いつもの橋を渡っていると目の前にお着物を着たおばあちゃまがいた。
その生地は薄紫で小さい花びらが舞っていた。
そういえば前にテレビで目黒川沿いに着物屋さんがあるってやってたっけ。
現代に普段着として着る着物。

私の祖母の姉は長年茶道をやっていて、
遺品整理の時に母がごっそり着物をいただいてきた。
中には驚く額の領収書が挟まれた帯も。
あの夫婦には子供はいなかったから余裕があったのだろう。
でもたぶん、あの帯の値段のことはじいちゃん知らないだろうな。

母も普段は着物を着ない。
着付け教室に通っており、
華道の行事があるときに自分で着ていたりする。
「最終的にはあなたのものになるんだからね」と言われるが、まだ興味が湧いていない。
でも、私は知っている。
私は和服が似合う。
知っているけど、
晴れの日の衣装として、
特別なものとしてテンションが上がる着方をしたい。
日常でちょこちょこ経験できてしまったら、
私はきっと
その良さを感じなくなってしまうだろう。
訪問着であっても、着物は特別な衣装にしておきたい。
だから一着も借りたりしないし、
着付け教室にも通わない。

文字通り着物は「とっておき」のものにする。
本当におめでたいときにとっておくんだ。
振袖を着て親友の結婚式に参列するのがお互いの理想。
そろそろですか？
そろそろでしょう。
期待しています。

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