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女性学散策日記【6.市川房枝記念会女性と政治センターを訪問】

このシリーズでは、あらゆる視点から女性学について知り、考えたり、感じたりしたことを記録しています。
女性学散策日記についての説明はこちら。

今回(2021年)、私は家族で新宿区へ出向き、市川房枝記念会 女性と政治センターへ訪れました。婦選会館という建物の中にあります。

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素敵な外観です。「若いのに来ていただいてありがとうございます」とこれから会議に向かう職員の方から声をかけていただきました。

市川房枝さんという方は「婦選は鍵なり」の言葉で知られる、戦前から戦後にかけて活躍した日本の女性参政権運動などを牽引したことでよく知られる国会議員さんです。

売春防止法の成立にも深く関わっています。

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△市川房枝の「婦選は鍵なり」という言葉から着想を得た市川房枝記念会オリジナルピンバッヂ。

Googleマップで資料館を片っ端に検索していたところでたまたま見つけたこちらの場所。ここへ訪れてみたい、と思ったことがこの女性学散策日記をはじめるきっかけであった気もします。

私にとって、知っているようで知らない人である市川房枝さん。知っておかないといけないことがたくさんありそうな市川房枝さん。

展示空間はあまり大きなスペースではありませんが、やはり知らないことや初めて知ることが多く、ひとつひとつの資料をじっくり観ることとなりました。

戦前から渡米してアメリカの女性運動を研究していたそうで、展示からもその影響の大きさを感じます。

その後アメリカと戦争に突入していった頃の心境はどんなものだったのかと想像してしまいます。

これは今回、私は初めて知ったのですが、市川房枝は戦後GHQに公職追放を受けることとなります。市川房枝という人への印象と公職追放は結びつかず驚きました。本人も、非常なショックを受けたそうです。

いつも彼女が旅で使っていたらしい籠の鞄にいたかわいい猫の飾り、アメリカから持ってきた家具などの品々、そういった物が持つ記憶に誘われて、もう少し、女性という立場から歴史を見たいと思える場所でした。

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「女性は政治とどう向き合ってきたか 検証・婦人参政権運動」というブックレットを購入。

ここでは婦選運動についての総括が行われています。また改めて感想を書きたいと思いますが、特に日本が戦争へ突入する際に市川房枝の選んだ婦選獲得への道に対して、無邪気に肯定するだけではなく、また戦略的に行われた戦争体制への加担や「愚民観」的な面をただ糾弾するだけではなく、市川房枝の生涯全体を通して見つめ、歴史から教訓を得る姿勢が大事であるといった内容が書かれているようです。

展示を見ただけでは、新しく学ぶことがあったというよりは、改めて何も知らないことを実感したというのが正直な感想です。

でも、戦前〜戦後の女性運動のダイナミズムが戦争という巨大な壁を前にしても、消えることのない大変なエネルギーを持っていたということがわかりました。また、限られた人生の中で理想の社会を現実にしていくということはどういうことか、本気で考え、行動した女性のひとつの答えを見ました。

婦選会館の近所にはプーク人形劇場。

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カフェもあり、私はエスプレッソとおやつをいただきました。

我々はさらにその後、同じく新宿にある総務省の委託施設、平和祈念資料館にも訪れることができました。ここで行われていた「シベリアでの出会い」という展示が非常によかったです。最近、戦争に関連する資料館へ訪れるとそこで生きた人の声というものがとても大切にされていると感じます。そこには経験していない人が想像する紋切り型のイメージとは異なる、目まぐるしいそれぞれの人生、それぞれの感情、生きた証があると感じます。

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新宿の密度も感じた1日でした。

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