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読書感想:PERCEPTION 市場をつくる新発想

読んだきっかけ

今月、ここまで顧客視点を学ぶ本を中心に読んできた。松本健太郎さんの本、森岡さんの本、鹿毛さんの本。それぞれ生身の消費者とどう向き合って行くことの大切さ、そして如何に向き合うのかを学んだ。それが今期の渡辺の個人的な到達目標である。

  • お客さまは、普段商品やサービスの事など考えていない

  • しかも、ほとんど無意識下で意思決定を行う

  • だからこそ欲望のスイッチを刺激すべし

そして、それを自分の血肉にしていくには、まずは自分のインサイトを掴めるようにしていかねばならない。こうした事を知った上で、改めてブランドについての興味が湧いてきた。

ひとつの商品サービスについて考える時間は一日の中でも僅かな時間だけど、だからこそどう覚えて貰うかで大きく差がつく。

「うまい、安い、早い」と認識しているから、
忙しい合間のサク飯をしたい時の選択肢として吉野家は挙がってくるし、
実際そこに行くかは、同じような認識を持っている店の中からその時の気分や好意度によって判断がなされる。

また、森岡さんの本で再三触れられていたプリファレンス(好意度)は、つまるところパーセプションの一部なのではないかと思い、改めてパーセプションの全体像を掴みたいと感じたため、読んだ。

総括

事例が豊富に紹介されており、パーセプションの全貌をつかむにあたり、非常に役に立った。部分的にユニークなコミュニケーションとして知っていた事例(ワークマンの過酷ファッションショー)も、全体の中で「パーセプション」にどのように寄与していたのかという視点で解説されていたため、「なるほどこれはただPR的に面白い取り組み、というだけじゃなかったのだな」と理解することが出来た。

また、改めてPRのプロとしては、メディアパブリシティももちろん重要だが、PRのピラミッドとしてよく言われる「パブリシティ→パーセプションチェンジ→ビヘイビアチェンジ」の構造を意識して取り組まねばと強く感じた。

文中では、パーセプションとはなにか、から「つくる」「かえる」「まもる」「はかる」「いかす」まで非常に分かりやすく書かれている。そのため、パーセプションについての学びを深めたい方には非常にオススメの一冊であることは間違いない。

一方、PRマンとしては、読んでいくうちに「ああ、PRの仕事の中でやっていることだ」と感じた。その意味では、ひとつひとつの業務に対して、自分の頭で考えられていなかったなと大いに反省した。

個人的には、「パーセプションを『はかる』」のパートが非常に面白かった。PR業界では、効果測定は永遠の難題として議題に上がることが多いが、巻末の本田さんとクーマーケティング音部さんの対談の中で音部さんの発言にあった「食品でいうカロリー表示」のような一貫した指標の可能性に対して、しっかり僕自身向き合っていかないと行けないなと感じた。

学び

すべてのパーセプションには、それに至る事象や事実が介在する。火のないところに煙は立たないというわけだ

第一章パーセプションの正体ーなぜ「パーセプション」が重要か p.24

パーセプションは以下の5つの要素で構成されている。
・(ファクトを伴う)事象
・(受け手の)リテラシー
・グループ
・タイミング
・コントラスト(=比較対象)

必ずしも5つすべての要素が揃うことが条件ではなく、1つの要素だけでもパーセプション形成が進むことがある。

これも言われてみれば、そうだよな、と感じた部分だったのだが、現状のパーセプションを変えるにあたって、この要素のどこを刺激すれば動かせるかという考え方をしてみると、おのずと「取らねばならないパブリシティ」の質が決まってくるし、そのためにどんなコンテンツを準備しなければならないかも明確になってくる。

プロジェクトのオーナーがしっかりパーセプションについて提案段階から目をそらさず、クライアントや社内のメンバーと話をしていかないと、良いプロジェクトには出来ないなと感じた。

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