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8.初めての推し活

大学生になって、バイトをしてお金のゆとりができたことで、初めて推し活というものをやってみた。

大学で仲良くなった友達が好きだったアイドルグループが、私も少し気になっていたグループだった。そしてその子の“推し“が私も強いていうなら好きだったので、その人の誕生日を一緒に祝おうとなったのだ。これを"本人不在の誕生会"っていうらしい。



まず驚いたのは1週間前から念入りな準備が始まったこと。ケーキを注文して、100均で風船やおしゃグッズを買い漁り、飾るための写真を印刷して、プロジェクターのあるカラオケを予約して。

私はこういうのは本当に経験ないからと友だちプロデュースで始まったこの準備。映えと推しのためなら努力を惜しまないその姿に、ここまで人の心を動かせるタレントさんは本当にすごいなぁ、なんて他人事のように思っていた。

私は今まで邦ロックのバンドばかりを好きになって追いかけていたから、こういう推し方はしたことがなくて。せいぜいホーム画に設定した写真と0時ぴったりの時刻をスクショし、Instagramのストーリーズにあげたことがあるくらい。熱量の違いに戸惑いを隠せないまま、当日を迎えた。


そして当日、カラオケに着いてすぐ、写真を撮るために準備をした。風船を膨らませて、写真をセッティングし、フラワーペタルを散りばめ、プロジェクターに彼の写真を映し出した。

そして写真を撮った。びっくりするほど何枚も。私は写真のセンスが驚くほどないので、何枚も撮り直しをお願いされてちょっと申し訳なかった。Instagramにたくさんいる彼女たちはこんな風に映えるために頑張っていたのかと思うと、いいねの数を気にしてしまう心理もわかる気がした。

その後やっと撮影が終わり、シャンメリーで乾杯し、ケーキを食べた。センイルケーキと呼ばれるそれは、甘ったるくて胸焼けがしそうだった。

その後は時間ギリギリまで一緒にライブ映像を観た。友達とライブ映像鑑賞会なんてなかなかする機会がないから、それは普通に楽しかった。彼女の方がファン歴が長いから、私が知らない楽曲の背景や演出の裏話なんかを副音声のように話してくれた。




確かに、全く経験のしたことのないことをやってみたから楽しかった。
楽しかったんだけど、なんか違うなぁという心のモヤモヤが晴れない。
この気持ちが今の私にはよくわからないけれど、ひとまずはこれが今の私だ、ということでここに残しておこうと思う。

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