに嘘はつきたくないと思ったから。

私が18祭を知ったのは、RADWINPSの『正解』に出会ったのがきっかけだった。高1の時の部活の先輩にRADWINPSが大好きな人がいて、その人のおすすめでYouTubeに上がっていた『正解』を聴いたのだった。画面に映る1000人の18歳世代の歌を聴いて、鳥肌がたったあの瞬間を今も覚えている。その時から自分の番が来たら絶対この舞台に立ってやる、と強く思った。


時が流れて、私も18歳になった。前年の18祭はコロナのせいで中止。2年ぶりの18祭だった。アーティストはあいみょん。出るしかないと思い、すぐに応募動画を撮った。結果が出るまでの日々はとても長く感じて、何度も何度もメールのアプリを開いていた日々が懐かしい。1次選考通過の連絡が来た日、応募動画を作るのを手伝ってくれた友達が自分のことのように喜んでくれた。


2次選考の前にはリモート練習会があり、全国の皆さんと繋がる機会があって。歌の練習と交流会があったけれど、1回のリモート練習会に150人ほどが集まっていたためそこまで交流を深めることはできなくて、指名された人が話すのをただただ聞いているだけだったような気がする。


その後、行動力のある1人の女の子によってzoomでの私的な交流会が盛んに行われるようになって。最初は15人くらいだったけれど、だんだん人が集まってくるようになって、最終的には80人くらいいた日もあったと思う。大人数になったことで、会話のためにブレイクアウトルームを使うようになった。そこで自分の好きなものの話や、自分が頑張っていることや、年上の人にお悩み相談をしたりとやっと交流らしい交流が進んだ。やっぱりTwitterだけでの交流よりも画面越しにでも顔を合わせているだけあって話しやすい。ここでたくさんの人と繋がることができて、その中の特に仲の良い人とは今も連絡を取り合う関係になっている。


2次選考通過の知らせが届いたのは、ちょうど受験の真っ最中だった。受験関連のメールの中に、ぽつんと来たそのメールは、私に吉報と凶報の両方を届けてくれた。もちろん吉報は2次選考を通過して正式にあいみょん18祭への出演が決まったこと。そして凶報は18祭がリモート開催になったことだった。この頃は感染が再拡大していて、緊急事態宣言に代わってまん延防止措置が取られるようになっていた。

ショックだった。
せっかく頑張ってここまで残ったのに。あの舞台に立つために、受験勉強の合間を縫って準備してきたのに。みんなに、あいみょんさんに、会えないの?


受験でただでさえボロボロだったのに、追い打ちをかけるように来たこの知らせにしばらく塞ぎ込んでいた。コロナ禍を吹っ飛ばそうと準備していたのに、コロナのせいで私たちは会えないの?今までかけてきた想いや時間を返してよ。どこにぶつけたらいいのかわからない、やるせない思いと向き合い続ける日々だった。


それでもTwitterの仲間達は自分達にしかできない18祭にしようと前向きに声を上げていた。もちろんリモートじゃあ意味がない、と言う声もあって、実際に出演を辞めた仲間もいる。私は私で本命の受験が迫っていたため気持ちの整理がつかないまま、気づけば3月を迎えていた。


リハーサルの日、私は受験会場にいた。本命の受験に落ち、滑り止めにも受からず、急に親に浪人を反対されて泣く泣く後期受験を続けていたのだ。仲間たちは夢を追いかけていて、今この瞬間もリハーサルをしているのに。夢破れた自分が、情けなくてどうしようもなくて。浮つく心を抑えながら、受験を終えた。その夜の前夜祭でリハーサルの様子を聞いて、やっぱり出たかったなあと思った。


本番、お気に入りのパーカーを着て画面の前に座った。映る画面に交流会であったことのある顔があり安心しつつ、前日リハーサルに参加できなかったことを引きずりつつ、複雑な心境のままだった。時間になって、一度練習をして、あいみょんさんが登場した。それまでの複雑な気持ちが吹っ飛んだ、気がした。当日が誕生日だったあいみょんさんをみんなでお祝いして(この時点で私の涙腺は崩壊)、ついに今まで練習してきた歌を披露することに。画面越しだけれど目の前であいみょんさんが歌ってる。みんなも、お互いの声は聞こえないけれど、日本のどこかで歌ってる。そのことをやっと認められたような、そんな気がした。リモートだったけれど、私たち1000人の心は確かにつながったと思う。なぜか涙が止まらなかった。絶対泣かない、周りにみんながいるわけじゃないし。なんて思っていたけれど、最終的には大号泣だった。


何テイクか撮ったあと、あいみょんさんがサプライズで何曲か歌ってくれた。正真正銘私たち1000人のためだけの歌。あの歌は一生忘れられないと思う。収録が終わり、アンケートを受けて画面を閉じた。終わってしまった実感もあまりないまま、 私たちの18祭は幕を閉じた。30分前までは大号泣していたはずなのに、虚しさが急に押し寄せてきた。やっぱり対面で、みんなで、この熱量を共有したかったなぁと思う。楽しかったし素晴らしかったからこそ、対面でやれたら、という思いが抜けきれないまま、終わってしまった。


少し日が経ち放送日になった。18祭を収録した時には決まっていなかった私の進路が無事に決まった頃のことだった。双葉という曲は、私たちの手を離れて多くの人に届いた。私たちだけの、秘密の曲だったのに。学校の子たちにバレないように小声で口ずさんでいたのに、なんて寂しくなった。こうして私たちの18祭は幕を閉じたのだった。



そして今年も、18祭が開催される。アーティストはBUMP OF CHICKENさん。今年こそみんなに会えるように、去年の悔しい思いを晴らすために。そして私自身の夢を叶える力にするために、変わりたい。まだまだやれるって自分のことを信じたいから、応募をするつもり。


最後に。関わってくれたスタッフの皆さん、あいみょんさん、出会ってくれた仲間たち。ありがとうございました。確かに悔しい思いをしたけれど、それはみなさんも同じだったはず。それでもやれることを最大限してくださったおかげで私たちは舞台に立てました。いつかまた会えると信じています。

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