読書感想:マーケティングとは「組織革命」である
読んだきっかけ
NewsPicksのマーケティングブートキャンプの動画を視聴して、刀のメソッドがシンプルで非常に分かりやすかった。これまで幾度とP&Gマフィアたちのマーケティング本にトライ、挫折、そして積読へ・・・というのを繰り返してきた自分も、森岡さんの本からならば、何か得られるのではないかと思い、探したら、偶然会社の書庫にあった。
総括
本では、人間の本質として語られる「自己保存」が印象深い。
これにはすごく納得感があった。
組織のために正しいと思う取り組みをしているのに、有耶無耶にされてしまったり、反対する人から横槍が入ったり、足を掬われた経験をお持ちの方は多いのではないだろうか。
僕自身、これまで事業会社でも、代理店サイドでも、「やるべきことのはずなのに進まない」経験を幾度となくしてきた。通すために必至に理論武装して、やや強引に押し通す形で進めた事もあったが、仕事から外されたりして、こんなに言っても分からないならもういいやと諦める事が増えた。
しかし、この本ではそうした僕のような態度を猛烈に糾弾される。合意形成を放り出すのは、プロじゃない。最悪だ!買いたい提案になっているのか!と。この歳になるとガツンと怒ってくれる人がだいぶ減る。なので、これは非常に胸に刺さった。
最近マーケティング業界では、顧客起点で意思決定を行うべしと言われるようになった。僕自身そうした情報を取り入れて顧客視点という言葉をクライアントにドヤ顔で語ったこともある。
しかし、そんな提案が一度も通ることは無かった。当時は、なんでこのクライアントは聞き入れてくれないんだろう、打ち合わせの時はあんなに頷いていたのにと不思議だったが、今思えばその方や上司、会社がどんなことを考えたり、聞かないまま、提案をしていたので、クライアント的には買う理由も無かったのだ。
会社は矛盾を抱える事がある。
卑近な所では、働き方だ。
ただ時間をかければ良しというものでは無いので、矛盾とは言い切れない部分もあるが、人事的には無理して働くなと言う一方で、営業的にはもっと働けという逆の事を言われる事がある。会社ではこうした矛盾が多くあると著者は指摘する。
「買いたくなる提案」にするには、そうした矛盾を潰しておく必要がある。組織としての目的とその取り組みは合っているのか、キーマンは誰か、その人の生存戦略を潰していないか、など。
自分の日常を振り返っても、
・緊張するのも、その後が変わるリスクを加味した自己保存の一種(現状維持)
・会議で発言しないのも、発言して馬鹿にされたり評価を下げる、もしくは自分のタスクを増やさない
・自分が不利な施策が進む時に、方向性は良いとしても、自分を守ろうとしてしまう
こんな事が身におぼえのあることは沢山あった。
ちょうど毎週見ているドラマのファーストペンギンでも、自分たちが生き残るために「お魚ボックス」を開発し、周りの漁協などからは、自分たちのこれまでを守るために猛烈な反対を喰らう。
これも漁協の組合長は、分かりやすい敵として描かれているが、多分彼は彼で生きるために必死に反対していたのだろうと感じた。
学び
上記に記載したような、内容を読むのが主目的だったが、非常に多くの学びがあった。
・不易流行
→変わらないものを守るために変化を取り入れ続けること。森岡さんの書籍とは関係ないが、今年のアドテックの基調講演でも、この話があった。
・重心
→3つの点があれば重心が定まる。これを森岡さんは、ビジネスの重心を見極めよと説いていた。
・実現可能性を、明確に示す
→これが出来ないと提案の便益が「手に入るもの」と認識されない。実現可能性を見える化する為に戦略を使う。
他にも色々まだ読み込みの浅い部分はあるが、戦略の打ち立て方により、興味を持ったため森岡さんの他書にも食指を伸ばしてみようと思った。
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