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中学生に戻って受けてみたい、インター校の英語クラス。

先日のインター校カンファレンス (学習報告会) で、私的に一番興味をひかれたのが、長男が受けている英語の授業でした。(カンファレンスについてはこちらの記事を参照ください)

インター校での英語教科は、いわゆる彼らにとっては国語のクラス。
私は日本の学校しか行ったことがないので、母国語英語の子供たちがどのように英語の授業をうけているのかは未知の世界です。
インター校のカリキュラム(指導要綱?)がどのように決められているのかも無知。

それでも英語のクラスが、「インター校っぽい!日本と違うなぁ」と目が開かれた感じがありました。(ちなみに、息子が通う学校は米国系で、IBプログラムではありません。)

教材はぺーバーブック

英語のクラスでは、日本の学校で使用しているような教科書はありません。カンファレンスで見せてくれたのは一冊のぺーバーブック。『The Green Bicycle』です。この本を、クラスで読み進めながら授業を行った様子。

The Green Bicycle by Haifaa AI Mansour

どんな話なのか長男に聞いても(いつものごとく)雲をつかむ感じなので、アマゾンでの要約文を見てみました。

心温まる気概とお茶目なユーモアで綴られる中東の青春物語。

サウジアラビアのリヤドで両親と暮らす11歳のワジダは、自転車が欲しくてたまらない。女の子は自転車に乗っちゃいけないって言われてるのに、友達のアブドーラと競争するために、どうしても自転車が欲しい。ワジダは夢の自転車を買うために、手作りのブレスレットや禁止されている音楽のミックステープをクラスメートに売ってお金を稼いだ。しかし、それがバレてしまい、改心しなければ退学を余儀なくされる。それでもワジダは、自転車を手に入れるためなら手段を選ばず、策略をめぐらす。
中東の社会情勢を背景に、男女の役割分担、順応性、家族の大切さなどを、ウィットに富んだ魅力的なストーリーで描いている。

Amazon要約文 DeepL翻訳より抜粋

生徒たちと似た年齢の女の子が主人公で、中学生にも読みやすそうです。
短編でもなく、小説の抜粋でもなく、1冊の本を読み込んだ様子。

長男のように、本をあまり読まないタイプの生徒にはちょっと大変かもですが、本好きな子には読書会が授業になった感じかも。

本のセレクションにこめられた意図

本の内容がわかって、あぁ、なるほど!と思いました。この本を選んだ意図が理解できて、インター校らしいし、今時だな、と思ったのです。

この本には、男女のジェンダーギャップ、宗教・社会・文化の違い、多様性、自己主張など、たくさんのテーマが織り込まれているからです。どれをとっても、いくらでも掘り下げられそうな深いテーマだし、いろんな風に展開できそう。そして、読む人によって、取り上げたいテーマが違ってきそうでもあります。

私なら、女性の自由や権利のところが大きく気になるポイント。
男女の役割分担、ジェンダーギャップは私にとってはホットなテーマ。仕事で扱ったりもするので、アンテナを張っているほうです。

本の表紙の女の子、ヒジャブ姿が印象的ですが、中東では女性の自由は宗教により大きく制限されています。数年前、車の運転が女性に解禁されたというサウジアラビアのニュースに驚いた記憶があるのですが、自動車の運転にも制限があったとは知りませんでした。

中東は宗教的な背景が大きく影響しているので、日本や欧米とは簡単に比較できないし、価値観の違いをまずは理解しないと語れない側面もあります。

大人にとっても難しいテーマですが、中学生のうちにこれらのテーマに出会って、知ること、考えることを始めるように意図しているのがいいな、と思いました。すぐに答えが出るものではないし、何かが変わるとしても(変わらないにしても)どの国でも時間のかかるテーマだから。

授業展開は動画づくり

気になるのが、読んだ後、どう授業展開してるのか。
どのテーマも奥が深そうだし、どうやって授業で扱うんだろう。

カンファレンスで用意されていたのは、いくつかの動画。
生徒たちは2つのグループに分かれ、短い劇を作るように指示を受けた様子です。1つのグループはプロット(脚本)を作り、もう1つのグループはそれを演じ、動画の完成がゴール。

何をテーマにとりあげ、登場人物に何をしゃべらせるかを自分たちで決め、自分たちで演じる。Speech&Drama ですね。
長男の英語の先生の得意分野のようです。

筋書きづくり、言い回しと単語表現の工夫、人前での表現力、グループワークでのリーダーシップと協調性、など、学べることがたくさんありそう。

私が中学生の頃は、学ぶことのなかったスキル。学んでいたら、何かしら新しい世界が広がったかも、と思いました。例えば、ドラマを見る視点が変わったり、言葉に敏感になったり、自己主張のコツをつかんだり、とか。

生きてる言葉の授業

日本での中学校の国語授業を思い出すと、教科書の短い文章を読み、新しい単語と漢字を覚え、先生の解説を聞き、テスト問題で正解を出す訓練をしていた記憶です。あと、古典や漢文の読み解きを必死にやっていたかな。

それと比べると、長男のクラスの授業はもっと生きている言葉の授業というか。多様性を学んだり、社会問題に意識を広げたり、そして言葉を使って外に向かって表現をする。その根本にあるのが言葉や語学なんだと教えてくれている気がしました。

今回のカンファレンスで学習報告があったのは、先学期のひとつの単元です。今後、どんな授業を子供たちが受けているのか、また報告を受けるのが楽しみです。

そして、願わくば、長男が英語のクラスを好きになって(いまいちクラスへの食いつきがよくない)、英語をもう少し幅広く、もう少し深く、探求できるようになったらいいな。


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