読書感想:人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学
読んだきっかけ
マーケティングでは、よく消費者の欲望を刺激せよと言うけれど、腑に落ちるものと落ちないものがあると感じていた。特に腑に落ちないものは、いわゆるサステナブルやエシカル消費に分類されるもの。そのヒントが得られるのではないかと思い読んだ。
企業がそれに取り組まねばならないのは分かる。ESG課題に取り組んでいない企業には投資しないように推奨するガイドラインがある。国同士の付き合いの中でも取り組む流れになっている。また、世界的にパーパスというワードが広まり、企業の変わらないアイデンティティと時代に即した変化が求められている状況も分かる。
一方消費者は、企業やブランドの姿勢・思想に共感して応援する消費の類や、Z世代の環境意識の高さなどもよく耳にする。でも、それが何の欲望に後押しされているのかがいまいちピンとこない。いざ自分が消費者サイドに立った時に、仕事がら意識・行動はするけど、1回の買い物で仮に非サステナブルな選択をしても「別に何も影響はない」と思ってしまう自分がいる。今のままでは、何に消費者が共感しているのか曖昧な理解のまま「環境にも意識を向けている私になりたい、見られたい」「憧れの人や好きな企業ブランドと同じ価値観を共有したい」と片付けてしまいそうで、危ういなと感じたのだった。
総括
明快にこれが、サステナブルやエシカル消費に隠された欲望だ、と言い切れるようなヒントは得られなかったけれど、
・固有の出来事を通じて、憤ったり、不信感を抱く
・行動を起こすことで、自分を価値ある存在だと認めたり、他者から認められる承認欲求
・特定の「誰か」によって語るストーリーに感情移入し、自分との間に内集団バイアス的な物が働き、自分が”仲間はずれ”にならないように行動
とかそういったインサイトが隠れているのかなと気がつくことが出来た。
気をつけねば
上記以外にも煩悩に紐づけて様々なバイアスが語られており、非常に面白くスラスラ読めたが、PR業務の中で「データ」を扱う機会は多い。ただ、時にデータをどう使うかみたいな所が先行してしまうことがあり、改めて気をつけねばと感じた。
また、データはデータでしかなく、それが真実とは限らないこと。あくまで断片的なものでしかないので、そのデータが何を意味しているのかにちゃんと踏み込まないとなと感じた。
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